はんぶん
「もう二週間しかないんだけど!」
「まだ二週間もあるんじゃん」
「夏休みあと二週間で終わっちゃうって言ってんの」
「だから頑張ってやってんだろー。ここなんだっけ、綱吉?」
「はぁ、まだまだねー。ここは家光、参勤交代は家光でしょ」
「覚えらんねーよ、徳川ばっかり」
「一族なんだから当たり前でしょーが。……本気でやってる?」
「本気でやってるから、まじで」
「もう、バカ。いったん休憩、おばちゃんにアイス貰ってくるから」
「前言ってたバニラのヤツあるよ」
「……ん。ありがと」
「はい、これ」
「おー、ソーダのやつ。サンキュー!」
「なんかこればっかり食べてるから」
「おれこれ好きなんだよね。ガリガリって食感がさ」
「食べたら速攻やるからね」
「あいあい」
「てかなんで宿題してからとか言い出したん?」
「学生の本分は勉強ザマス」
「うざ、そんな真面目じゃなかったでしょ」
「真面目になったんだよ」
「なんかあったん?」
「天啓ザマス。授業中に降ってきたザマス」
「あんたよく寝てるもんねー。落ちて来やすそう」
「二学期からは真面目にやるって」
「ふーん。あ、アイスもう半分も食べちゃったの、お腹壊すよ?」
「まだ半分しか食べてないの、今日はゆっくりペース。サキはゆっくり食べろよ、体冷やすとなんとかって言うし」
「慣れないお気遣いどーも、なんか変じゃない?」
「全然変じゃないけど」
「変でしょ」
「別に変じゃないって。……あー宿題しなきゃな。まだ感想文やってねえ」
「オススメの本教えてあげよっか!?クラスの子たちがこれで書くかもって言ってたやつとか」
「いいじゃん、橋田さんとか?」
「うん、はっしーとか、あと鳥山君とか?」
「あー、じゃあパス」
「なんで。鳥山君そんなだっけ?」
「この頃嫌いになったんだよ」
「別に良い人だけど。真面目だし」
「だからな」
「は?意味わかんない」
「別にいいじゃんか。それよりサキのやつ教えてくれよ。それで書こうかな」
「……『徳川十五代の歴史』」
「おとなしく別の探すわ」
「そうだ!はっしーが今度みんなで海行こって」
「ふーん」
「ナオトも行く?」
「行く行く。宿題終わったらな」
「は?じゃあたしだけ行っちゃおっかなー」
「え」
「なに」
「……いや、宿題終わったらすぐ行くから」
「いつ終わんの」
「本当にもう終わるんだって」
「まじで何?あたしさ、他にも行きたいとこあったんだけど。フェスとか、お祭りとかさ。行きたくないってこと?」
「だからさ、……ん? え、あー、……おれと?」
「ここには二人しかいませんけど?」
「……宿題、やめた」
「は?」
「海もフェスも祭りも全部行こ。毎日遊ぼう」
「……バカ、詰めすぎ。……まだ二週間もあるんじゃん」
「逆でしょ、もう二週間しかないんだよ!」




