第79話 からかい
目が覚めるとランと目が合った。
「うぉ、起きてたのか」
「うん。おはよー」
「あぁ、おはよう」
寝ている間にランを抱きしめていたようだ。
尻尾がモフモフだからな。仕方がない。
「んっ、だめぇ……」
モフモフするため、尻尾を触ると、艶のある声を出される。
「もう……夜中ずっと揉まれてたんだからね」
「そうか、すまんな」
尻尾は感じるらしい。再確認の為、もう一度尻尾をモフった後、付け根の方を触ると、ビクンと体を強張らせた。
「んぅ、だ、めだってぇ……」
「朝から発情してるんじゃない」
「むー、タカシくんが悪いんでしょー」
「ほら、起きるぞ」
「もーう!」
発情しているランを放置して起き上がると、ミリアも起きていたようで、こちらに合わせて体を起こす。
「お、はよう、ございます」
「ミリアちゃんおはよー」
「おう、おはよう。どうしたんだ? 調子悪いのか?」
「……朝からイチャイチャを見せられたら、こうなりますよ」
それは悪い事をした。明日はミリアとイチャイチャしよう。
「妬いているミリアさん、一緒に朝ご飯を作りましょう」
「や、やい!? 妬いてません!」
「ん……ふぁぁ、おはようタカシ」
「んー、どう、したんですかぁ……あ、おはようございますです」
「ほら、ミリアが大きな声出すから、皆起きちゃったじゃん」
「もう! いつも私が悪いみたいじゃないですか!」
「ミリアが可愛いから、からかってるだけだよ。さぁ、飯作ろう」
「また誤魔化して!」
ミリアを宥めつつ、着替えてから朝食の準備に入る。
しばらくぷんぷんミリアだったが、何とか治まり、調理も終わったので食べ始める。
「ミリア、調子に乗ってごめん。大好きだよ」
「うぅ、もう……いいですから」
ミリアも落ち着いたので、本題に入る。
「そういえば、今日あたりスワルトに到着するんだよな?」
「そうですね。ただ、スワルトは森の奥にあるので、道中はモンスターと戦う事になると思います」
「そうか。久し振りに狩りができるな」
「おー、やっとランも戦えるんだね?」
そうだった。ランの事を忘れていた。そろそろポイントを割り振ってあげよう。
早々に食事を終え、ステータスを変更することにする。
▼ラン・フォン・クドラング Lv.11 獣闘士 Rank.E
HP:528(378+150)
MP:294(294+0)
ATK:216(168+48)
MAG:84(84+0)
DEF:263(210+53)
AGI:216(210+6)
STR:4(+ -) VIT:5(+ -) INT:2(+ -) DEX:5(+ -) CHA:14* (0)
JOB:M獣闘士Lv.11 S獣戦士Lv.1 冒険者Lv.1 獣剣士Lv.1 村人Lv.2
SKL:ハードラッシュ オーラパワー 体力上昇小 防御力上昇小
EQP:キラークロウ+2 セイフクブレザー レザーガントレット+1 フェザーブーツ+1 パワーリスト+1
INV:王家の証 ナイフ ブラシ ハサミ 兎の肉16
GLD:白貨0、金貨31、銀貨18、銅貨0
こんなものだろう。あとは、マリーか。
マリーには先日作った服――ミコフクを装備してもらおう。
▼マリー・カレーズ Lv.9 精霊術士 Rank.E
HP:294(294+0)
MP:470(420+50)
ATK:139(126+13)
MAG:285(252+33)
DEF:277(252+25)
AGI:168(168+0)
STR:3(+ -) VIT:4(+ -) INT:6(+ -) DEX:4(+ -) CHA:14(+ -) (0)
JOB:M精霊術士Lv.9 S使徒Lv.9 冒険者Lv.1 射士Lv.1 奴隷Lv.1 村人Lv.2
SKL:風精霊召喚 魔力上昇小 初級火魔術
