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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第一章
47/145

第46話 ラン

 丁度料理を全てテーブルに並べたところで、アバン達がやってきた。


「すっごーい。いつの間にかご飯できてるじゃん!」

「準備など全てお任せしてしまい、誠に申し訳ありません」

「いえいえ、折角ですからね。それじゃあ食べましょうか」


 アバンと狸に続き、他の四人も各自席に着いたので、食べることにする。


「そういえばタカシ様。我々は獣人の国である、クドラング王国から来たのですが、タカシ様は何処から来られたのですか?」

「あー、東の方から来ました」

「……そうですか。ダンジョンから出ましたら、是非一度お越しください。おもてなし致しますので」

「はい、ありがとうございます」


 国名なんて答えられねーよ。ジャパンって答えれば良いのか?

 でもアバンは空気を読んだようで、それ以上は尋ねてこなかったので助かった。


 それにしても獣人の国はクドラングというのか……ランの名前が“ラン・フォン・クドラング”だから、やはり姫で間違いないのだろう。


「魔術は故郷で修練されたのですか?」

「いえ、こっちの国に来てからですね。故郷では普通に働いていましたよ」

「おお、それでこの魔力量……才能というのは恐ろしいものですね」

「タカシはすごい」


 何故かファラが得意気になってる。ミリアは余計な事を言わないように黙っているようだ。それが賢明だな。


「そちらのお二人とは、師弟のようなご関係なのですか? 魔術士のようですが」

「あぁ、この二人は俺の奴隷であり家族です。魔法を教えている最中でして」

「まだ若いのに、奴隷で魔法が使えるとは……やはり教える方がすごいのでしょう……」

「いえいえ、この子達は元から素質のある子達だったので」


 今思えば二人共、魔術士家系だから素質はあったんだよな。


「そちらのパーティーはどのような繋がりなんですか? 獣人だけのパーティーは珍しいと聞いたんですけど」

「タカシくん、すごいよね! アバンがタカシくんを欲しいっていうの分かるよ」

「ちょ、ラン様! な、何を言っているんですか!」

「アバンさんが、俺を?」

「うん、ランの専属魔導士になってくれないかな?」


 何言ってんだコイツ。

 あ、良い事思い付いた。この狸バカっぽいし、ちょっと情報引き出してみようかな。


「ランは、専属魔導士が欲しいの?」

「うーん、別に欲しいってわけじゃないけど、ラン達は魔法が使えないから、居てくれると助かるかなー?」

「やっぱり獣人の姫と言えど、魔法は使えないんだ?」

「うん、そうなんだよー」


 やっぱりバカだこの狸。

 ほら見ろ、アバンが頭抱えてるし、他の面子も食事を中断して、ポカンとこっち見てるじゃないか。


「ランはやっぱり姫なのか」

「うん、そうだ……はっ!?」

「姫様……」

「皆さんの気苦労、お察しします」


 さて、どうイジってあげようかな。


「それで、何で姫がダンジョンなんかに入ってきたんだ?」

「あれ? タカシくんはランが姫だって分かっても言葉遣い変えないんだね!」

「地位とか名声とか興味ないし、狸だし」

「狸は関係ない! ほら、アバンも何とか言ってあげてよ!」

「はぁ……」


 アバンはもうどうにでもなれスタンスのようだ。


「タカシ様、一応これでもラン様は姫です。できればその……」

「アバンさんは礼儀正しいし、年上っぽいからちゃんと話しますけど、こいつはその、何ていうか、アレなので」

「アレってなに! ランだって怒る時は怒るんだからね!」

「まぁまぁ、ラン様落ち着いて。それより今は食事中です。席を立つなんて行儀が悪いですよ」


 立ち上がってこちらに来ようとしていた狸娘をアバンが宥め、席に着かせる。


「それで、何故ラン様が姫だとお分かりに?」

「え、何かそんな感じがしたので」


 アバンがたまに姫って言ってたし、国の名前がランの名前に入ってたから分からないはずがない。

 でも、言うとアバンが責められるだろうから黙っておこう。


「タカシくんすごい! 今まで誰もランの事姫だって分からなかったのに!」

「タカシ様、すごい洞察力です」


 こいつら、実は揃いも揃ってバカなんじゃないか?

