表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第二章
144/145

第51話 オフⅡ

 訓練組の皆と、庭に出る。

 この屋敷は街の隅という事もあって人を見掛けないから、多少は派手に暴れたりしても大丈夫だろう。


「タカシ殿、まずは何をすれば良いだろうか」

「そうだな。少し考えるから、身体を温めておいてくれ」

「承知した!」


 何を、と聞かれても何も考えていない。

 適当に剣で打ち合いでもしようかと思っていただけだ。


 折角なので、ベルを中心に現在の力量などを確認するか……。

 とりあえず、ステータスを確認しておこう。


▼ベル・ファ・フォード Lv.9 騎士

HP:204(204+0)

MP:216(216+0)

ATK:143(108+35)

MAG:120(120+0)

DEF:201(96+105)

AGI:96(96+0)


STR:9(+ -) VIT:8(+ -) INT:10(+ -) DEX:8(+ -) CHA:4(+ -) (5)

JOB:M騎士Lv.9 Sなし 獣剣士Lv.31 獣戦士Lv.6 獣闘士Lv.4 射士Lv.4 村人Lv.2 大剣師Lv.1 小剣師Lv.1 双剣師Lv.1 使徒Lv.1

SKL:獣剣士* シールドストライク 初級火魔術

EQP:シルバーソード ナイトシールド ナイトメイル ナイトガントレット ナイトゲートル パワーリスト


 ステータスだけを見ると、そこらに居る一般的な騎士と同じだ。

 ただ、装備がアバンと同じ物なので、幹部であろう事は分かる。


「おい、ベル。騎士団に入る前、どんな事をやりたかった?」

「にゃん? にゃん……にゃにゃん、にゃあん」


 現在、にゃんモードだという事を忘れていた。

 そうだ、丁度良い。ひとつ実験をしてみるか。


「今から実験をする。付き合え」

「にゃ!?」


――ベル。今、お前の頭の中に直接語り掛けている。聞こえたら、右手を挙げてくれ。


 一瞬、ベルの体がビクッとなり、危険が無いと分かると、素直に右手を挙げてくれた。


――今、俺の魔力を、お前の額辺りに感じないか?


 ベルが、一度右手を下ろし、再度挙げる。

 そして、また右手を下ろす。


――その俺の魔力に、お前の魔力を流して、何か喋ってみろ。


 ベルが目を瞑り、“にゃにゃにゃー”と唸りながら、力んでいるのが分かる。

 “にゃん語”という事もありいちいちリアクションが可愛いな。


――――魔力魔力、魔力です!

――そうだ。聞こえるぞ。

――――へっ!? 聞こえる!? 何がですの!?

――何がって、お前の声が、だよ。


 驚いたのだろう、目を見開いてこちらを見ている。


「にゃん!?」


――――何故ですの!?

――これは俺の魔法だ。俺が話し掛けた時に限り、会話できる。


「にゃにゃん、にゃっ!?」


――――そんな魔法、聞いた事ありませんわ!

――聞いた事がなくても、あるんだよ。現に出来ているだろう?


「にゃ……にゃんにゃ、ん……」


――――た、確か、に……。


 声に出して喋るのか、頭の中で喋るのかどちらかにして欲しい。

 周りから見たら、ベルが一人で俺に喋りかけているみたいだ。


――わざわざ声に出さなくても、こうやって会話できる。

――――えっ、あっ、そ、そうですのね!

――それで、再度質問だ。お前は騎士団に入る前、どんなジョブになりたかった? 別に今からなりたいジョブでも良いぞ?

