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第42話:辻斬り

 目の前の光景が信じられず呆然としている俺達に遺体を見聞していた兵士が気付き近づいてくる。


「お前達、こんなとこで何をしている?」

「俺達はギルドの依頼中だ」

「依頼? こんな時間にか」

「辻斬り捕縛の依頼だよ、今日から始まったやつ」

「あぁ、それなら入れ違いになったな。先程俺達が来た時には人影が急いで去っていくとこしか見えなかった」


 ギルドカードと依頼書を見せながら俺達の事を説明すると、始め疑わしい目で俺達を見ていた兵士達も少しは納得し色々と詳しく情報交換を行う。兵士の話を聞きながら遺体を確認してみたが、それは間違いなく先程助けた者達と後を任せた者達であった。情報交換を終え身元確認など事後処理を兵士達が行うとのことなので俺達は帰路に就く。


「・・・・せっかく間に合ったのに、こんな事になるなんて」

「やっぱり口封じかしら?」

「だろうな、正体を知られたかもしれない相手を生かしておくのは犯人にとって危険でしかない」


バァン!!


「くそっ! こうなる可能性は少し考えれば分かるはずだろうに、俺はなんて迂闊なんだ!」

「テツヤ、他所様の家の扉叩いたら迷惑よ。それとテツヤだけじゃない、私達だって何も考えずに犯人のあとを追いかけたんだから」

「そうだね、ごめんテツヤ」

「・・・・いや止めとこう、誰が悪いと話していたらキリがない。今はこれからどうするか話そう」

「・・分かったわ」

「これからって、犯人を捕まえるんじゃないの?」

「それは当然だが、兵士の話を聞いて辻斬りが複数犯であることが分かったからな」

「足止めしていた奴等がいたんだから複数犯なのは当たり前でしょ、改めて言わなくてもみんな分かっていると思うけど?」

「それだけじゃない、シエル達も兵士の話を聞いていたろ? 逆に聞くが犯人はどうやってあの4人を殺したんだ?」

「それは私達が女の2人組に足止めされているうちに戻って殺ったんじゃないの?」

「いや俺も最初はそれを疑って兵士達が来た正確な時間を聞いたんだが、兵士があの場所に来たのは俺が離れて約2~3分後だったようだ。しかし、その時間はシエル達の話からまだ犯人を追っていたことが分かったから戻ってきて殺すのはまず無理だろ」

「たしかに、落ち着いてよく考えたら無理」

「となると、辻斬りは最低でも4人による犯行ってこと?」

「今の状況で解っているのはそんなとこだな」

「う~ん、解っているようであまり進展していないわね」

「これ以上の情報は辻斬り犯の誰かを捕まえないことには入ってこないかもしれないな」


 初日はこれといった情報得ることが出来ず被害者だけが増え、俺達の完敗といった感じで幕を閉じる。次の日から昼間は軽く依頼をこなしながらギルドで情報を集めて早めに就寝し夜は辻斬り犯捜索を行ったが、2日目以降はすれ違うことすら無く被害者だけが増えていき10日が過ぎた。


「ここまで情報が入ってこないってのはちょっと可笑しくない?」

「そうねぇ、現実に被害者がいるんだから某ら目撃情報があっても良いのに」

「目撃情報が無いのも不思議だが、俺としては被害者の方も気になるな」

「うん? 被害者は特になんの繋がりも無かったと思うけど」

「いや、繋がりではなく被害者の人選だ。最初辻斬りの噂が上がった時の被害者は死齎隊の奴のみだったろ? だけど、ギルドに依頼が入るキッカケから狙われているのは一般人のみに変わっている」

