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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第一章
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第45話 獣人

 夜のムフフな事を考えていると、外で囲いを作る練習をしていたミリア達が誰かと喋っているような声が聞こえた。


「おー! すごいね! これ君達が作ったのかい!?」

「これは立派な土魔法ですね」

「いえ、これはタカシさんが一人で……」

「タカシ様は魔導士の方でしたか。いやはや、戦闘もさることながら魔力もここまでとは……流石です」


 さっきの奴等か……。てか、ミリアがまた余計な事言ってるな。これはもう覚悟していると判断して良いだろう。

 会話している方を見ると、折角侵入禁止の為に作った囲いの中にぞろぞろ入ってきている。


「どうした、ミリア?」


 会話は聞こえていたが、何も知らない体で家の外に出て話し掛ける。


「おお、タカシ様。先程はお助けいただき、ありがとうございました」

「タカシくんー。きちゃった!」


 きちゃった……じゃねーよ。何だ、この狸? 可愛い顔でウインクなんかしやがって。慣れ慣れしい……惚れるぞ!

 ……じゃなかった。俺はこれからムフフなことをしないといけないから、忙しくなるんだよ。邪魔しないでくれよ。


「あぁ、先程の。どうされたんですか?」

「それが、その……「泊まりにきたよ!」……だそうです」

「えっと、他にお仲間等は居ないんですか?」

「はい、我々は六人だけで「そうだよ!」……なのです」


 こんの狸! 俺は犬さんと喋ってんだよ。割り込んでくんな。

 それにしても犬がリーダーだと思っていたが、もしかしてこの狸がリーダーなのか? バカっぽいし、まさかな……。


「……ちょっと姫……ラン様。今私が話しているので、少々お待ちください」

「えー」

「そこで、一晩だけご一緒できないかと思いまして」


 ん? 何か今、姫とか言ってなかったか? この狸が? そんなばかな……。


「はぁ、別に良いですよ。ただ申し訳ないですけど、俺等は家の中で修行するので、入れてさしあげることはできませんが……」

「えぇ、十分です。我々は今日はもう戦えそうにないですし、お近くに置いていただけるだけでもありがたいので」


 俺は家の中でお楽しみが待ってるんだ。入れさせるわけにはいかん。

 でも、狸はおいといて、犬の人は良い人そうだし、他の面子も良く見るとビシッと姿勢は良いし人の良さそうな感じがする。

 流石に、そこら辺に寝ろというのもかわいそうだな……後でちょっとした小屋みたいなものでも作ってあげるか。


「すごー。この短時間で、これ作っちゃったんだ?」


 このクソ狸。言った傍から勝手に家に入りやがって。


「あの子は人の話を聞かない子なんですかね……?」

「ああ! 本当に申し訳ないです! ラン様、勝手に人様の家に入ってはいけません!」

「いいじゃーん」

「さま? あの子、貴族か何かなんですか?」