 まぁ、名前は俺にしか見えていないみたいだから置いといて、アバンは自分で言ってただろうに……。気付かない方がおかしい。


「それで? 俺を専属にするってことは、護衛にでもしたいってこと?」

「うん! すごく強いし、頼もしいかなって」

「やだよ。俺のモノになるならまだしも、俺がそっちのモノになるなんて」

「そうですか、残念です。しかし、気が向きましたら是非、我々の下へお越しください」


 姫の護衛……側近ならば色々とおいしい話ではあるが、定職に就く気はない。一応返事はしておいたが、行く事はないだろう。


 そんなスカウトを受けながら食事は終わる。

 結局、他の四人とは全く話ができなかったな。料理を作ってくれた猫娘には興味があったのだが残念だ。


「さて、それではお開きとしましょうか」


 食後に水を飲みつつまったりしていると、アバンがお開き宣言をしたので、片付けを始める。

 ランパーティーも片付けをしつつ、家の方に戻るようだ。


 今日は珍しくファラが率先して皿を運んでいるので、運んできてもらった皿を洗うことにする。


「あ、そうだミリア。ここは俺がやっておくから、先にお風呂沸かしておいて」

「はい……」

「ファラは運び終わったら俺の方手伝ってくれるか?」

「ん」


 ミリアには風呂を沸かしてもらい、ファラと一緒に洗い物をする。


「ファラ、そういえばクッキーって知ってる?」

「くっきー? 知らない」

「甘くてサクサクしたお菓子だよ」

「おかし! タカシ、持ってるの?」

「今日は料理や後片付けがんばってくれたし、作り方教えてあげるから、明日一緒に作ろうか」

「うん」


 今一瞬ニコっと笑ったぞ。かわいいなぁ。ファラが喜んでくれるなら、いくらでもお菓子を作ってあげよう。

 そんなファラを撫でたいけど、洗い物の途中なので、我慢する。


「タカシさん、準備できました」

「おお、ミリアもありがとうな。こっちもちょうど終わったよ」

「おわった」


 さて、俺の楽しみである一つ、お風呂にでも入りましょうかね。


「それじゃ風呂に入って寝る準備でもしようか」

「はい……」

「ん」


 ファラは早々全裸になった。ミリアも今日は素直に服を脱いでいる。よしよし。

 女の子が服を脱ぐのって何でこんなにエロいんだろうね。全裸より、その脱ぐ工程の方が興奮する。

 そんな事を考えながら興奮しつつ、風呂に入る。


「ミリア、今日は元気ないけど、どうしたんだ?」

「だってその、お仕置きが……あるので……」

「あぁ、心配しなくても大丈夫だよ。ミリアを痛めつけたりなんて絶対にしないし、お仕置きというか、俺へのご褒美っていうか、そんな感じだからさ」

「……エッチなことだって……言ってたじゃないですか……」


