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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第一章
67/145

第66話 パパ

 パーシルの前に、ファラを出し、わざとらしく聞いてみる。


「えぇ。ウチの、ファラ・オスロに何か?」

「おお、なんということだ……」


 よろめいたところをヴェルトが支える。

 雰囲気からして父親ではなさそうだし、親戚か何かだろう。


「あ、そういえば、奇遇ですね。ウチのファラもオスロです」

「ファラ……大きくなったな。俺を覚えているか? お前の叔父だ。叔父のパーシルだ」

「知らない。家は知ってる」

「お前は小さかったからな……そうか……知らないか……」


 俺の発言は無視され、ファラの肩に両手を乗せ、ファラと会話をするパーシル。叔父だったのか。


「お前が奴隷として売られたと聞いて、驚いたぞ」

「そう。今はタカシの奴隷」

「そうなのか!? あの魔術バカめ……っ!」

「ファラの叔父だということは分かりました。それで、俺達を呼んだ理由は何ですか?」


 魔術バカとはファラの父親のことだろう。今はどうでも良い。とりあえずは、要件を聞いて面倒なら去る準備をしないといけない。


「すまぬ。まさかファラに出会えるとは、思ってもいなかったのでな。お主達を探していたのは、先日の一件で、お主達に褒賞を授けようと思ってのことだ」

「そうですか。それは嬉しいですね。それで、褒賞とは?」

「何か望む物を出そう。金は今、街の復旧に使っておるから、あまり出せぬが、お主達は冒険者なのであろう? 装備やアイテムなどの旅に使える物など、どうだ?」

「アイテムですか……。何かを貰えるのであれば、金や土地などが良かったんですが」

「そうか。ふむ、立ち話もなんだ、茶でも飲みながら話そうではないか。おい」

「かしこまりました」


 パーシルの合図でヴェルトが部屋を出て行く。お茶の用意をするためだろう。


 どうせ貰えるのなら、と要望を伝えてはみたが、ダメそうだな。


「金か土地か……ふむ。今用立てられるのは100金くらいだ。これでは流石に少ないであろう。しかし土地は余っておらぬし……」


 100金もくれるの!? 土地は残念だが、それだけあれば土地とか余裕で買えるんじゃないのか……?

 でも、パーシルが100で少ないと言っているということは、まだ何か貰えそうだな。厚かましいが要望を言ってみるか。


「では貰えるのでしたら、1白貨と装備をいただけますか?」

「おお、そうか! 金はどうしても復旧に使うのでな。すまぬ。すぐにでも用意させよう」

「いえ、俺達もお金目的で討伐したわけではないので」

「そのことなのだが、ファラも居るので話しておこう」


 まさか、お金目的ではないとか言ってしまったから褒賞は無し。とか、そういうことにはならないよな?

 でも、ファラを名指しだから違うのか?


「この度のモンスター襲撃の件なのだが、実はな……犯人を既に捕まえておるのだ」

「犯人はパパで、召喚」

「ファラ、お前……し、知っておったのか!?」

「知らない。ただそんな気がしただけ」


 俺もそんな気はしていた。ただファラだけは確信していたような感じではあったが。

 それよりもパパか…俺も呼ばれてみたいな。


「そうか……。それでな、お前を実験に使い、挙句の果てには売るような魔術バカだが、あれでも協会に属している。だから縁を切る程度しかできなんだ――協会を敵に回したくはないのでな。それで、対応としては、二つしかないのだよ」

「牢に入れるだけ、とかダメなんです?」

「俺は領主だ。その身内が街を破壊して死者も出したのだぞ? このまま、モンスターが突然現れて暴れたと発表して協会に貸しを作って隠すか、もしくは公開処刑でもして、身内だからといって甘くはないと住民に示すしか選択はないのだ」

「なるほど。ただ、ファラの父親が召喚したという事実を知っている人は、間違いなく他に居ないんですか?」

「分からぬ。協会の人間は、あいつが研究していたことを知っておるから、大体の事情は知っているとは思うが」


 それ、もう手遅れだろうに。何を悩んでいるんだ?

