表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第一章
62/145

第61話 リベンジ

 休憩後、ミリアが起きるのを待って今後の事を再確認する。


「うぅ……あれ? どうして家の中に……?」

「おはよう。ミリア、体に痛いところとかないか?」

「え……、あぁ、あ!? 何か突然視界が……あれ!?」

「さっきモンスターに一撃でやられたんだけど……覚えてない?」


 いきなりだったからな……やられたっていう感覚がないのだろう。

 突然の事で少し混乱している様だが、体に異常はないみたいだ。それだけでも、良かった……。


「それで……? どうなったんですか!?」

「俺が全力で戦ったんだけど、傷を与えるだけで、どうしようもなかった……だからこの小屋まで逃げてきた」

「え!? タカシさんでも倒せなかったんですか!?」

「うん。魔法が全く効かなくてさ……。相手の動きを止めて全力で殴ってみたんだけど、傷を付ける程度だった」

「そんな……」


 ミリアの中では倒せると思っていたようで、ショックを受けている。自身は一撃でやられたのに……。

 さっきの戦闘を見て、諦めてくれたか聞いてみよう……。


「倒せないと思うんだけど、どうしようか?」

「もう一度行きましょう! 皆で力を合わせればイケます!」

「マリー。あいつの攻撃力をナメてるだろ。ミリアは掠っただけだからこの程度で済んだけど、もし直撃していたら、即死してたかもしれないほど、強力なんだぞ?」

「えぇ!? そんな攻撃だったんですか!?」


 ミリアは見る前に意識を失ったからな。仕方ない。

 でも、ファラとマリーは見てただろう。あれを何度も食らう度胸は俺にはないぞ? 当然、三人の誰かが盾になってもらうのはあり得ないし。諦めるしかないだろう。


「最後俺が食らった攻撃、ファラもマリーも見てただろ? あれ四発喰らったら俺、死ぬよ?」

「みた」

「でも……あのままでは、街の人達が……」

「私は見てないですが、そんなにすごい攻撃だったんですか?」

「ただの体当たりだよ」

「うえぇ!?」


 あの攻撃に名前なんてものは無いだろう。ただ正面に向かって突っ込んできただけだし。

 うん、体当たりで間違いない。


「ただの体当たりを四発程度で……?」

「うん、間違いない。マリーなら掠っただけでも即死するレベルの攻撃だった。ミリアだって、あれにやられたんだぞ?」

「そうですか……意識のなかった私が言うのも何ですが、マリーの言う通り、私達が何もしなければ街の人達がどうなるか分かりません」

「俺は、生きるか死ぬかの戦いは嫌だぞ? 街の住人に何かしてあげたいのなら、ザクなんとかに戻って救援を呼んでやるよ」


 その発言で、俺の意志を察したのかお通夜ムードになった。

 別に無理してあの街を救ってやることはないだろう。ファラには悪いが、死んだら意味がない。


「じゃあさ、ミリア。お前がやるか? 援護はしてあげるよ? それか、あいつを倒す方法を何か考えてみてくれよ。それに納得出来たら、もう一度だけやってやるよ」

「でも、私はそのモンスターの姿とか見てませんし……」

「うーん、土の塊だった。マリーが言うには精霊のような何かということらしい。そもそも精霊って倒せるのか?」

「土の塊の精霊……ですか。仮に精霊だとしたら、魔法は効きません。そうなると、封印するか、物理的に破壊するしかないです」


 封印ってどうやるんだよ。封印の護符で何とかなるようなレベルじゃなかったぞ。閉じ込めても飛び出てきそうだ。


「封印ってどうやるんだ?」

「高位の空間魔法で閉じ込めて、その空間を切り離すんです。要はダンジョンみたいに」

「その空間魔法を、この四人の誰かが使えるか?」

「いえ……」


「じゃあ、破壊するしかないですね!」

「俺の攻撃力、そこらに居る戦士より高いんだぞ? それで、あいつは欠けた程度だった。それでやれると思うか……?」

「そ、そうです……よね」


 いや、待てよ? 今は遠距離魔術系だから、近接戦闘系のジョブを上げれば良いだけなのか……。

 神口でリセットして、戦士系で戦うか? それなら攻撃力や防御力も、現在の魔力並になる。

