第33話:王都襲撃③ -城門攻防戦-
(カイムの強さが予想以上のお陰でかなり魔力を温存できたな)
「お疲れ、テツヤさん」
「お疲れさん」
ハイタッチを交わして勝利を喜び、レティーナ達の方へ歩き出す。
「それにしてもこれがアイツ等の仕業だとすると、どうやって魔物を操っているのかな?」
「余程のテイマーがいるとか魔法で洗脳しているとか色々考えられるが、こればっかりは直接聞いてみないことには何とも結論が出ないな」
「そっかぁ、そうだよね」
「それよりカイム、さっきの戦いみて思ったが今まで力を抑えすぎじゃないか?」
「かなり抑えているのは自覚してるけど、初心者冒険者の力だとそんなもんだよ」
「お二人共、ご苦労様でした」
「まさか本当に二人だけであの魔物共を倒してしまうとは・・・・」
カイムと少し雑談を交わしているうちに目の前にレティーナとバルゼルが来ていた。
「そっちも終わったか?」
「周囲も確認してもらいましたがこの近辺に魔物はもういないそうです」
「良し、それじゃギルドに戻って報告するか」
「はい。ではバルゼル、後の事後処理はよろしくお願いします。ですが無理をしてはいけませんよ」
「畏まりました、レティーナ王女もお気を付け下さい。それと護衛は何名必要でしょうか?」
「護衛は必要ありません。あなた方の人手を割くわけにいきませんし、この方々が守って下さってますから」
「・・そうですか。おい貴様ら!レティーナ王女はどんな事があっても守り通すんだ、良いな!!」
「はいはい」
少しぞんざいに返事をしてから、俺達3人はギルドへ向かう。ギルドには既にシュリ・ミゲル・フォーリアが戻ってきていた。
「おかえり、テツヤくん、カイム」
「ただいま、そっちも無事だったようだな」
俺達はミーニャさんを交えて報告と情報交換を行った。
「東と西門での魔物の違いはそれ程無いみたいだな」
「じゃが、お主達が言っとった賊や怪しい奴等は見かけなかったのぉ」
「それなんですが、皆さんが各門に救援に向かった後に城から職員が戻ってきました」
「そうか、王都に襲撃した魔物はほとんど排除したから今更な気がするが城からの救援はいつ頃じゃ?」
「いえ・・あの・・」
「? どうしたんですか、何か問題でもあったのですかミーニャさん?」
「・・・・城門が魔物を連れた賊に占拠され職員は城の中に入れなかったそうです」
「そんな! お父様、お母様、みんなは大丈夫なのですか!?」
「申し訳ありませんレティーナ王女、中に入れないので現状は分からないとしか」
レティーナは顔面蒼白となり固まってしまい、俺はミーニャに賊の特徴を聞いてみた。
「ダナン達だ」
「テツヤ君が話した頬に傷のある男は見かけなかったそうです」
「たぶん、城の中の方だね。将軍達と戦ってみたいとかなんとか言ってたし」
「ここで待っていてもこれ以上の情報は入ってこないかもね」
「俺達は城へ向かうがミゲルさん達はどうする?」
「城の方は将軍クラスの戦力が居るからこれ以上の戦力は要るまい、もう少ししたら他の団員が戻ってくるだろうし情報を整理してもう少し街中の救援に努めるかの」
「分かった、大丈夫と思うが気を付けてくれよ」
「お主らものな」
「あまり無理しちゃダメだよ」
「ミーニャさんもね」
俺達4人はギルドにあった回復アイテムなどを支援してもらい城へ急ぎ向かい、城門へ続く橋の手前には大勢の兵士が集まっていた。
「こんなに集まって何してるんだ」
「忘れたの? 城門は賊に占拠されてるってミーニャさんが言ってたじゃない」
「そうじゃなくて、こんなに居てどうして勝てないんだってことだ。賊はダナン達と魔物だけだろ、物量作戦でいけると思うんだが」