 エッチな事がそんなに嫌なのかよ。別に犯すって言ってるわけじゃないんだから、そこまで深く考えなくて良いのに。


「大丈夫。ミリアの妄想しているようなことじゃないから」

「なっ! べ、別に何も妄想なんてしてません!」

「そんなことより、ほら、今日は色々あったし、体を洗って布団に入ろう。な?」

「もう!」


 モーモーミリアが現れたので、ファラの体を洗ってあげる。

 ミリアもブツブツ言いながら自分の体を洗っている。


 ある程度洗い終わったところで、入口の方で音がした。


「誰か来たか……?」

「アバンさんでしょうか」

「一応、警戒しておいてくれ」

「ん」


 三人で警戒しつつ、リビングの方へ注視すると、バカっぽい声が聞こえた。


「タカシくん! 何か家から煙出てるんだけど! 大丈夫!?」


 バカ狸だ。

 そうか、煙突作ってるからな。風呂の湯気が外に出ていたので、心配してわざわざ来てくれたのか。

 というのは建前で、興味があったから来たのだろう。


 そのまま風呂の方へ来て、俺と目が合い、ハッとする狸。


「あ、お、お、お風呂!? すごい! もう何日も入ってないよ! ランも入りたい!」


 あぁ、面倒だ。後で、コーティングした風呂でも作ってやるか。


「後から作ってやるから、家に戻ってろ」

「えー、いいじゃーん。ランも居れてよー」

「じゃあ、まずは服を脱げ。そしたら入れてやるよ」

「え……それはちょっと……恥ずかしい……かな? うーん……」


 恥ずかしいだろ? だから早くあっち行けよ。俺は今、一日の疲れを美少女二人に癒してもらってるんだよ!


「でも……女の子も居るし、いっか!」

「ちょ、おい」


 本当に服を脱ぎ始めやがった。こいつ、本当に姫かよ。恥じらいねーのかよ。


「え、え、ちょっとタカシさん。いいんですか。お姫様ですよ!」

「まぁ、いいんじゃないか。姫の全裸なんてそうそう拝めないだろうし」

「えへへ、やっぱり恥ずかしいなー。でも、ま、いっかー!」


 服を脱いで風呂に入ってくる。当然色々なところが見えるわけだが……出るとこ出てるし、肌が透き通っていてキレイだな……。

 尻尾も丸々してて、もふもふしたら気持ちよさそうだ。


「あぁ……きもちいいー。魔法が使えると、こんなこともできるんだね! いいなぁー」

「ファラも洗い終わったし、こっちこい。ついでに洗ってやるから」

「おー。ありがとー。タカシくんは優しいねー」

「ん。タカシはやさしい」


 そうかそうか、ファラはかわいいなぁ。


 ランがこっちに来たので、頭をごしごし洗ってあげる。

 そういえば漫画などで獣耳を持ってる奴は、必ずと言って良い程耳が髪で隠れているんだよな。実際はどうなっているんだ?

 そう思って、頭を洗っている振りをして、本来人間の耳がある場所を触ってみる……。

 耳がない!?