 兄弟だからか? それとも、ファラが居るからか? 選択する必要なんてないだろう。さっさと処刑しろよ。


「その考えでいくと、処刑しか考えられませんね」

「そうなのだ……。今は牢に入れておるが、うーむ……ファラ、お前はどうして欲しい?」

「どうでも良い」

「ど、どうっ!? あれでも、お前の父親なのだぞ?」

「パ……、ファゲンはファラを実験道具として見てた。家族じゃない。ファラの親はママだけ」


 父親の名前はファゲンなのか。別にパパと言って良いのに。


「本当に良いのか……? もう会えなくなるのだぞ?」

「捨てられた時、もうファラのことは必要ないと思った。それに、もうタカシが居るからいい」


 そうだった。人体実験の末、売られたんだもんな。


「お前、タカシ殿の奴隷なのだろう? 主人を呼び捨てとは……」

「タカシから好きに呼べと言われた」

「そうか。大事にしてもらっているのだな。俺には子どもが居らぬ。だから、お前を養子にとも考えたのだが……」

「いい。タカシの側に居ると約束した」


 養子か……奴隷を譲渡したとしても、奴隷は奴隷のままだしな。養子にしても領主にはなれないだろう。

 それに世間体もある。本気か? まぁ、権力争いに負けた親族を奴隷にするっていうのも聞いたことあるし、大丈夫なのかもな。


「そうか。分かった。では、あいつの処遇についてはこちらで考えよう」

「ん」

「何か困ったことなどあれば、俺のところに来なさい。出来る限りのことはしてあげよう」

「わかった」

「おい」


 話は終わったようで、ヴェルトが呼ばれる。


「予定通り、褒賞を与える。ヴェルト、案内してあげなさい」

「はい。こちらへどうぞ」

「タカシ殿……少しだけで構わぬ。ファラと、二人で話をしても良いだろうか?」


 ソファーから立ち上がるとパーシルがお願いしてきたので、ファラの方を見る。


「ん」


 頷いている。まぁ、大丈夫だろう。


「どうぞ。じゃあファラ、少しパーシルさんの話相手よろしくな」

「わかった」

「すまぬな」


 ファラとパーシルだけ部屋に残し、ヴェルトの案内の下、倉庫のようなところに到着する。


「こちらが武器庫になります。お好きなだけお持ちください」

「ありがとうございます」


 ヴェルトを含め四人で武器庫に入り、早速装備を物色する。


クロスボウ+3

ハルバート

バトルアックス+2

アイアンクロウ

キラークロウ+2

スコーピオンダガー+2

ツインブレード

フェザーレイピア+3

アイアンフレイル

ウィッチスタッフ+1

ウィッチスタッフ+3

マジックロッド+2

ムーンステッキ+2


ナイトメイル+2

チェインメイル+1

ミスリルアーマー


ミスリルシールド+3

ミスリルシールド+1


パワーリスト+1

パワーリスト+1

マジックリスト+2

マジックリスト


サークレット+2

サークレット+1

サークレット+3


フェザーブーツ

フェザーブーツ+1

スコールブーツ

アイアンブーツ


封印の護符3

ライフポーション20

マナポーション30

パワーポーション3

マジックポーション4


 武器だらけで、あまり良さそうな、または使えそうな防具がない。また、あの街に作りにでも行くか。

 遠慮して数個だけ選ぼうと思ったが、あまりにも大量にあったので、良さそうな物だけ適当にインベントリに入れる。


「これだけ貰えれば十分です」

「左様ですか。あと、こちらは先程言っておりました分です」


 トレイの様な物に、一枚だけ白貨が乗っているので、受け取る。

 これだけ貰えれば十分だ。今まで何日も狩りをして手に入れた分と同等以上だろう。満足満足。


「ありがとうございます」

「いえ、こちらこそ主に代わりお礼申し上げます」

「それでは俺達は、そろそろ帰ろうかと思うんですが……まだ話しているでしょうね」

「えぇ、そうですね」


 褒賞を貰うのがこんなに早く終わるとは思わなかった。まだファラ達は話をしているだろう。


「あぁ、屋敷の庭に休憩するところがありましたよね。あそこに案内してもらえます? 話が終わるまで、そこで待たせてもらいますよ」