 注意されても、まだ家の中を散策してやがる。あいつ……。

 名前は見えているから分かっているが、姫という単語が気になったので聞いてみることにした。


「は、はぁ、はい。そうですね。そのような家柄です」

「俺は遠い国から来たので、こちらの礼儀など分からないので不快な思いとかさせてしまうかもしれません。先に謝っておきますね」

「いえいえ、命の恩人であるタカシ様に、不快な思いなど」

「どうも。そろそろ食事にしようと思ってたんです。良かったら一緒にどうです?」

「おぉ、それは是非とも。我々も食材ならご提供できますので」


 食材はあるのか。初日だから、これだけの人数分は所持しているが、先の事を考えたら使いたくないので良かった。

 とりあえず、家の中に居てもらったらイチャイチャできないじゃないか。外に出てもらうか……。


「失礼。ちょっとすみませんね。……ミリア。ちょっとこっち来て」

「え、あ、はい」


 さっきの失言のお仕置きとして、あいつらの家を作ってもらおう。それでこっちには来なくなるだろう。


「ミリア、さっき俺が一人で家を作ったとか、バラしてたよね?」

「はうっ……ご、ごめんなさい……そうですよね……手の内を教えるとか……あぁ、何度も……バカだ私……」

「そこでお仕置きです。あいつらの家を、ミリアが作ってあげて」

「えぇ!? む、むり、むりです! やったことないです!」


 確かに大きな物を作った事はないけど、俺より魔力が高いんだ。イメージさえできれば作れるだろう。


「ダメ。これも魔法の修行の一つとして、がんばって」

「うぅ……。どうすれば良いですか……? コツとか……」

「イメージだよ。頭の中で大きさはこのくらい、強度はこのくらい、という感じで土を操る感じ。大丈夫、やればできる」

「はい……。やってみます」


 ミリアが家を建てに行ったので、その間に料理の準備でもしよう。


「タカシ様、どうされたんですか? あの子落ち込んだ感じで歩いていきましたが」

「あぁ、大丈夫です。修行をするよう言いつけただけなので。それより、私の名前は既に知れてますが、何とお呼びすれば?」

「おお、これは失礼いたしました。私はアバンと申します。見ての通り、犬族の騎士です」


 うん、嘘は言ってないな。

 歳は30前後だろうか? イケメンだし、しっかりした人だな。


「あちらがラン様。狸族の……闘士? 我々が仕えているお方」


 何故疑問形なのだろうか。姫だからか? それにしても、当の本人は未だに家の中をブラブラしている。あれに仕えているのか……大変そうだな。

 それにしても、スタイルは良いし、すごく活発そうな子だ。……笑顔でジッとしてれば、本当に姫と言われても違和感がない美少女なのに、バカっぽいところが残念だ。


「あれがネルソン。猫族の戦士です」


 やっぱり猫だったのか。歳は40前後だろうか。髭の生えたダンディなおじさんだ。あちこちにある傷が強者感を醸し出している。


「その横がオーランド。熊族の戦士です」


 うん、筋肉がすごい。どう見ても熊だよな。ネルソンよりは若そうだ。でも、ステータスという概念があるから、筋肉はあまり関係ないんだろうな。だから、さっきは一番にやられてたんだろう。


