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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第一章
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第64話 条件付け

 前の街で、奴隷だと協会に登録ができないという事が分かったし、まずは魔術協会について考えないといけないな。


 ミリアは奴隷だった。当然、それを知っている人が居る。バレたら退会とかもあるだろうし、どうしたものか……。

 証拠を提示するのは簡単だが、一度奴隷であるということが協会には知られてしまっているしな。


 協会の偉い人に賄賂を贈って加入、は後が怖い。ミリアが奴隷だということを知っている人が居るわけだから。


 知っている人の記憶を飛ばす……のは現実的ではないな。それに、出来るかどうかも分からないし。

 知っている人を消す……のは出来ない。街を滅ぼすことになる。


 現実的に考えると、協会に登録する為、奴隷を解除したんです。というのが無難だろうか。

 そうなると、俺が死……ぬわけにはいかないので、誰かにミリアを譲渡して、そいつには死んでもらったという設定かな。

 でも、俺がそいつを殺してしまったことになる。それは流石にマズイだろう。捕まるかもしれないし。


 盗賊にミリアを奪われ、奴隷が解除されたところで救い出した、というのはどうだろうか。

 ダメか。そもそも盗賊が奴隷を解除できるわけがなし……。


 奴隷を解除する魔法を開発しました……色々なところを敵に回しそうだから止めておこう。


 どうしたもんかな。もういっそのこと、諦めるか?


 色々考えてもキリがないな。


 まぁ何とかなるか。バレたらバレたで奴隷ではない証拠を提示すれば良いんだ。

 何で奴隷じゃなくなったのか突っ込まれたら、色々あったとか言って誤魔化そう。別に正直に言う必要はないんだし。

 あまりにしつこい様だったら、そいつだけ神口を使ってどうにかすれば良い。


 そう考えると、神口便利だな。色々と用途がありそうだ。実験したいし、三人にも聞いて案を出してもらおう。


「タカシ、プリンできた」

「ん? おお、もう作ったのか。早いな。じゃあ次はクッキーでも作り置きしておこうか」

「わかった」


 ファラは本当にお菓子が好きだな。作る時も真剣で、見たらすぐ覚えるし、その時だけは積極的になるし。


 そういえば、ファラの親がオスルムに居るんだったな。ファラから聞いた時からどんな奴なのか気になっていたんだよな。

 召喚術士だという話は聞いたが、ファラを実験に使うくらいなんだ。実験ばかりやっているんだろう。

 俺から会いに行くことはないだろうし、どうでも良いか。


 あと、昨日戦ったモンスターは何だったんだろうか。

 マリーは精霊であって精霊ではないって言っていたし、ミリアは知らないと言っていた。


 それと、あいつをミリアに回収させたら、赤い玉を落としたらしいが、それが核なのだろうか。

 まだミリアに持たせたままだが、勝手に売っぱらうことなどはないだろうし、別に良いか。必要になった時にでも受け取ろう。

 モンスターに詳しい人でも居れば良いんだが……。まず、俺に知り合いなんて居ないしな……ギルドに行った時に聞いてみるか。


 本当に分からないことだらけだな。


 今分かっていることと言えば、ステータスやマップなどのシステム。それと一部のスキルの効果、くらいか。

 他人の名前が見えるのに、モンスターの名前やステータスが見れないのは、これから先厳しいよな。

 何かこう、ゲームみたいにリストで表示されるとか、それぞれの個体の頭の上に表示されるとか、そういう機能があれば……。


「おーい、ミリア。ちょっと良いか?」

「はい、なんでしょう」

「モンスターと戦う時ってさ、そいつのレベルや残りの体力ってどうやって普通は判断するんだ?」

「ギルドにでも行けばまとめられた本があります。恐らく、過去の冒険者達がまとめたのだと思いますが、生態や弱点なども詳しく書いてあるので、それをメモしたり暗記したりしています」

「そっか。ありがとう」


 ミリアを呼び寄せて聞いてみたけど、勉強して覚えるのか。

 当然の事だとはいえ、普通だな……。


 質問は終わったのでミリアがファラとマリーの元に戻る。


「戻りました」

「にゃん」


 その光景を見ながら、ふと思った。

 マリーに放ったにゃんにゃんは、特に日数や時間などを設けていないが、この場合ってどうなるんだろう?