 でも、そうなると魔法が使えないし、魔術士のレベルも上がらない。あいつは強い。当然経験値的なモノも多いだろう。

 三人の為なら進んでリセットするが、赤の他人の為だからな……。何かメリットがないとなぁ……主に夜系の。


「手がないわけではない。でも、お前達三人が心配だ。特にマリーは、一撃でも喰らったら即死だしな」

「足手まといで申し訳ないです……」

「いや、あんな奴と戦うなんて想定していないんだから、足手まといとか関係ない」

「ありがとうございますです」


 まさか、あんな奴が街のど真ん中に居るとは、誰も思わないだろう。マリーを責めるのは筋違いだ。


「絶対にあいつを倒さないといけないって訳ではないんだぞ? 何でそこまであいつにこだわるんだ?」

「……だって、目の前に助けを求めている人が居るんですよ?」

「むりならいい」

「救いの手を伸ばしている者の手を掴んでこそ、勇者では……」


 まだ勇者って言ってるな。正直、しつこい。


「じゃあ、どうしたいんだよ……それと、お前らが勝手に勇者と呼んでいるだけで、俺は勇者じゃないぞ?」

「すみません……でも、何とかできるのであれば、その、何とかしたいです」

「俺にメリットは?」

「わ、私にお仕置きしても良いですので!」


 こいつ、お仕置きがされたいだけじゃないのか?

 でも、まぁ、仕方ないな。お仕置きは大事だもんな。


「えっと、タカシさんが言っている、手がないわけではないっていうのは、何なんですか……?」

「あぁ、それか。要は破壊すれば良いんだろ? だから壊れるまでひたすら殴るんだよ。ただ、それだけだ」

「さっき、自分で無理って言ってたじゃないですか……。あ、それとも、本当は出来るんですか……?」

「出来るよ。殴れば良いだけだし」


 あ、出来るって言っちゃった……。

 まぁ、ステータスを魔法寄りから物理寄りにすれば良いだけだ。出来ない事はないだろう。その代わり、皆には逃げに徹してもらわないといけないが。


「じゃあ……」

「あぁ、もう! 分かった! 分かったよ、やるよ! やれば良いんだろ!」

「えへへ、流石タカシさんです! 知ってますよ、本当はただ面倒なだけで、やれるんですよね! 私も手伝いますから!」


 こいつ、奴隷じゃなくなったからって強気になりやがって……今までの分の仕返しでもしてるつもりなのか?

 ちくしょう……立場が逆になった訳じゃねぇからな! その可愛いらしい笑顔、夜になったら泣かしてやる。色々なところをな。


「じゃあ行くか。ミリア、ファラ、俺があいつを倒すまで、土の小屋を作って籠っていても良いから、全力でマリーを守れよ?」

「分かってます!」

「わかった」

「ありがとうございます!」


 マリーが大きな声でお礼を言っている間に、小声でステータスをリセットし、ジョブを剣士に変えた後、STR、VIT、CHAにポイントを振る。


▼タカシ・ワタナベ Lv.1 剣士 Rank.B

HP:1817(1767+50)

MP:401(513+50)


ATK:946(912+34)

MAG:238(228+10)

DEF:908(855+53)

AGI:285(285+0)


STR:16(+ -) VIT:15(+ -) INT:4(+ -) DEX:5(+ -) CHA:19(+ -) (0)

JOB:M剣士Lv.1 SアンノウンLv.32 僧侶Lv.30 魔術士Lv.26 冒険者Lv.9 聖職者Lv.1 村人Lv.1 闘士Lv.1 戦士Lv.1 射士Lv.1 神官Lv.1

SKL:スラッシュ 攻撃力上昇小 魔力上昇小* 初級治癒* 初級治療* 初級付与魔術* 初級合成魔術* 神手 神眼 神脚 神口

EQP:シルバーソード+4 アイアンシールド+1 ハーフプレート レザーガントレット+1 レザーブーツ+1


 これだけ近接特化にすれば十分だろう。


 今回はマリーの体を好きにして良いということで手を打つか。

 さっさとあいつを殴り倒して、マリーをめちゃくちゃにしよう。

 そうと決まれば、全力だ。


「よし、行くぞ。街に飛ぶから、着いたらすぐあいつの所まで走るぞ。見つけたら、全力で防御、俺とあいつの距離が空いたら全力で土魔法を使って岩をぶつけまくれ。良いな?」