――――ジョブ……ですか。お姉様さえ居れば、特にないですわ。(昔は神官になりたかったのですけれど……)

――今は誰も聞いていない。素直に話せ。小さい頃の夢でも良い。

――――夢……無いですわね。ワタクシは昔から現実的でしたし。(夢と言えば、小さい頃は夢見ていましたわね……食料採取している所モンスターに襲われてしまい、白馬に乗った王子様に助けてもらい、やがて二人は恋に落ち、家族からの反対を押し切って駆け落ち、そのまま冒険者となって、彼は剣士、ワタクシは聖職者。ワタクシを庇って傷付いた彼を渡しの魔術で癒していると、気分が高まって、そのまま……。そして子どもが生まれ、山奥の小屋で三人幸せに暮らす。でも、その幸せは長く続かず、王家の放った追手に見つかり、跡取りとして子どもを奪われ、何とか取り返したものの、彼が病気に掛かり……はぁ……そんな現実逃避をしていた若い頃もありましたわ……ふぅ……聖職者、ね……)


 おいおい、これは……。

 悲劇のヒロインに憧れているのか……?

 そういうところから、こいつのM気が来ているのかもしれない。


――お、おう。わ、分かった。何も無いのなら、俺が決めるな?

――――決めるって、何をですの?

――今後、お前の目指してもらうジョブの方向性だ。

――――何で、貴方にワタクシが従わないとっ……あっ!?

――そう、俺の奴隷だからだ。一応、希望は聞いてやっただろう?

――――そ、そういう事だったのですのね。(まずい、これは失敗いたしましたわ……無理難題を言っておけば良かったですわ……)

――お前には、今日から聖職者を極めてもらう。


「にゃっ!?」


 驚いたのだろう、言葉が出てしまったようだ。


――――あ、あんまりですわっ! それに、ワタクシ、神官にすら就いた事がありませんし、火魔術が使えますのよ!?

――火魔術の件については、今後考える。ひとまず聖職者だ。

――――だーかーらー! 神官ですらないワタクシが、就けるわけないって言っているんですの!

――うるさい。俺がやらせると言ったからには、やらせる。

――――分からない人ですわね!


 ベルが“ダンッダンッ”と地団駄を踏んでいる事が気になったのだろうか、他の三人が集まってきた。


「タカシ様、ベルさんと何をされているのです?」

「何をやっているんだい、タカシ殿?」

「旦那、ベルに何したんだよ?」

「にゃっ、にゃんにゃ! にゃあにゃあんにゃにゃん!」

「すまん、ベル。オレには何言ってるか分かんねーや」


 現在の状況を説明したのだろうが、皆には分かってもらえない。


「ベルには聖職者になってもらうことにしたんだが、不満らしい」

「そうか。ウチのパーティーは回復担当が少ないからね。彼女は、前線でも戦えるだろうから、ソシエ君の様に動けるのは歓迎だ」

「さすがタカシ様です」

「そっか。ベルは回復かー。昔は聖職者になりたかったとか言っていたから、丁度良かったんじゃないか?」

「にゃん! にゃあにゃあ! にゃんにゃん、にゃんっ!」


――――お姉様、そんな簡単になれるわけがないじゃないですか!


「そんな簡単になれるわけがないじゃないか、だってさ」

「そういう事ですか。ですがベルさん、タカシ様なら可能です!」

「うん、タカシ殿なら可能だな」

「あぁ、旦那ならできるな」

「にゃっ!?」


――――うそっ!?


「うそ!? だってさ」

「身も心も全て、タカシ様にお任せすれば良いのです」

「身も心もって……でも、嘘じゃない。タカシ殿なら、できるよ」

「身は……あ、でも、ベルなら良い体しているし問題は無いな!」

「にゃあ、にゃんにゃんっ!」


――――身もって……何なんです、何なんですか、この人は!


「俺は何者なのか、だってさ」

「勇者様です!」

「タカシ殿は、タカシ殿だよ」

「旦那は……そう、英雄さ!」

「にゃあ……」


――――にゃあ……。


 頭の中の言葉もにゃん語になってやがる……。

 そろそろ限界のようだし、コントはこのくらいにしておこう。


「そういうわけだ。お前には、聖職者になってもらうぞ。それで、少し準備が必要だから、ちょっと付いて来い」

「にゃん……」


――――もう好きにしてくださいまし……


「お前達、俺はベルと少し出掛けてくる。すぐ戻るから、その間は組手でもしておいてくれ」

「はいです!」

「承知した」

「おう」


――シュンッ!


