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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第一章
32/145

第31話 奴隷商人

 到着した奴隷商の店は、商品である奴隷も暮らしているからなのか、建物がすごく大きい。


「いらっしゃいませ。おぉ、これはこれはミーア様。よくぞお越しくださいました。それで、今日はどのようなご用件でしょうか。新しい奴隷ですか?」


 何か貴族風の格好をしたおっさんが、いきなり馴れ馴れしく話しかけてきた。一度ミリアを買ったというだけで名前も憶えているものなのだろうか。


「いや、今日はウチの奴隷の権利を、そっちの奴に移したくてね。あと、雑用の子が居れば考えなくもないが」

「やっぱり、私は要らない子なんですかっ!?」

「……人の話を最後まで聞かないのは、お前の悪い癖だよ。追加の奴隷は、お前が居ない間の雑用さ。娘はあんた一人で十分だよ」

「ご、ごめんなさい」


 ミーアが溜息を吐きながら、ミリアに説明している。

 そんな二人を見ながら、広い店内を色々と見てみる。

 いずれ来る予定ではあったけど、まさかこのような形で来るとは思っていなかったな。どんな奴隷が居るのだろうか、気になる。


「承知いたしました。それでは奥へどうぞ。追加の奴隷は、後で是非ご覧になってください。すぐに用意させますので」

「はいよ」


 そういって奥の客間に案内される。


「それでは、先に譲渡の儀式を行いましょうか。こちらの奴隷の権利を、そちらの男性に移すということでお間違えありませんか?」

「あぁ、間違いないよ」

「分かりました。それで、あの、お名前をお伺いしても宜しいでしょうか?」


 え?あぁ、俺か。いきなりだったので、奴隷はどこに居るんだろうと周りを見ていて、話を聞いていなかった。


「あぁ、俺はタカシ。タカシ・ワタナベです」

「タカシ様ですね。承知いたしました。私はエルモート・グレイオといます。以後お見知り置きを」

「はい。あぁ、俺も奴隷を買うと思うので、その時はよろしくお願いします」

「おぉ、これはこれは! 是非ともお声掛けください! 今日は商品だけでもご覧いただければ幸いです」


 奴隷を見せてくれるらしい。どんな子が居るのかだけでもチェックしておこう。


「それでは、まず奴隷紋を出して頂いてよろしいですか? あと、ミーア様は血を頂戴したく存じます」

「はいよ」


 ミリアがモジモジしながら、服の前を捲り上げ、奴隷紋の書かれたプニプニのかわいいお腹を出す。

 ミーアが指先に針を刺し、その奴隷紋に一滴垂らすと、その奴隷紋に向かって、エルモートが何か詠唱し始める。

 ミリアが目を瞑って恥ずかしさに耐えていると、次第に奴隷紋が淡い光を放ち始める。


「それでは、タカシ様も血をお願い致します」

「はい」


 ミリアの頭をひと撫でして、お腹の奴隷紋に血を垂らすと、またエルモートが何かを詠唱する。

 エルモートの詠唱が終了すると、光は収まった。

 どうやら儀式は終わったようだ。ミリアも目を開けて、お腹の血を拭いた後、服で隠した。


「これで完了です。念の為、カードの確認をお願い致します」


 カードを確認すると、所有奴隷という項目が増えていた。


所有奴隷:ミリア・ウェール


「それでは、いかがいたしましょう? そろそろ用意は出来ていると思いますので、商品をご覧になっていただけませんか?」

「そうだね。見せてもらおうか」

「そうですね。見させてもらいます」

「ありがとうございます。それでは、案内致しますので、こちらへどうぞ」


 エルモートの案内により、今度は階段を上がって二階へと移動する。移動中の話を聞く限り、奴隷は全て二階より上に住んでいるのだそうだ。


「それではこの部屋でお待ちください。すぐに連れて参ります」

「はい」


 エルモートが部屋から出ていき、三人だけ取り残される。ミリアはソワソワして落ち着かないようだ。


「ところでタカシ。さっき言ってた、奴隷を買うかもしれないっていうのは本当なのかい?」

「えぇ。そろそろパーティーメンバーを増やそうと思っていたので、丁度良いと思ったんですよ」

「なるほどね。ミリア、お前と同じパーティーに入る奴隷なんだ、お前もちゃんと意見するんだよ?」

「は、はい」


 相変わらずミリアはキョドっている。店に入ってから、ずっとこんな感じだ。何か心配事でもあるんだろうか?