「そうしてないって事は魔物が予想以上に強いってことじゃないかな」
「とりあえず前に行くぞ、ここじゃ何にも見えないからな」
人波をかき分けながら進み、一番前に出て最初に目に付いたのは橋の上にフルアーマーが2つ立っている姿だった。
「何だあれ?」
「全身鎧だね」
「賊の誰かが着てるのかな」
「ずいぶん遅い到着だな、ガキ共!」
俺達が全身鎧に不思議に思っているところに、こちらに気付いたダナンが叫び声を上げてきた。
「こっちはお前達と違って暇じゃないからな、それよりその全身鎧はなんだ!」
「はん! そいつらは足止め用に創られたリビングアーマーさ」
「・・・・なるほど、こいつらが報告にあった魔物か」
「どうする?」
「倒さないと城には入れないだろ」
「でも橋の上じゃ大勢で攻めるのは無理よ」
足止めが目的と言うだけあって俺達が何もしないと敵も橋に立っているだけで攻めてくることは無く、隊長と思われる人物と話していたレティーナが戻ってくる。
「テツヤさん、どうやら城に入っていった賊は5人だそうです。それと王都に居た将軍達はほとんど城内とのことです」
(それなら必要以上に魔力を残す必要もないか、無駄に時間をかけたくないし)
「分かった。考えていても仕方ない、少々強引だが力づくで突破するか」
「はぁ~、やっぱりそうなるのね」
「僕達らしいよ、でもあの鎧に攻撃が通るかな?」
よく見るとリビングアーマーの足元には矢や折れた剣や槍が散らばっている。
「たぶん大丈夫だろ、2人の武器はミスリル製で魔法もかかってるし」
「アバウトだなぁ」
「駄目だったら退避して作戦を練り直すから、ほら行くぞ」
「は~い」
兵士達は俺達の行動にあまりいい顔をしなかったが、レティーナが隊長に説明し俺達は橋へと駆け出した。リビングアーマーが俺達に合わせるように大剣を振り下ろし、1つを俺が剣で流しもう1つをシュリが盾を出現させて防ぐ。そこを狙ってカイムが槍を繰り出すと1体の片腕を突き飛ばし、注意がカイムに移った瞬間にシュリは剣を一閃し大剣を持った腕を斬り飛ばした。
「効いてる!」
「思っていた以上に強力な魔法武器だったようだね。2人共リビングアーマーは鎧の中のどこかにコアがある、それを壊さない限り動き続けるから!」
「テツヤさん! この武具のお陰で私も十分戦えるから、あなたは城門前の賊をお願い」
「分かった、油断するなよ」
2人を残し俺は賊の方へ走り出し、迎撃しようと向かってきた賊2人を一瞬で斬り伏せる。
「ダナン、お前はここで終わりだな」
「ふん、リビングアーマーのような魔物なんかなくても俺だけで十分だったんだ」
「随分自分を評価してるんだな、そこまでの実力者には見えないが」
「お前みたいなガキと違って多くの実戦をこなしてきたんだ」
そういってダナンは腰の剣を抜き、一気に間合いを詰め斬りかかってくる。
(たしかに速い、言うだけの事はある・・・が)
ダナンの攻撃を剣で弾くとダナンはすぐに間合いを離れるが、同時にこっちから間合いを詰め体勢を整えられる前に2連撃で身体を十字に斬り付けた。
「降伏しろ! あの男以上の実力があるならまだしも、その程度では俺には勝てない」
「俺が・・降伏だと・・・・、ガキが俺を見下してんじゃねぇ!」
ダナンは若干発狂しながら斬りかかってくる、先程とは違って速さも正確さも無いヤケクソのような攻撃だ。
(俺みたいなガキにやられた事で自信喪失で精神がヤバイ状態だな、説得は無理か)
俺も駆け出しダナンの攻撃を躱しながら斬り抜けた。ダナンは剣を振り下ろした状態で倒れ伏し2度と動くことはなく、それを一瞥した後ちょうどリビングアーマーを倒した2人のもとへ歩いていった。