 ベルと二人、近くの森まで転移する。


――――何をするんですの?

――お前の力量が見たいから、この武器のみでそこらのモンスターと戦ってみてくれ。

――――分かりましたわ。


 ベルにメイスを持たせ、野兎などを狩ってもらう。

 騎士団に居ただけあって、当然ながら動きに問題は無いな。


 今の内にステータスも調整しておこう。

 サブに使徒を入れてレベルを上げさせるのも良いが、模倣で何を覚えさせるのか決めていないので、ミリアと相談だな。

 ひとまずは、このまま僧侶を習得したらメインを僧侶、サブには小剣師を入れる事にしよう。


 そういえば、初級火魔術を単体で覚えていたが、それに該当するジョブを覚えていなかったな。

 どうやって覚えたのだろうか……?


 精霊と契約が出来たら、ジョブやスキルの縛りとは関係が無く、無条件でスキルを覚える事が出来るのだろうか?

 それなら、他にもジョブには関係が無く覚える事が出来るスキルなんかがありそうだな。


――ミリア、聞こえるか?

――――え、あぁ、はい。聞こえますよ。どうしたんですか?

――ジョブに関係無く、スキルのみを覚える事って出来るのか?

――――いきなりですね……。うーん、精霊契約、とかですか?

――そうだ。精霊契約以外に、何かスキルのみを単体で覚える方法って他にないかな?

――――スキルのみ……マジックアイテムを装備するとか、私にはそのくらいしか分からないですね。ついでに調べてみますね!

――そうか。ありがとうな。頼む。

――――はい! 任せてください!


 そうか。そういえば、マジックアイテムがあったな。

 ガデルから入手したマジックアイテムにスキルが付いていたし、いや、でもベルがそんなアイテムを装備している様子ではないな。

 それについては、ミリアの報告を待つ事にしよう。


「あ、ベル。もう良いぞ。大体分かったから」

「にゃん」


 ミリアとの会話を挟んだので、ベルとは会話が切れていた。

 まぁ、良いか。戻ろう。


「こっちに来い、戻るぞ」

「にゃっ!?」


 ベルを抱き寄せ、胸を鷲掴みにして、戻る。


――シュンッ!