 いや、頭の上にあるか。いやそうじゃない、人間の耳がない。代わりに髪の毛がもっさり生えている。

 そうか……獣耳ってこういうカラクリだったのか……。長年の疑問が解けた……。


「ふあぁー。気持ちいい! タカシくん頭洗うの上手だね」

「おう、ほら、次は体だ」


 首筋から肩、胸、腹、腰、尻、足と全身洗ってあげる。

 その間、「んっ」とか「あぅっ」とか反応してたが、わざとそういう風になるように洗ったから、気にしないことにする。


「タカシくん、手つきがエロい……。そういえば、全身洗ってもらったの、生まれて初めてかも! 気持ち良い! 癖になりそう!」

「そうか、それは良かった」


 ランを洗い終わったのを見て、ファラが俺の膝の上に乗ってきたので、抱っこしてあげる。

 ふぅ、やっぱりこの状態が一番癒されるなぁ。


「ふぃー、今日は疲れたからなぁ。やっぱりお風呂は最高だー」


 そろそろファラがのぼせそうなので、上がることにしよう。


「さて、出るか」

「はい」

「ん」

「ほーい」


 先にファラの体を拭いてあげる。次にミリアの体を拭いてあげようとしたが、断られた。ショックだ。

 何かランも拭いてもらえると勘違いしたのだろうか、その場で立っている。


「はぁ……ほら。こっちこい」

「わーい、ありがとうー」


 こいつ、もう恥ずかしがったことすら忘れてやがる……。

 拭き終わった後、ランが着替えている間に寝室へ移動するが、忘れてた。そうだ、風呂を作ってあげるつもりだったんだ。


「ミリア、邪魔が入ったし、お仕置きは明日な」

「えぇ!? そんな……」

「恨むならあいつを恨んでくれ」

「えぇー……」

「俺はちょっと外に出る。その間に、今日は銅貨を同時に数枚浮かせる練習をしておいてくれ」


 俺が居ない間に、MPが切れてぶっ倒れることはないだろう。さっさと風呂を作って帰ってくることにしよう。


「ほら、ラン。行くぞ」

「はーい」


 ミリアとファラには魔法の練習をさせ、ランを引き連れ、外に出る。

 どこら辺に作るかな……。部屋の中だと、中に居る奴等から丸見えだ。それはマズイだろう。

 あの小屋に隣接して、風呂用の部屋を増やすか。よし。


「おや、タカシ様にラン様どうされたんですか?」

「ちょっとお邪魔しますよ。えっと……ここら辺で良いか」


 壁に手を当て、人の通れる穴を開け、更にその奥に脱衣所を設ける。更に左奥から風呂用の部屋を作る。脱衣所を挟んで対角だから中は見えないだろう。


「おお、間近で見るとすごいですね……ところで、何をされているんですか?」

「風呂に入れないのは、女性陣には辛いでしょうから、風呂を、と思いまして」

「えへへー。ランは、もうお風呂に入ってきたんだよー」

「なんと! 本当にありがとうございます! ミラ、キャミィ喜べ! タカシ様がお前達の為に風呂を作ってくれるそうだぞ!」

「おお!」


 後は浴槽を作って、水を入れ、熱を送れば、完成だ。


「すごい! こんな簡単に出来ちゃうんだねー!」

「素晴らしいです!」

「タカシ様、ありがとうございます!」

「いえいえ、それじゃ俺は戻りますので、熱い内に入っちゃってください。それでは!」


 ミラやキャミィとも一緒に入りたかったけど、仕方ない。俺には帰りを待っている少女達が居るのだ。


「「「ありがとうございました」」」


 お礼を受け、そのまま家に戻ると、ミリアとファラは銅貨数枚に意識を集中していた。


「ただいま」

「おかえりなさい」

「おかえり」

「どうだ? 数枚浮かせられたか?」


 ミリアは首を振っているが、ファラは二枚程浮かせて、どうだと言わんばかりにこちらを見ていた。あれはドヤ顔なのだろうか。普段とあまり変わらんが。二枚でそれはどうかと思うぞ。


「よし、ミリア。教えてあげるから、こっちきて」


 ベッドに座り、ミリアを膝の上に乗せる。今日は素直だな。


「こないだ教えたように、銅貨の下に魔力を込めて飛ばすのは、物が一つの時な」

「そうなんですね……ずっと銅貨全部に魔力を込めてました……」

「いや、それはそれで良い。でも、それだと集中力がもたない」

「そうなんです。それで沢山は持ち上げることができなくて……」


 そうだろうな。あっちに魔力を送って、こっちにも魔力を送ってとしていたら効率が悪いし、対象が増えれば増えるだけ作業が増えて他に何もできない。


「まずは、大きな魔力の塊をイメージするんだ。そして、その塊から数本の魔力の紐のような物が出るようにイメージをする」

「はい」

「その紐を銅貨に結びつけて、銅貨を持ち上げるんだ」

「はい」

「その時、魔力の紐と対象に番号を振ると操作し易くなるぞ」

「番号? どうやるんですか?」

「例えば、そこに並んでいる銅貨の左から順に1番2番3番とするだろ? 操作する時に1番を右に、2番を左に、とした方がイメージし易い」

「なるほどですね! 分かりましたやってみます!」

「ファラもやる」


 MPや魔力が増えたので、時間が掛かるだろうと思っていたが、慣れていない練習のせいか、魔力を多く使うようで、一時間程度で二人とも轟沈した。


 よし、俺は緊急時の為にMPを残したまま寝るか……。

 意識の無い二人を抱き寄せて、川の字で寝る。あぁ、癒される。


 おやすみなさい。

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