 俺のMPが減り続けているのなら分かるが、減っていないのに効果は持続している。俺が解除するか、死ぬまで続くのだろうか。

 いや、精霊モドキに試した行動阻害は一定時間で解除されたし、これもその内解除されるのだろう。

 別に解除されなくても、そのままの方が楽しいから良いか。何か問題が起きるまでは放置しておこう。


 それよりも、やりたいことを神口で言葉に発しないといけないのは効率が悪い。先にこれをどうにかするべきだ。

 発言を魔法詠唱などの言霊に詳しい人なんかに聞かれてしまうと、魔法には存在しない効果などはすぐにバレてしまう。

 無詠唱や短縮詠唱みたいなものがあれば良いんだが……。


 あ、マリーが発言する言葉に干渉できたように、自分の発言する言葉に干渉するよう神口を施せば……いけるか!?

 ただ、そのままだと日常会話で同じ言葉を使った時に、いきなり発動ってことになるから、発動する時には、正しく条件指定を設定する必要があるな。

 よし、まずは実験だ。


「タカシ・ワタナベの目が遠くまで見えるようになる」


 窓の外を見ながら、神口を発動して効果を確認後、解除する。

 効果を確かめた後、更にその言葉に重ね掛けする。


「タカシ・ワタナベが、口に魔力を込めて、目が遠くまで見えるようになる、と発言しようとした場合、千里眼と発言してしまうが、意味は同じ」


 MPが二倍減ってるな……言葉自体の置き換えと、その置き換え後に意味を付与したから、その二つの効果分なのか?

 今まで気にしていなかった。神口を使う際は複数の効果がないか注意しないとな……まぁ、あったとしてもMPが減るだけだが。


 よし、実験してみるか。


「タカシ・ワタナベの千里眼」


 お、ちゃんと効果が発動する。すごいな!

 ただ、TV番組のタイトルみたいでダサいな。名前指定ではなく指をさすことで対象に発動できるようにしておこう。

 細かい条件設定もできることも分かったし、他にも色々と設定を施して確認しておこう。


「ファラ、ちょっときてくれ」

「うん?」

「ここに、何か召喚してくれないか?」

「わかった」


 もう一つだけ実験したいことがあるので、最近偵察などに良く使っていたビーを召喚してもらう。


「ありがと。少しの間このままにしておいてくれ」

「わかった」


 ファラには戻ってもらい、ビー相手に神口の実験を行う。


「ステータス表示」


▼召喚獣 Lv.2

HP:50(50+0)

MP:50(50+0)


ATK:50(50+0)

MAG:50(50+0)

DEF:50(50+0)

AGI:50(50+0)


 こいつ何気に強いな。マリーと良い戦いが出来るんじゃないか?


「弱点を光らせる」


 羽の付け根が光っているな……。

 あぁ、飛んでいるモンスターなのだから、当たり前か。


 単語だけだと意味は少し変わってくるが、言葉が長いと本末転倒だし、俺が分かれば良い。とりあえず、ステータス確認をフォーカス、弱点表示をウィークとしよう。

 ステータスや弱点が見られるのは助かる。ただ、精霊モドキの時に思い付いていれば良かったのにな……。

 でも、これでこれからの戦闘が少しは楽になるな。


 あとは攻撃力と防御力に関してかな。


 ビーで実験する為、こちらに引き寄せる。


「魔法攻撃障壁」


 魔法攻撃が反射する壁をビーの全体に張り、小さな炎をぶつけてみると、ビーには当たらずテーブルの方に炎が逸れて、落ちた。

 ぶつける炎を少しづつ大きくして、何度か投げつける。


――ビシッ ビシッ パリンッ


 何度か実験すると、反射と言っても限度があるらしいが、魔力を込める量でそこは調整出来るようだし、これはこれで成功か。


「物理攻撃障壁」


 次に物理攻撃を反射する壁をビーに作って、魔法と同じように、ナイフで実験する。


――キンッ キンッ パリンッ


 かなり力を入れて、やっと割れた。そこそこ強いな。これもやっぱり反射というよりは壁だな。


「攻撃力上昇」

「物理攻撃障壁」


 自分に攻撃力上昇付与を行い、ビーに障壁を張って、再度実験。


「魔力上昇」

「魔法攻撃障壁」


 更に魔法の実験も行う。

 どちらの実験も終わったので、今度は魔法障壁を張った状態でナイフで攻撃してみた。


――ブシュッ


 あ……刺さっちゃった。そうだよね。当たり前だよね。


――スゥー……


 そりゃあ、死んじゃうよね。ごめんよ、ビー君。


 これで攻撃、防御、偵察、敵の詳細確認が出来るようになった。

 長距離移動は出来るし、あとは……はっ!?