 庭に戻ると、ルリアとガルミが木剣を使って打ち合い、それらをマリーが眺めているという状況だった。


「にゃんっにゃあ、にゃんにゃんっ!」

「あ、タカシ様。おかえりなさいです。お早いですね」

「ただいま。まぁ、ベルを僧侶にするだけだったからな」


 うるさいベルを離し、ルリアとガルミの打ち合いを見る。


「タカシ様、私は何をすれば良いのでしょうか」

「ん、あぁ、そうだった。ベルが治癒を覚えたはずだから、魔力の使い方なんかを教えてやってくれ」

「は、はいです!」

「にゃにゃっ!?」


 ベルの事をマリーに任せ、ルリアとガルミの訓練に参加する。

 俺は剣術なんて素人同然だからな。少しでも使えるようになっておきたいし、これも良い機会だろう。


 暫くの間、ルリアに型などを教えてもらい、木剣でガルミと軽く打ち合ってみる。


「旦那、剣は、あまり、ふんっ、得意じゃ、ない、みたいだな!」

「そうだなっ! ずっと、魔法、だけで、生きてきたからなっ!」

「それで、オレと同等、なんて、悔しすぎ、るぜっ!」

「動きが、見える、から、なっ! 見えれば、どうと、でもなる」

「くそっ! オレもまだまだ、だ! たぁっ!」


 ガルミの攻撃は見えているが、それを受け流すので手一杯だな。

 ガルミの猛攻を“カシュッ”と木剣を使い、右に左に受け流し、隙を突いて攻撃を繰り出すが、全てをガードされる。


 一発も食らわないが、こちらの攻撃も当たらない。

 やはり、魔術だけではなく、武器も使えるようになりたいな。


 神シリーズで自身の身体強化が出来たとしても、動作までは強化できない。

 こればかりは慣れ――努力する事が求められるな。


 今レベルを上げているジョブが終わったら剣士も上げてみよう。

 ひとまず、これは課題だ……。


「ふぅ、久し振りに剣で戦った気がするな」

「そんなんで、何でオレの攻撃が当たらねぇんだよ!」

「知らん。もっと精進しろ」

「くっそぅ……ルリア! 続きを頼む!」

「ふふっ、打倒タカシ殿、だな!」

「おう! やってやるぜ!」


 それにしても、少し打ち合っていただけだと思っていたが、結構長い間打ち合っていたらしい。かなり汗を掻いてしまった。

 体力が無いところも課題だな。


「あの、タカシ様。どうしましょう……」

「ん、どうし……はぁ……」


 マリーが不安そうな声で話掛けてきたので、振り向いてみると、マリーの横で寝ているベルが居た。

 寝ているというより、MPを使いきって意識を失ったのだろう。


「昇天、ベル」


 ベルに昇天を使い、身体が“ビクン”となったところへ、魔術で水球を作りだし、運び、“バシャアッ”と顔に落としてやる。


「にゃあっ!? にゃにゃっ!? にゃにゃにゃにゃっ!?」

「まだ昼だぞ、起きろ」


 突然の出来事に、起き上がってキョロキョロしたが、現在の状況を察したようで、すぐに大人しくなる。


「にゃ、にゃあにゃあ……」

「ん? 何だよ。モジモジしやがって。おしっこか?」

「にゃあっ!」


――どうした?

――――(あ、繋がった!?) あの、治癒が使えましたわ。

――あぁ、使えるようにしたからな。当然だろう。それで?

――――あ、あり、ありがとうございますわ……。(まさか本当にワタクシが治癒を使えるようになるなんて)

――おう、お礼は身体で頼むな。

――――あ、えっ……は? お礼は今言ったじゃないですの……。(まさか、マリーさんが言っていたご奉仕って、この事ですの?)

――詳しくはマリーから聞け。

――――え、えっ、ちょっ!


 ベルと会話をしていると、屋敷のドアがゆっくりと開き、中から下着姿のランが出てきた。

 まだ寝惚けている様子だが、寝た時のまま全裸ではなく、下着を身に付けただけ良しとしよう。


「ふぁぁぁっ……むぅ、んぅ……おあよ……」

「おはようさん。ゆっくり眠れたか?」

「うん……おなかすいた……」


 人気が無い場所とはいえ、一応これでも姫だ。流石にこの格好はまずいだろう。


「マリー。精霊を出して、ベルと近接戦の練習をしておいてくれ。俺はランに飯を作ってくるから」

「え、ご飯でしたら、私が作りますです」

「いや、いい。お前も少しは近接戦闘の練習をしておいた方が良いからな。ベル、頼むぞ?」

「タカシ様のご命令でしたら、頑張りますです!」

「にゃん……」


 ランを早々に屋敷の中へと戻し、簡単な食事を作る。


「ふあ、あぁぁ……」


 椅子に座ったままのランは、未だ寝惚けているようだ。

 珍しいな。これが素なのかもしれないが。


「ほれ、簡単だが出来たぞ」

「ん、ありあと。タカシくん……」


 ランが半開きの目のまま、もそもそと食べ始める。

 寝惚けたランを暫く観察しつつ、外から聞こえる訓練の音を聞きながら、まったり過ごす。


「ふぅ。ごちそうさま。ありがとう、お兄ちゃん」

「ほい。目覚ましがてら風呂入ろうぜ。俺も訓練で汗掻いたし」

「うんー。いいよー」


 まったりの後は、二人で風呂に入り、しっぽりする。


 たまにはこういう休日も良いものだな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