「大丈夫です!」

「ん」

「ハイ!」


「あ、ミリアとマリーはお仕置きだからな。覚えておけよ!」

「んなっ!?」

「ハイ!」


 ミリアが何か言う前に、皆を抱き寄せ、神脚を使って街の入口まで飛ぶことにする。


――シュンッ……。


 まだ逃げ遅れた人が居るのだろう。相変わらず町中から叫び声などが聞こえる。

 とりあえず、声のする方へ急いで向かおう。


「あっちだ。行くぞ」

「お仕置きって何でですか! 何で私もなんですか!?」

「ん」

「ハイ!」


 ミリアだけ納得のいかないような事を言っていたが、無視して走りだす。

 声のした方では何かがぶつかる音がしている。あいつが暴れているのだろう。


 音のした所まで辿り着いたところで、建物の中からバキバキと音がするを確認。


「障壁張って、壁を作って防御しておいてくれ。行ってくる」

「もう……気を付けてくださいね」

「わかった」

「お願いします!」


 ミリアのテンションが下がっているが、仕事はちゃんとしてくれるだろう。

 武器を構えて精霊モドキの前に出る。


「おい、こっちだ」

「ビキキ……ビキ……」


 そうか。会話できないんだった。

 でも反応はしてくれたな。


「倒れろ!」


――ビタンッ!


 効果時間はあまり長くないが、相変わらず神口は効くらしい。時間延長とかどうやるんだろう……。次はもっと魔力を込めてみるか。


「フン! ハ! オラァ!」


――ガインッ! ドッ! ドガガッ!


 今持っている武器で一番攻撃力が高い剣を装備したが、これはもう斬撃の音じゃないな……。鈍器だ。


 数発殴ったところで、タックルを食らい吹き飛ばされるが、ダメージはそれほどではない。

 ミリアとファラが岩をぶつけている間に起き上がり、急いで接近して再度剣で殴る。


――ガッ! ガツッ!


 再度吹き飛ばされる。

 何だよ、この原始的な戦い……。


 起き上がり、ミリア達の岩攻撃が止まる前に接近しようとしたところで、岩が複数飛んでくる。

 慌てて盾でガードしたが、脚や肩に食らってしまう。


――ドドド!


 いてぇ……。こいつ魔法も使えるのかよ……。

 そうだ、精霊だから当たり前か……。


「くそっ! 死ね! オラ!」


――ガガッ!


 やっと精霊モドキの左上部を破壊出来た。どれだけ硬いんだよ……。


「止まれ!」


 神口で動きを止めた後、破壊した部位を更に強打する。


――ボガッ! ズガッ!


 そして、また体当たりを食らい、吹き飛ばされたところに、岩の砲弾が飛んでくる。

 今度は来るのが分かっていたので、盾で防ぐことができた。


 盾で防御している間に治癒を使って回復。ついでにマナポーションも飲んで神口用にMPを回復しておく。


 再度接近して殴り掛かるが、相手も学習したようで、攻撃が届く前に体当たりしてくる。


――ドカッ!


 いてぇ……それにしても、地味な戦いだな……。くそっ……。


 それから何度か殴って飛ばされたところで、精霊モドキの大体半分を破壊出来た。

 やっと半分か……。こういう奴って大抵、核とかあるもんだろ? 半分破壊したのに、見えないし……どういう構造なんだよ。


 とりあえず真っ二つにする為、集中して中心を攻撃し続ける。

 中心にある程度傷を付けたところで、再度動きを封じる。


「後ろを向け!」


 後ろを向く為に反転している間にダッシュして、全身の力を込め、剣を刺す。初めて剣として使ったな……。


――バキンッ!


 中心に傷を付けていた甲斐もあり、後ろから刺すと、上下に分裂して地面に崩れ落ちる精霊モドキ。


――ガラガラガラ……


「やっとかよ……疲れた……」


 殴って飛ばされて、また殴って飛ばされて、ある意味修行だったな……熱血スポーツ漫画の主人公になった気分だ。

 疲れたので、その場に大の字になって寝転がる。

 あぁ、盾も剣もボロボロだ。鎧も所々凹んでいるし、そろそろ武器防具も新調しないとな。


「はぁはぁ……もう無理」


 寝転がったところで、三人が走り寄ってくる。


「「「タカシ!」さん!」様!」

「ふぅ……多分倒せたはずだ。でも、念の為マリーは近付くなよ。ミリア、注意しながらそいつが何なのか確認してくれ。回収できるならしてくれ」


 ミリアに任せて、寝転がったまま休憩すると、ファラが回復してくれている。

 普通の冒険者は、こんな奴どうやって倒しているんだ? 今度ミリアに聞いてみよう……。


 マナポーションを飲んで、少しでもMPを回復しておく。

 精霊モドキを見ると消えていたので、どうやら回収できたようだ。

 やっぱりモンスターだったのか……?


「タカシさん、回収は出来ましたけど、私も初めて見るので、アレが何だったのかは分かりません……」

「タカシ、おつかれさま」

「タカシ様、ありがとうございます!」

「疲れた。少し休ませてくれ……」


 目を閉じて少しだけ休憩する……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