「承知いたしました。お心遣い感謝いたします。では、こちらへどうぞ」


 屋敷に入る前に庭を見たところ、片隅に屋根付きのお茶をするスペースがあったので、そこに案内してもらうことにした。


「では、主にはここでお待ちであるとお伝えさせていただきます。すぐにお飲物をご用意させていただきますので、しばらくお待ちください」

「はい」


 ヴェルトが屋敷に戻ったので、先程褒賞として選んだ武器の性能を確認しておく。


「タカシさん、こんなにもらって良かったんでしょうか」

「いいんじゃないか? こっちから寄こせとは言ってないし、命をかけて戦ったわけだしさ」

「にゃん!」

「そう、ですか。そうですよね」


 そんな話をしていると、メイドがお茶を持ってきてくれたので、飲みながら一息入れる。


「ふぅ。たまにはこうやってのんびりするのも良いな」

「えぇ、そうですね」

「にゃん……」


 俺は武器防具の確認、ミリアは協会で貰った冊子を読み、マリーは俺等の間で二人の見ている物を交互に見ている。

 それにしても、長いな。ファラは大丈夫だろうか。


「そういえば、ファラはどんな話をしているんでしょう?」

「さぁ。父親に会ってみないかーとか、養子に来ないかーとか?」

「タカシさんは、ファラがこの屋敷の養子に行くって言い出したらどうするんですか?」

「ファラはやらないよ? ファラとパーシルさんには悪いけど、諦めてもらう。代わりにマリーを置いていくよ」

「にゃんっ!?」


 あ、今のは分かった。「私!?」って言ったんだろうな。何となく分かるようになってきた。


「それはあんまりじゃ」

「いや、別にそうでもないでしょ。あいつ奴隷だよ? 譲渡したとしても、奴隷のままだし、奴隷が領主の跡取りなんて無理だろう」

「それはそうですが……」

「それに、奴隷だとしても、オスロの血は引いているんだ。パーシルさんの後に領主になった奴からは、当然疎まれるだろう。そうなると、何されるか分かったものじゃない」

「そこまで考えてたんですか……そうですね」


 いや、今思い付いただけなんだけどね。

 でもまぁ、ファラは渡さない。力づくで奪うというのであれば、戦争も辞さない。一瞬で消し炭にしてやる。

 そんな妄想を頭の中で繰り広げていたら、ファラとパーシルがこちらに向かってきた。


「待たせたな」

「ただいま」

「おかえり。話は済みました?」

「あぁ、すまんな。振られてしまったよ……」


 やっぱり養子として迎え入れる為の話だったのか。


「ファゲンに会ってきた」

「は? 今捕まっているんじゃなかったか?」

「いや、普通の牢だと魔法を使われる可能性があるからな。俺の屋敷の地下に封印を施して幽閉しているのだ」

「なるほど。どうだった、ファラ?」

「変わらなかった」


 淡々としているな。これから処刑されるかもしれないのに。


「いいのか? もう会えないかもしれないんだぞ?」

「いい。捨てられる時に別れは済ませたから」

「そっか」


 表情は相変わらずだが、少しばかり俯き加減だ。少しは思うところもあるのだろう。

 慰めも込めて頭を撫でてやる。


「それじゃあ、行くか」

「ん。おじさん、パパをよろしく」

「あぁ、頼まれた」

「それでは、また近くに来た時は顔を出しますね」

「そうだな。その時は飯でも用意しよう。食事をしながらでも、旅の話を聞かせてくれ」

「ん。ばいばい」


 そう言って屋敷を後にする。

 ファラに聞いた話だと、ファゲンの処遇は、ただ殺すだけでは罰が軽いと住民に説明後、処刑は止めて、奴隷にして罰を与えつつ、幽閉を続けるそうだ。終身刑ってやつかな。

 もう会えないかと思っていたが、また会えるな。良かったな。


 今日の予定は全て終わったので、また小屋に戻る。

 宿屋に泊っても良いが、こっちの方が風呂にも入れるし、皆と好き勝手できるからだ。


 さて、飯食って風呂入って寝ますかね。

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