EQP:ウィッチスタッフ+3 ミコフク リボン ミコサンダル
INV:マナポーション7 投げナイフ10
GLD:白貨0、金貨0、銀貨49、銅貨100
使徒があるから、低レベルでもやっぱり全体的にステータスが高いな。
まずは精霊術士を30にしないことには、何も始まらない。
マリーにはまだ実戦経験がないから、森に入ったら中距離で精霊を使って戦ってもらおう。
「よし、皆も食べ終わったみたいだし、片付けたら出発しようか」
「はい!」
「ん」
「分かりました!」
「はーい」
洗い物は俺とミリアで済ませ、昨日作っておいた目印まで飛ぶ。
そこからは練習を少な目に、森を目指して雑談をしながら進む。
「タカシ、森が見えた」
「そうか。じゃあ、ここからの作戦だ。まず、先頭にラン、次に俺、その後ろにマリー。ランとマリーは、このパーティーでの実戦経験がないから、俺がフォローする形だ。後方はミリアとファラに任せるぞ?」
「はい!」
「わかった」
ランは俺が守るとして、二人には後方を注意しながらマリーを守ってもらおう。
心配ではあるが、二人のステータスなら大丈夫だろう。
そうやって、何通りか戦い方を相談している内に森に到着。
「さぁ、行こうか」
「いこーいこー」
ランが先頭ということもあってノリノリだな。
バカみたいに突っ込まないよう見ておかないとな。
しばらく森を進むと、ハーピーやラットなどが出てくるが、こいつらはもう余裕だ。
ラン一人に任せておいても問題ないだろう。現にザクザク一撃で狩っているし。
やっぱり、現状ではフィールドに居るモンスターは相手にならないな。先日の精霊モドキを省いて。
これ以上のレベルアップを図るのであれば、ダンジョンに行くしかないか……。
それにしても、ランはモンスターが出てくる度に全力だな。
ステータスを操作したことは言っていないけど、サクサク狩れることが楽しいのかもしれない。
複数モンスターが出てきた時だけ、サポートしてあげよう。
楽しんでいるランを眺めながら進んでいると、狼や百足なども出てきた。色々出てくるなこの森は。
早くレベルも上げたいし、百足に仲間を呼んでもらうのも良いかもしれないな。
ラットも出たことだし、何処かに巣があるかもしれない。
そういうところを見ながら進もう。
「タカシくん、ここのモンスター何か弱くない?」
「そうでもないぞ。俺がお前に攻撃力が上がる魔法を掛けているから、そう感じるだけだ」
「そ、そんなことも出来るの!?」
「あぁ、出来るぞ。但し、上限があるがな」
「なになに、何!? 教えてー」
「詳しくは、俺に一番ご奉仕してくれているマリーに聞いておけ」
「えぇー、いいじゃーん。今教えてよ!」
面倒だったので無視して先に進む。
すると、エレメントが出てきた。
こいつ、こんなところでも出てくるのか。
初めて見る色だったので、フォーカスを使うとウインドエレメントという名前だった。まぁ、森だしな。
「ほら、ラン。やってこい」
「えぇ!? あいつ硬いんだよ!?」
「いいから、行け。今のお前ならやれるから」
「うーん、分かったよ。やーっ!」
ガチンガチンと爪で傷を付けている。普通にやれるな。
――と思ったら、吹き飛ばされてきた。
ウインドというくらいだから、風魔法で飛ばされたのか。
「いつつ……。むぅ、ダメじゃーん!」
「お前が真正面で戦うからだろう?」
「だって、タカシくんがやれるって言ったから……」
――ザシュッ!
吹き飛んできたランを介抱している間に、マリーの精霊が風の刃で切り裂いて終わっていた。
「お、マリーやるじゃないか。って、マリーじゃなくて精霊だが」
「はい! 精霊さん強いです!」
前見た時は大したことなさそうだったが、精霊は主の魔力に依存するのだろうか?