「更に横がミラ。兎族の剣士です」


 兎耳はすぐ分かった。恐らく20代の美人さんだ。ビシっとした立ち姿がやり手の秘書のようだ。是非メガネを掛けていただきたい。


「最後にキャミィ。猫族の剣士です」


 この子も剣士なのか。中ではランの次に若そうだな。猫耳補正で可愛いけど、平凡でからかい易そうな、気の弱そうな顔をしている。これで剣なんて使えるのだろうか。


「紹介ありがとうございます。もう知っているとは思いますが、俺はタカシ。さっきの子がミリア。あの子がファラです。よろしく」

「こちらこそよろしくお願いします」

「さて、自己紹介も終わったんで、食事にでもしましょうか」

「そうですね。キャミィ準備を頼む」

「は、はいっ!」


 なるほど。キャミィちゃんは給仕担当なのか。姫の給仕……これは期待出来そうだな。

 アバンが次々に食材を出し、キャミィに全て持たせようとしていたので、テーブルを作ってあげる。


「良かったらこれを使ってください」

「おお、見事な魔法ですね。ありがとうございます! キャミィこれくらいで良いか?」

「はい。大丈夫かと」

「じゃあ、後は頼む。私はラン様を何とかする。申し訳ない、タカシ様。少しだけ失礼しますね」


 俺に断りを入れ、クソ狸を捕まえに家の中に入っていく。


「さぁラン様、外に出ますよ」

「もう、分かったよ。アバンは厳しいなぁ。タカシくん、また後でねー」

「タカシ様、すみませんでした」

「いえいえ」


 アバンが狸を連れて外に出ていく。まったく……元気な狸だ。

 さて、ミリアはどんな感じかな。そろそろ見に行ってあげるか。


「ファラ、囲いはもう良いよ。それより、こっちのキャミィちゃんの料理を手伝ってあげてくれないか?」

「ん」

「土魔法で火を点けてあげたり、材料を切ったりしてあげて」

「わかった」


 ファラには料理の手伝いをしてもらうことにして、ミリアの方へ行くと、土の箱ができていた。

 うーん、一応中は空洞になっているけど……家ではないな。


「ミリア、苦労してるみたいだね」

「タカシさぁん……イメージ通りにならないです……」

「全体のイメージが曖昧になるなら、無理せずに部屋毎に作っていけば良いんだよ」

「なるほど……。ちょっとやってみます!」


 イメージをしているのだろうか、うんうん唸って手を前に突き出している。

 既に出来ていた箱が変形し始めた。イメージが完成したのだろうか。


 箱の形が次第に、家……のような何かに変わる。正方形が長方形になった程度の変化だが。


「うぅ……やっぱり無理ですよぉ……」

「俺より魔力高いのに、そんな事言っちゃうの?」

「だって……」

「仕方ない。お仕置きの代わりだったんだけど、俺がやるよ」

「そんな……」


 泣きそうだったので、代わりに雨風を凌ぐことが出来る程度の簡単な小屋を作ってあげる。


「さ、ファラが飯の準備してるから、ミリアも手伝ってあげて」

「うぅ……役立たずです。ごめんなさい……」

「大丈夫だよ。ミリアは傍に居るだけで俺の役に立ってるから」

「もう……何ですかそれ。いってきます……」


 トボトボ歩いてファラの下に行く。何か最近、ミリアはこのパターンが多いな。でも、からかうと可愛いから仕方ないよなぁ。


 さて、アバンの所に行ってこの小屋使えって言っておくか。

 しょんぼりして、小さい体が更に小さく見えるミリアの後ろ姿を眺めながら、アバンの所に向かう。

 何かこっちもこっちで狸がしょんぼりしてるな。


「アバンさん、あっちにウチのミリアが小屋を作ったので、良かったら使ってやってください」

「おお! 本当「ほんと!?」ですか!? それはありがたい! さぁ、姫……ラン様! いつまでも不貞腐れてないで、行き……って居ない!?」

「彼女ならもう小屋に向かいましたよ」

「なんと! お恥ずかしいところを見せて申し訳ない。ありがたく使わせていただきますね。それでは」


 そう言い残し、狸を追い掛けて行った。……料理の手伝いでもするか。


 狸と犬の戯れを放置してファラ達の下に戻ると、料理はほぼ完成していた。やっぱり、調理器具があるだけでここまで違うのか。


「あ、タカシさん。そろそろ出来ますよ。ここじゃ狭いですけど、どうします?」

「そうだな。じゃあ、外にテーブルでも作ってくるよ。そっちに運んでくれる?」


 ファラを見ると、何か口をモゴモゴ動かしていたが……触れずにおこう。


 外に出て二つの家の丁度中央辺りに、即席のテーブルを作る。

 練習のつもりで、表面に光沢が出るようにイメージしたら、何かにコーティングされたような土のテーブルができた。

 表面を触ったり叩いたりしてみると、樹脂製のテーブルとそんなに変わらないツルツル具合だ。ついでに椅子も作っておこう。


 一つ一つ完成度などをチェックしていると、ミリアとファラ、それにキャミィが料理を持ってきた。


「タカシ、もってきた」

「持ちきれなかったので、タカシさん手伝ってくれませんか」

「分かった。それじゃあキャミィちゃん、アバンさんとかに声を掛けてきてくれないかな」

「か、かしこまっした」


 人見知りなのか、男が苦手なのか分からないが、そんなに緊張することないのに。


 とりあえず先に料理を用意して、彼等が来るのを待っておこう。

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