仮想編第1話Act2-5
Act2-5
~不明な敵、それでも諦めぬ者~
崩壊しかけた建造物が見える。それも数えるのをやめるくらいの数だ・・・どう見てもステップじゃない。
(他のエリアへの転移もありなのか・・・)
見覚えが無い。どこなんだろう・・・
(はぐれてしまった・・・)
困った時のパーティチャットだ!
「みんな無事か?私は廃墟で迷子だ」
「・・・"振り出しに戻る"・・・だ」
「南の森で小鬼とイケメンに御対面中!」
「街に戻ったわ・・・ひとまずは安全かしら?」
「同じ位置にテレポートよ・・・木のてっぺんに」
バラけた・・・
「合流できそう?」
「すぐには無理そうだな」
「私も・・・遠すぎるわ」
「ステップの入口に集合しよー」
GPSが欲しい・・・
「この場所、わかる?」
「SSを見る限りは・・・そうね、ノビスシティ北の廃墟っぽい?」
「なら、街経由で行く」
「HPポーション土産にくれ」
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対戦シーンだ!っと言ってもプレーヤーではなかった。昨日戦った連中でもない。
チーム1は目測体長1m位の巨大クモが2体。赤黒ツートンカラーの装甲を全身に纏っている。
対するチーム2は架空の生物だろう。多分緑の鱗のトカゲ人・・・だと思う。得物は剣と盾だ。
思わず“Round one fight!”と挙げたくなる状態だが、叫ぶ代わりにやるべきことをやろう。パーティーチャットを開いた。
「エリー姉!今SS送った!見覚えある?」
しばしの沈黙・・・危険なのだろうか?
「・・・嘘だと言ってよ!」
いつもの元気そうな感じは何処へ行った?くらいの変わり様だ。
「・・・トカゲ人は初見よ・・・クモの方は・・・トランススパイダースケイプ・・・βではLv35だったわ・・・なかなか斃せなかったからよく覚えてる」
ここは本当に?不安になってきた。
「・・・思い出した!“廃棄島”だ!確かノビスシティの転送ゲート修理イベントでいけるとこだ!」
「!ちょっとLv3で斬り合えるような場所じゃないわ!フルフルは転送ゲートを探して!私達が修理するから!戦っちゃダメよ!」
「フルフル姉!今すぐ場所教えて!10分で行くから!」
「どうやってくるつもりだ?」
「んなもん、さっきのテレポスイッチを踏みに行くに決まってんだろ!」
言ってることが無茶苦茶だ・・・後先考えない2人が心配してくれるのは嬉しい・・・が、この2人が救援隊に入ると余計事態が悪化することは間違いない。
「2人とも!"迷子"を量産しないでくれ!」
「まあ、フルフルなら考えなしに突っ込んだりはしないはずよ」
現状では脱出方法が見つからない。下手に来られるとアスラムとテウルギアまで被害者になり兼ねない。実際問題、どう脱出するか・・・
5人でチャットしている間に対戦が終了したようだ。結果は”トカゲ人Won!”だった。HPの残りが見えない・・・もしかしたら後一押しで斃せるかもしれない。
だが、相手はLv35のクモ2体分以上の戦闘能力を持っている。見えないだけでHPは相当残っている可能性もある。この場から立ち去るべきか・・・?
トカゲ人の後方5m位が崖になっている。万が一斃せなくてもダイブすれば追ってはこれないだろう。戦ってみる価値はある!
買ったばかりのライフルを構える!
こっちを向いた・・・が気付かない。
後を向いた!
(斃れてくれ!)
トリガーを引く!発砲!・・・発生したのは銃声だけだ。ヒットスパークは見えないし、命中音も聞こえない・・・外れた!ホーミングしてくれよ!
トカゲ人が気付いた!こっちへ走り寄ってくる!
レバーを引く!排莢・・・もう一度トリガーを引く!発砲!・・・外れた!
(肝心な時に!)
レバーを引く!排莢・・・トリガーを引く!発砲!・・・外れた!
レバーを引く!排莢・・・トリガーを引く!発砲!・・・外れた!
レバーを引く!排莢・・・トリガーを引く!発砲!・・・外れた!
レバーを引く!排莢・・・トリガーを引く!発砲!・・・命中!・・・それでも向かってくる!
レバーを引く!排莢・・・トリガーを引く!発砲!・・・外れた!
レバーを引く!排莢・・・トリガーを引く!発砲!・・・命中!・・・それでも向かってくる!
レバーを引く!排莢・・・トリガーを引く!発砲!・・・命中!・・・それでも向かってくる!
レバーを引く!排莢・・・トリガーを引く!発砲!・・・外れた!
レバーを引く!・・・トリガーを引く!・・・何も起こらない!
(ジャムった?!)
レバーを引く!トリガーを引く!・・・何も起こらない!
レバーを引く!トリガーを引く!・・・何も起こらない!
レバーを引く!トリガーを引く!・・・何も起こらない!
レバーを引く!トリガーを引く!・・・何も起こらない!
レバーを引く!トリガーを引く!・・・何も起こらない!
レバーを引く!トリガーを引く!・・・何も起こらない!
(すぐ近くまで来てるのに・・・!)
レバーを引く!トリガーを引く!・・・何も起こらない!
(・・・もしかして・・・弾切れ!?)
敵はすぐ目の前だ!しかも私を討ち取らんとしている!
左手でライフルをブン投げる!トカゲ人が盾を繰り出してきた!銃身年齢の若すぎる銃が盾に命中!簡単に振り払われた!ライフル銃は木片と金属片をまき散らして消滅した・・・。
短い間だった相棒の最後の奉公を使って、右手で剣を構える!トカゲ人が突きかかってきた!
左に逸れる!トカゲ人の左脇をすり抜けた!ついでに胴払いをお見舞いする!
撃破確認?そんな暇なんてない!やることは一つ!崖めがけて全力疾走あるのみ!ヘルプミー!って叫びたい・・・が、抑える!ここじゃあ、ヘルプ=キルだから!
なぜか風切音が聞こえてきた!こめかみの近くを三角形の物体が通過した!
(飛び道具あるのかよ!)
こんなんくらったら間違いなく一撃死だ!もう帰りたい・・・腰が抜けそうだ・・・まだ死にたくはない・・・やるべきことが残ってるのに!
闘争心もへったくれも、多分大人として大事なものも色々捨てて崖にたどり着く!踏切線は無いけど走り幅跳び!
足から派手に水飛沫があがった!次は膝、手、そして顔面だった・・・
(・・・下が川で良かった・・・)
全身水浸しだ。カムフラージュができたとして無理やりこじつけよう・・・




