仮想編第1話Act1-3
Act1-3
~チュートリアル~
インストール中に説明書に目を通しておこう。
(今回のソフトか・・・)
タブレットにダウンロードして・・・ファイルを開く。
“本ソフト"TWHaR"はヴァーチャルダイブマシン"ABRAA"専用のソフトです。”
“©ABRAAはWheel Of Fortune Corporationの商品名です。”
“©TWHaRはWheel Of Fortune Corporationの商品名です。”
“警告!このゲームには青少年に有害な表現が含まれています!”
“含まれるもの:暴力シーン、グロテスクな表現、性行為、殺人、その他の犯罪、その他公俗秩序に反する行為、低俗な行為”
“PG-12”
ウン10年使い回されたお決まりの文句が説明書の表紙に並んでいた。
「"TWHaR"のインストールが完了しました」
ABRAAからメッセージが飛び出た。
(遅れないようにアバターを作っとくか)
ABRAAを頭に被り、ベッドに横たわる。目を閉じ、スイッチを入れる。それだけで周囲から雑音が消えた。意識が現実世界の肉体から切り離されたようだ。
目を開けると、天井ではなく、ワイヤーフレームでできた壁が目に入った。
寝っ転がってたはずが、いつの間にか棒立ちになっている。
「"TWHaR"の世界へようこそ!ここではあなたの分身たるアバターを作成します。なお、アバターの容姿は自動で作成され、変更することはできません」
音程高めの合成音声が聞こえてきた。
アバターを自動構成してくれるのはありがたい。自作の”人とは判別不能なアバター”でプレーしろ!よりは後腐れ無い方法だ。
「では、あなたの分身の名前を入力してください」
中空にウィンドウらしきものが出現した。中身はテキストボックスとキーボードだけだ。キーボードをタッチしていく。
“フルフル”
使い慣れた名だ。
「これよりアバター、”フルフル”を作成します」
一瞬だけ視界が暗くなった。
・・・視界が戻ると、キーボードの横に姿見が出現していた。姿見の前に進む。
(さて、どうなったかな?)
・・・期待しすぎないことに越したことはなかった。
一言言いたい!・・・Unbelieeeeeeeeeeeeeeeeevable!
(可愛い!僕のアバター?)
身長はリアルよりかなり低めだ。黒のポニーテールの髪型をしている。バンドを解いたら肩にかかるくらいかな?全体的に顔の彫りが浅い。モンゴロイド系なのは確実だ。眉が細くて、睫毛は長めだ。服装は・・・クリーム色で無地のポリエステル製だと思うTシャツにショートパンツ・・・じゃなかったスカート?胸のあたりが申し訳程度に膨らんでるような気がする・・・
(???もしかして・・・)
最も単純で確実な確認方法を取ろう。“フルフル”の上下の大事な所に手を移す。
・・・上は柔かい手応え、下は盛り上りが少ない手応えだった。
(女の子?・・・僕が?・・・ありなんだ・・・)
ちょっと低身長で細身なハイティーンの少女アバター、それが“フルフル”なのだろう。このタイプは初めてだ・・・まあ使ってるうちに慣れるだろう。ただ、恭介と真理紗には気を付けなければ、ナンパだけで済めばいいけど
多分済みそうにないな。気を取り直して、チュートリアルをチェックしよう。
・・・っとその前に、
(せっかくだから・・・)
システムナビと鏡の中の“フルフル”以外に観客はいないが、あえて声に出す。
「しばしの別れだ"僕"・・・初めまして"私"」
眉間の皺を伸ばして・・・代わりに目尻に皺を寄せて・・・無理やり唇の両端を釣り上げる。
目の前の“フルフル”が“私”に向かって微笑んだ。だが口元だけで目元はなかなか動かない。それも長くは続かなかった。
「次に使用する武器を選択してください」
(武器は使い慣れたものがいいだろう)
“剣”を選択する。
「それでは、残りのSkillを決定します」
テキストボックスが2個空中に出現する。その中で判読不能な速度で文字が回転していた。
10秒くらい経っただろうか。ボタンを押した覚えはないが、スロットマシンの如き回転が止まった。“調合”と“エンチャント”・・・それがテキストボックスの中身だった。
・・・2つのSkillはおまけくらいなのかな?
「アバターの作成が完了しました。次にチュートリアルに移行します」
(メモしとこう)
メモ帳を意識する。なぜか紙のノートとボールペンが手元に現れた。こういうとこは融通が利くな。
読み上げられたことをノートに書き込んでいった。
⋮
“・アバターの能力はLvとSkill構成、Skill Lv、装備によって決まる
・Lvが上昇すると装備可能なSkillの数が増える
・装備は武器、メインフォースフィールド(FF)、サブFF、アクセサリ、服が存在する
・武器、アクセサリ、服は装備数に制限はない。但し、躰から離すことはできない。離れた場合は装備が解除される
・メインFFは1つのみ装備可能。サブFFの装備数はメインFFの装備に依存する。メインFFを装備していない場合、サブFFは装備不可能
・近接武器、及び弓はMPを消費し、アーツ(技)が使用可能
・戦闘中にSPが最大になると必殺技が使用可能になる。初期で使用できる必殺技は要撃(受けるダメージが減少し、攻撃時に受ける衝撃を無効にする)と乱撃(習得しているアーツ、魔法を無制限に使用できるようになる。射撃武器の場合は連射能力が向上する)がある。
・プレーヤーが死亡した場合は街の診療所で復帰する(デスペナルティあり)
・公共の場所でR18な行為は禁止。但し、プライベートエリアで倫理制限を解除した場合はその限りではない
・BBSはログイン中にいつでも見ることができる。
・ゲーム内では時間経過が24倍に加速される。
・連続ログイン限度はゲーム時間で2日間(実時間で2時間)、超過した場合は強制的にログアウトさせられる“
(だいたいこんなもんかな)
「本日はチュートリアルを最後までお聞き頂きありがとうございます。こちらを受け取り下さい」
ナビからのプレゼントを握らされる。手を開くと、カードだった。
“名称:ALMFベーシック 種別:フォースフィールド(メイン)”
・・・読めたのはそれだけだった。
(何事も人の話を聞いておくもんだ)
「それでは"TWHaR"の世界をお楽しみください!」
それまで存在したものが全て消滅した。