「別に不思議でもないんじゃない、死齎隊より一般人の方が狙いやすかったってだけでしょ」

「それだったら最初から一般人を狙うはずだろ」

「・・なるほど、テツヤは噂になった辻斬りと今事件を起こしている辻斬りは別なんじゃないかって考えているのね」

「えっ! そうなの!?」

「あぁ、俺達が見た辻斬り犯は複数犯だったからその可能性もあると思う・・・・が、今度は何故実行犯が代わったのかという問題にぶち当たってしまうんだよ」

「こういうのはどう? 最初辻斬りをしていた奴が大怪我をしたから療養中で、その間に仲間が犯行を続けているってのは」

「怪我ぐらいなら回復魔法で簡単に治癒できるだろうからそれはないんじゃないのか?」

「テツヤは自分を基準にしちゃダメ、国境の時に見たけどキミ程の回復魔法の使い手は人間でそうそういないよ」


(俺がまともに知ってる魔導師はリリエルだけだから基準がよく分からん)


「それならそれで良いんだ、しかし今のままだとどれも予想の域を出ないから話し合っても堂々巡りになるな」

「今まで事件が起こった場所周辺を闇雲に捜索していたけど、目撃情報が少ない理由を考えてそれを基に行動するってのはどう?」

「そうだな、まずは遭遇する方法を考えるか」

「では1つ目、何故目撃情報が少ないのか?」

「人がいないような場所を選んでるからじゃないの」

「では、どうしてそういった場所を選べる?」

「えっと・・・・なぜ?」

「誰かが場所を探して教えているってことか」

「私もそう思う、たぶん機動性や隠密性を考えて初日に会ったくノ一2人組がこの役割じゃないかしら」

「となると大通りを避けて狭い横道を選んで捜索するってわけか」

「それだけだとまだ少し不安ね、テツヤは幻影魔法イリュージョン使える?」

「簡単な幻影なら出来るが」

「十分よ、横道を行く間頭上だけ幻影を作って私達の姿を誤魔化すだけだから」

「分かった、今夜はその方法で試してみよう」


 俺達は行動方針を決め昼間のうちに横道を散策し見つかりにくく移動しやすそうな場所を確認して回る。家屋同士が近い為予想以上に移動しやすい横道は無かったが、見つからないことが第一なので問題無しとして色々買い物を済ませて準備を整え宿で休むことにした。

 夜、確認しておいた横道に入り魔法を発動させ周囲と屋根上の気配を特に注意しながら捜索を開始する。昼間でさえ少し暗いかなと思われた横道は夜だと危険度が上がり、明かりも使えないという状況がさらに進むスピードを鈍らせた。人の気配がなさそうな方向へ進んで数時間後、今日はもう終わってしまったかと考えが浮かんだ矢先女性の悲鳴が聞こえてくる。悲鳴が聞こえてきた方へ横道を急いで進み、大通りに2つの人影が見えたところで横道から通りに出た瞬間人影が1つ崩れ落ちた。俺達が近づいてくる

のに気付いた人物が立ち去ろうとした途端、上から4つの人影が俺達の前方に降り立つ。


「予想通り上から監視していたようだけど、前回のより2人多いよ」

「私達との事があったから人数を増やしたんだわ、出来るだけ抑えるからテツヤは被害者と辻斬り犯をお願い」

「実力が分からない敵と人数差があるのはマズイ、俺が増えた男2人を抑えて辻斬りを追う」


 駆けながら2人に告げると同時に手を突き出すと、前方の男2人が突然上から押さえつけられたように地面に這いつくばって苦しみ出す。


「何あれ!?」

「重力魔法だ、そんなに練習してないから相手を指定できず範囲内全てが押さえ込まれるから近づくな」


 仲間がヤられたが驚いた様子も無く冷静に目眩ましを使って退却しようとした女2人組を、ポアラが魔法で牽制し瞬く間に接近したシエルが攻撃して抑え込む。その隙に通り過ぎた俺は被害者を確認するが、胸を貫かれ既に息は無く手遅れだったので大声でシエル達に伝えてすぐ辻斬りが逃げていった方へ駆け出した。

 思ったより早く逃げた人物を発見するが、その目の前に同じ格好をした人物が逃げた人物に立ち塞がっている。


「王都を離れている間に随分と好き勝手やってくれたようだな」


 立ち塞がっている人物は俺にも分かるくらいの殺意を放ち、逃げた人物に刀を突きつけた。


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