 色々と今後の戦闘に関することを考えていたが、違うんだ。そうじゃないんだ。俺は別に強さを求めているわけじゃないんだ。


 女の子だ。


 危ないところだ。強い敵が出てきたからって、考えがそちらに向かっていた。

 確かに力は必要だが、それは二の次だ。


 ゲームだって居るじゃないか、ある程度力を付けたら、後はモノ造りに走ったり、その世界を楽しんだりする奴等。

 俺はそっちを目指しているんだ。別に最強を目指しているわけではない。


 人々から勇者勇者と崇め奉られるのは気分が良いが、色々と仕事を押し付けられるのは面倒だしな。

 そんなことに時間を使うくらいなら、女の子と家の中でゴロゴロイチャイチャしていたい。


「にゃん」

「タカシさん、そろそろ夕方なので夕飯の準備をしたいんですが」

「あ、あぁ。すまん。色々と実験や考え事をしてた。すまんが、三人で準備してくれないか?」

「分かりました」

「にゃん」


 ミリア達に食事の準備をお願いして、続けて今後の事を考える。


 金はそこそこある。

 こうやって野宿するのも良いが、そろそろ帰る家が欲しいよな。神脚があるから、いつでも行き来できるし。


 もし金が足りないのであれば、神脚を使って物資輸送などで輸出入を手伝い、金を稼ぐという手もあるし。

 既に転移魔法がある事は知っている。それを輸送に使っているところを見たことはないが、俺が思い付くくらいなんだ。同じ事を考えて実践している奴等は当然居て、需要はあるだろう。


 そう考えると、当面の目標としては女の子達と住む家の確保。

 あとは、土地の確保だな。ふむ、結局、必要なのは金か……。


 神脚の為にも色々な街を回っておきたいし、旅を続けながら、家の為の良い土地を探しつつ、金稼ぎか。

 目標が明確になっただけで、ワクワクしてきたな。


 そんなことを考えている間に晩飯の用意が出来たらしく、四人で食事を摂る。


「何か、タカシさん、静かですね。体調でも悪いんですか?」

「え? あぁ、いや、ちょっと能力や今後の事を色々と考えていてな。別に調子が悪いわけじゃないよ、心配ありがと」

「にゃん!」

「なら良いですけど……」


 マリーが能力という言葉に反応したみたいだが、何を言っているのか分からないので、無視しておく。


「よし、風呂に入って、魔法の練習して、明日に備えて寝るか!」

「はい」

「ん」

「にゃん!」


 風呂の中でもファラの体を洗いながら色々と考え、三人の魔法の練習を見ながらも考える。


 簡単に稼げる方法は……オスルムを救ったということで、協会に登録したミリアに報奨金でも出れば良いが。

 後は、ランの国に行ってあの時のお礼を受け取ることくらいか。


 どちらも善意でやったことに変わりはないが、俺は聖人君子でも何でもない、ただの普通の人間だ。当然、欲はある。

 こちらから要求するのはあざとくて嫌だが、こちらから何も言わずに貰えるのならば、貰える物は貰っておこう。


 あとはダンジョンだな。先日のダンジョンは楽勝だった。

 あれからまた強くなっているし、もう少し古いダンジョンに行くのも手だろう。神脚で外に出られないか確認もしたいし。

 ダンジョンについては、諸々の予定が済んだら考えよう。


「よし、寝るぞー。マリー、昨日の続きがんばれよ」

「にゃん!?」


 裸になって横になると、ファラとミリアがまだ起きているのにも関わらず、跨ってきた。


「にゃん……」


 色々頑張ってはみたようだが、ダメだったようだ。


 はぁ……。トイレ行ってから寝よ……。

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