「お待たせ致しました。こちらに並ばせますので、どうぞご覧になってください。ほれ」


 エルモートが並ばせた奴隷は、幼女からおばさんまで年齢層が幅広い。薄い布一枚なので、体のラインもはっきりしている。

 右から順に年齢順なんだろうか?左に行くにつれて歳を取っている気がする。


「あ……あの人……」


 ミリアが何かに気が付いたようだ。

 視線の先を見てみると、無表情で人形のような可愛らしい女の子が、一人だけじっとこちらを見ている。ミリアより若く見える。いくつだ?


「ミリア、あの子がどうかしたの?」

「え、あ、いえ。私と同時期に売られてきた子なんですが、まだ居たのでちょっと驚いたというか……」

「ミリアより年下だよね? あれ? ミリアってミーアさんに買われて何年だっけ? てか、いくつだっけ?」

「私は今14です。ここを出て5年経ちました」


 当時9歳で奴隷として売られたのか……怖い世の中だな。


「あの子、親が有名な魔術士らしいんですが……その、人体実験に使われたそうです。その時、呪いに掛かったから売られたとかで……」

「なんじゃそら! ひでぇ親が居たもんだな」

「はい……それで、お互い親が魔術士ってこともあって、ここを去るまで色々魔法の話とかしてたんです」


 実の子供を人体実験に使うとか、どこのマッドだよ。そんなの漫画の中だけだと思ってたんだが、実在するんだな……。


「そっか、ちなみにどんな呪いなの?」

「何かモンスターを呼び寄せる? みたいな事を言ってました。詳しくは聞けなかったですが」

「人体実験か……許せないを通り越して悲しくなるな……しかも、その呪いのせいで買ってくれる人も居ないとか……」

「はい……」


 そんな感じでミリアとあの子の境遇に同情しながら話をしていると、ミーアが割り込んできた。


「あんた達、奴隷の子達はそういう子が多いんだ。いちいち悲しんでたらキリがないよ。奴隷商とはそういう世界だと割り切りな」

「そうでしょうけど、俺には割り切ることはできませんよ……」

「じゃあ、あんたがそういう子を全て受け入れてあげれば良い。そしたら世の中平和になるよ。それが出来ないのなら、諦めな」

「無理なのは分かってます。でも俺は偽善だとしても、手の届くところでは出来る限りの事はするつもりですよ」


 ミリアは俺とミーアのやり取りに何か思うところがあったのか、目を見開いてこちらを見ている。

 そこで、ずっとこちらを見ていたエルモートが、こちらの話が一区切りしたのを察したのだろうか、近寄ってきた。


「いかがでしょうか? 気になる者など居ましたら、呼び寄せますので、お申し付けください。もし居ないようでしたら、次は男の奴隷をご案内させていただきます」

「えっと、あの三番目の子と話をしてみたいです。呼んでもらっても良いですか?」

「ええ、もちろんですとも。おい、ファラ、こちらへおいで」


 呼んでもらった女の子は、無表情のままこちらに歩いてくる。


「こちらはタカシ様。お前と少し話がしたいそうだ」

「……ん」

「ファラちゃんだっけ? 君はここに何年居るの?」

「6年……」


 ファラは、はっと目を見開いてエルモートを見た。どうやらあまり言ってはいけないことのようだ。

 それはそうだろう。それだけ売れ残っているとなれば、何か理由があると思って、客は購入を見送る可能性もあるだろうし。

 それにしても6年か、長いな。人生の半分はこの館の中で過ごしていることになるのだろうか。


「長いね。外に出たら何をしたい?」

「世界を見て回りたい」

「奴隷には無理だよね」

「ん」


 奴隷になったら主人から離れられない。行商人などに買われたらその夢も可能だろうが、こき使われるだけで無理そうだ。


「俺は冒険者なんだけど、これから世界を回る予定がある」

「っ!?」

「でもね、冒険者だからモンスターと戦うんだ。ファラちゃんは、モンスターと戦える?」

「戦える」


 即答だった。ミリアより小さいけど、本当だろうか。どこからそんな自信がくるのだろうか。

 ミーアもミリアも心配そうに俺等の会話を見ているが、黙って聞いてくれている。


「どうやって?」

「がんばる」

「皆がんばってるよ。ファラちゃんは、どうがんばるの? がんばってもモンスターに食べられちゃう人、居るよ?」

「魔法を覚える」


 魔法か。親が有名な魔術士と言っていたから、ミリアみたいにジョブは覚えているけど、就けていないだけで素質はあるのかもしれない。

 それにしても、ちょっと意地悪しすぎたかな。無表情がどんどん悲しそうな顔になってきている。


「魔法だけではどうにもならないよ。剣も槍も使えるようにならないと」

「なる。夜のご奉仕もがんばる。だからファラを買って……ください」


 今何て言った? 夜のご奉仕? 何それ、俺の知ってるご奉仕で間違いないのか? こんな小さな子が?