今度実験でもしてみようかな。ファラの召喚もついでに実験してみるか。
「お前は精霊以下だな」
「ひどい!? ランだってやる時はやるんだから!」
「わ、わ、私はそんなつもりで言ったわけじゃ!?」
そんなやり取りをしながら、ふとミリアとファラの方を見てみると、ジッとこちらを見ているだけだった。
「どうした、ミリア?」
「あ、いえ、その、楽しそうだな、と」
「おやつ」
寂しいのか!? ちょっと放置しすぎたな。
前にビエグで放置した時、泣いて寂しがってたもんな。
「もうお前達二人で大丈夫そうだな。俺は休憩するから、後は前衛よろしくな」
「分かったよー」
「はい!」
マリーとランに前衛を任せて、ミリアとファラの方へ行く。
「すまんな、ミリア。寂しかったよなー」
「さ、寂し、わけ、なじゃなすか!」
本当に寂しかったらしい。それより、なじゃなすかって何だよ。
「はいはい。ファラ、すまん。そういえば、そろそろおやつの時間だったな。今は森の中だし、もうちょっと待ってくれな?」
「わかった」
「もう! 別に寂しくないですって!」
ミリアの頭を撫でてあげつつ、ファラにはおやつを我慢してもらう。
そんなミリアをからかいつつ、ランとマリーの動きを見ながら一時間ほど狩りを続けると、少し開けたところに出た。
「ここでおやつにするか」
「うん!」
「休憩? ちょうど喉が渇いてたところなんだよー」
「休憩ですね、分かりました」
小屋を作ると視界が遮られて逆に面倒になるかもしれないと考えて、ミリアにテーブルと椅子だけを作ってもらい、休憩にする。
「そろそろ良い時間だし、もう着くんじゃないか?」
「そうですね。もうちょっとだと思います」
「おい、ラン。ちょっと見てきてくれ」
「へ?」
ランが、マリーに入れてもらったお茶を飲みながら、椅子に座って寛いでいたので、カップをテーブルに置いた瞬間、突然上空に飛ばしてみる。
「きゃあああああっ!」
ランのパンツを見ながらのおやつ。これはこれで良いな。
「タカシさん、いきなりはびっくりしますよ」
「まぁ、ランだしな」
「もう……」
上空で止まり状況を理解した後、落ち着いたようで、ちゃんと周りを見ている。
不意打ちには弱いけど、環境に慣れるのは早いんだな。意外だ。
ランが合図をしていたので、下ろしてあげる。
「もうすぐそこみたいだよ」
「もうすぐって、どのくらいだ?」
「うーん、すぐだよ」
「やっぱりランはランだな」
「どういうこと!?」
ファラを抱っこしたままランをからかいつつ、ミリアとマリーにフォローを入れてもらいながら楽しんでいたら、すぐにクッキーを食べ終わったので、再出発する。
「さぁ、行くぞ。今日は昨日の疲れが残っているから、さっさと帰りたいしな」
「もー! それはタカシくんの自業自得でしょ!」
「違うだろ、お前が後悔させてやるとか言ったくせに、結局何も出来なかったからだろう?」
「うぅ……」
そうやって下ネタでランを責めつつ、先を急ぐ。
途中、ミリアがまた何か妄想していたみたいだったので、少しだけからかっておく。
「ミリア、今妄想してただろ? ミリアにもしてあげるからな!」
「い、いい! いいです! しなくていいです!」
「だーめ。マリー、ランの次はミリアって決めてるから」
「勝手に決めないでください! ダメですからね! ちゃんと、その、順序というものが!」
「分かった。じゃあじっくり攻めていくよ」
「分かってないじゃないですかーっ」
ミリアをからかっていると、ファラがつついてきた。
「タカシ、ファラは?」
「ファラは最後に楽しもうな?」
「わかった」
そうだった。ファラが居たんだった。適当に最後と答えてしまったが、どうするか。まだまだ調教……じゃない。色々と性というものを学んでもらってからにしよう。
ファラの事をどう扱おうか考えていると、前方に街の外壁らしい人工物が見えてきた。
ただ、正門ではないな。
「街の門はどっち向きだ?」
「ええと、確か南向きです!」
「そうか。じゃあ、ここいらで家に戻るか。もう夕方だしな」
「はい!」
マリーに方向を教えてもらい、皆で家に戻ることにした。
家に着いた後は、すぐに部屋着に着替える。
エストルの鍛冶屋に行きたかったが、疲れているし、まだ出来ていないだろうから、後回しにして調理を手伝うことにする。
食後は、そのまま皆で風呂に入り、疲れていたので、すぐに布団に入る。
「ミリア、ファラ、マリー、いつもの練習をしてくれ」
「はい。タカシさんは、もう寝るんですか?」
ベッドに横になっていた俺を見て、ミリアが質問してきた。
「あぁ、疲れているからな。お前達もいつでも寝られるよう、出来るだけ倒れても良い状態で練習しろよ?」
「分かりました」
ミリア達が練習を開始したところで、ランにも課題を与える。
「おい、ラン。俺が寝るまでに、俺を後悔させてみろ」
「えぇ!? ちょっと! 皆見てるじゃん!」
「知らん。時間は俺が寝るまでだからな。はい、スタート」
「ちょ、ちょちょちょっ!」
ランが納得していない様子だったが、本当に眠かったので、適当な受け答えのまま目を瞑って体を解放する。
その後、数分してから、胸を触ってきたり、お腹を触ってきたりしていたが、これがまた良い感じに眠気を誘う。
あぁ、気持ち良い……。
――いつの間にか寝ていた。




