はらはる
「ちょお聞いて!原春が波留に告ったらしいで」
「春原君が?春やなぁ」
「卒業式のポスター貼ってはる波留んとこ行きはって、腹くくって言いはったんやて」
「ふうん」
「ほんなら波留、顔真っ赤に腫れたみたいになってはったらしいわ。原春も原春で、声張ってまうし、バリバリに空気張り詰めてはったて、見てた子ぉが言うてはったわ。えらいハラハラしたんやろなぁ」
「はあ」
「こっからよ。波留ちゃん泣きはんねん。そんで原春あわてて『ハロー、ハロー、ごめんな』て。ハローてなんやねん。腹よじれたわ」
「ははっ」
「そのときは『考えさせて』て言わはったんよ。ほんで今朝や。波留がはるばる隣町からバラ持ってきはってん。値張ったみたいやけど、ええの入った言うてはったわ。でもハズかったんかな、渡さんとポスターの横に貼らはったんやと。後から先生が『廊下に花貼らはったん誰や』て張り紙しはるし、原春は針でボードにそのバラ刺して飾らはるし、もうめちゃくちゃやねん」
「うん」
「しかもな、バラの棘で指ぃ腫れてはる原春に波留が絆創膏貼ってあげはったら、ここであの治くんがバリバリ割り込んで張り合わはったんよ。こらもう腹相撲しかないてなって、腹と腹で張った張ったて。粘って原春が勝ちはったらしいわ。バラバラやったまわりも一緒になってハラハラしはったて!」
「……うん」
「…………ふう」
「…………」
「……ほんでな、今日の昼やねんけど」
「……まだあんのかい」
「晴れ間にな、原春と波留が中庭で並んで座ってはったわ。バラの鉢、二人で針金張って支柱に括らはって。なんや二人で晴れ晴れした顔してはったわ」
「……なんかええやん」
「せやから春やなあ、て思ったわ」
「……最初にうち言ったて」
「——で、ここからやねんけど」
「……もうええやろ」
「治くんたちな、こっそりバル行ったんバレたらしいんよ。先生から逃げてパレードみたいに廊下突っ走ってきはって、ちょうどバラの鉢パリーンてひっくり返しはってん。花びらパラパラ、土バラバラ。でも原春が波留のこと庇わはったんやって。『危ない波留!』て」
「うん」
「そんでな!波留のやつ原春に抱きついてん!!『波浪やなくて、やっと名前で呼んでくれたね』……って!キャー!!」
「うん」
「——うん、て。あんた今日ずっとそれやん。一言くらいなんかないん?」
「……もう、腹いっぱいやねん」