「買います」

「「はぁ!?」」


 ミーアとミリアが俺を見下すような目でこちらを見ている。

 エルモートですら、やれやれと肩をすくめている。


「タカシ様は、そちら側のお方でしたか。これからもご贔屓にしていただけそうで嬉しいです」

「ちょっと! タカシさん!? やっぱりそういう人だったんですか!」

「タカシ、あんたも男だ……そっちの趣味にあまり強くは言えないが、その、その子は、幼すぎじゃないかい?」


 三人とも同じような意味に捉えたらしい。

 ご奉仕に惹かれたわけじゃないよ? ただかわいい子が好きなだけだよ?


 ……あぁ、だからか。


「いや、何か勘違いしてない? 違うよ? 世界を回る為には、魔法も剣も槍も使う。モンスターとも戦う。更には好きでもない男にも尽くすっていう覚悟を買ったんだよ?」

「はぁ……もう言い訳は良いです……」

「ミリア、勘違いしたままなのは良くないよ? ミリアも仲良くしてた子なんでしょ? それも理由の一つなんだよ?」

「タカシ、それ以上言うな。お前がそういう奴だってのは分かったから。ミリア、気を付けるんだよ?」

「はい……」


 ああもう、でも、丸く収まるならそれでも良いか。そう、俺はただのロリコンで良いよ。次はちゃんとした年頃の子を選んで見返してやる。

 年頃の、しかも女の子しか選ぶつもりはないが。


「それではタカシ様。金銭的なお話に移りたいのですが、よろしいでしょうか?」

「あぁ、はい。いくらですか?」

「この子はまだそちらの方は未経験でして。まだ年齢も若く、将来美しく育つのは目に見えてお分かりいただけるでしょう……そこで、20金程でいかがでしょうか」

「え? 幼いから処女なのは当然でしょ? それに6年も売れ残ってたし、この子呪いもあるんでしょ? それは高いんじゃないですか?」

「いやはや、流石です。そこまでお調べになっているとは……では、16金でいかがでしょうか?」

「これからもお世話になるかもしれないので、そこらで手を打っておきましょう」


 もうちょい値切れそうだったが、これからもここで奴隷を買うかもしれないのだ。二回も値引きするべきじゃないだろう。

 16金を出し、エルモートに支払う。


「ミーア様はいかがですか? どれかお気に召す奴隷などはございましたでしょうか?」

「はぁ……アタシは今度にするよ。今はもうそんな気になれない」

「承知いたしました。それでは、奴隷契約の儀式を行いますので、先程の部屋に戻りましょうか」

「分かりました」


 先程の部屋に戻る途中、ミリアがもう!もう!と言いながら俺の踵を何度も蹴ってくる。

 ヤキモチを焼いているのだろう。そう思っておこう。


「何度も申し訳ございませんが、今一度血をお願いしてよろしいでしょうか」

「はいはい」


 ファラは左の太ももに奴隷紋があるらしい。薄い布をたくし上げ白い肌が露わになる。

 恥ずかしくないのか、布を両手で胸元まで上げているものだから、パンツが丸見えだ。

 エルモートは何も思わないのか、すぐに詠唱を開始して、すぐに儀式は終わった。


「それではカードの確認をお願いいたします」


所有奴隷:ミリア・ウェール ファラ・オスロ


「問題ないようです」

「それは良うございました。まだ奴隷は沢山居ますが、もう一人いかがでしょうか?」

「いえ、今日は一人だけにしておきます。また近い内に来ますね」

「承知いたしました」


 ファラは何をしたら良いのか分からず、儀式が終わった後もじっと佇んでいる。


「自己紹介は後で宿に戻ってから行おう。ファラ、今日からよろしくね」

「はい」

「ファラ、これからはご主人様にしっかり尽くすんですよ?」

「はい……」


 エルモートがファラに尽くすよう促している。そう、尽くすのは大事だからな。

 さっきのやり取りで察したのか、エルモートも抜かりないな。


「それじゃ、俺等はこれで」

「はい。ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」


 そうやってファラを新しい奴隷として契約したところで、奴隷商の館を出て帰路につく。

 道中、ミリアが一言も話をしてくれなかったが、後でからかってあげよう。

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