第7話 勉強会A
飯の準備が完了したので、皆で食事を摂りながら合流までの間の報告なども兼ねて話をする。
「アバンさん、何か変わったことありました?」
「そうですね……モンスターが強くてラン様を心配したのですが、いつの間にやらお強くなられたようで……これもタカシ様の影響、いえ、恩恵なのでしょうか?」
「ふふーん、ランだって遊んでただけじゃないんだからねっ!」
「お前、盗賊にやられてただけじゃん」
「ひどいっ!?」
ランは確かに強くなった。でも、盗賊にやられる程度だ。まだ、強いとは言えないだろう。
それに、猪突猛進なところがあるからな。
「ラン様が強くなったのもありますが、こちらのパーティーでは、ミリアさんやファラさんが一撃でモンスターを倒されていたので、私の出番などありませんでしたよ。だから、サラ様の方が心配で」
「アバン、私だって守られてばかりではいられません。タカシさんに色々と教えていただいて、強くなったのです!」
「ふふ、お姉ちゃん、教えられたのは戦い方だけなのかなぁー?」
「なっ!? い、色々ですっ!」
ランがサラをからかい、サラが真っ赤になっている。
それと同時に、皆の視線がこちらを向く。
「やっぱり……」
「タカシはタカシ……」
「タカシさまぁ……」
ミリアとファラとマリーは、既に何があったのか理解しているのだろう。ジトっとした目で見つめてくる。むしろ睨まれている。
「こほんっ、えっと、じゃあモンスターと戦っていただけで、特に何か問題が起きたりなどは無かったということですか」
「え、あぁ、はい。そうですが、あの、そちらの方はサラ様と何かあったのですか……?」
「今まで以上に親しくなっただけですよ」
「そう、ですか?」
「えぇ、そうです。それで、明日からの行動なんですが、ここから北を目指そうかと考えています」
とりあえず話題を変えて誤魔化しておく。
「あ、誤魔化した」
「タカシはタカシ
「誤魔化したね」
「誤魔化しましたね」
こいつら……。後でお仕置きだ。
普通、今のやり取りで気が付くだろう。アバンは仕事の出来る男ではあるけれど、鈍感で助かった。
「北、ですか。北に何か、いえ、何か分かったのですか?」
「多分、このダンジョンのボスは、北に居るんじゃないかと。北に行くにつれて、モンスターが強くなっているようなので」
「なるほど。分かりました。指針などはお任せいたします」
アバンは護衛みたいなものだからな。口出しは極力しない方向で決めているのだろう。助かる。
「どうもです。ミリア、ボスがどんな奴か分かったりするか?」
「そればかりは……ただ森周辺に居るモンスターであることには、間違いないとは思いますよ?」
「でも、人型なんかは初めてみたぞ?」
「うーん、恐らく魔族領側のモンスターも含まれているんじゃないかなと思います。もしくは、昔は森に居た、とか」
「そっか。もしそうだとしたら、何かまずかったりするか?」
「どうでしょうか。メンバーの火力的には心配ないと思いますが、ボスクラスとなると、全く異なる強い力を持っているので、周りのモンスターは目安になりませんし」
「そうか。まぁ、強かったら一度撤退するのも良いし、じわじわと削っていくのもありだろう」
「そうですね」
逃げるのは良いけど、メンバーが多いから俺だけならまだしも、全員を同時に逃がすのは難しいだろうな。
その時、俺のMPが残っていればすぐに退避できるだろうが。
色々と考えても仕方ないか。まだ見つけてもいないし。
「明日は、ここを下山して森だな。もし森にボスが居なかったら、ミリア達が見つけた一本だけ目立つ木の所に行こう。森か木の所、どちらかにボスが居るはずだ」
「断言しちゃいましたけど、ボスの居る場所が分かるんですか?」
「そういうもんなんだよ」
「はぁ……」
これはゲーム知識だけどな。
それに、一本だけ目立つ木があるとか、明らかに怪しいだろう。
「そんなわけで、これからの行動は決まったな。このダンジョンはあと二、三日で攻略するぞ」
「そう簡単にいくものですかね……」
ミリアは心配性だなぁ。
「大丈夫だ。お前達の事は何があっても守る」
「そういう問題でも無いとは思いますが……」
「タカシについてく」
「何かあれば、ここで子孫を繁栄させれば良いのです!」
「タ、お兄ちゃんは、たまに恰好良い事言うんだよね……」
「そうと決まれば、ボクに稽古をお願いします!」
「ふぅ、タカシさんのそういうところ、好きよ」
「タカシしゃまぁ……」
「ふん、守られなくてもやってやるです」
「さすがボスだねっ!」
「だねっ!」
「私も、微力ながら頑張ります」
恰好良く話を終わらせようとしたのに、見当違いの事を言ってる奴が居るけど、まぁ良いか。
晩飯も食べ終わったので、ミリアに風呂の用意をお願いする。
「アバンさん、風呂の前に少し汗掻く事をお願いしたいんですが」
「汗を掻くこと、何でしょうか?」
「ルリアとサラに稽古を付けてやってもらえませんか?」
「おぉ、そういうことですか。容易い御用ですよ!」
「おい、ルリア、サラ。アバンさんに剣の稽古をつけてもらえ」
ルリアは、何かを察していたようで、既に俺の横に立っている。こいつ、本当に剣術バカなんだろうな。
サラは、まさか自分が呼ばれるとは思ってもいなかったようで、呑気にお茶なんかを飲んでいた。
「え、えぇ!? 何で、私なの? 私、魔法が使えるのだけれど」
「おう、魔法が使えるな。でもな、それだけだ。今後もし、魔法が使えなくなったり、魔法の効かない相手が居たらどうする? どうやって、民を守るんだ?」
「そ、それは……。はい、分かりました。タカシさんは、私の今後の事を本当に考えてくださっているのね。アバン、よろしくね」
「おぉ、サラ様がやる気に……。タカシ様ありがとうございます」
「いえ、明日の事もあるので、ほどほどにお願いしますね」
「もちろんですとも! では、行きましょう!」
アバンに連れられて、ルリアとサラが家を出ていく。
さて、後はランとパル、パロだな。
「おい、ラン、パル、パロ。俺がお前達に魔法を教えてやるから、ついてこい」
「おお! タ、お兄ちゃん! やっとなんだね!」
「「ありがとう、ボス!」」
――ペシペシ
ファラの召喚獣が頭を叩いてきた。何か言いたそうだな……。
でも、ミリアやファラ、マリーは既にジョブの魔法を覚えているから、俺が教えるまでもないんだよな。
「ファラ達は、自分の使える魔法の練習をしておいてくれ」
――ポンッ!
「あ、あの! ウチは……ウチはにゃにか無いでしょか」
「みゅは天才だから、教えてもらうものなんて無いですが、何かを教えたいのであれば聞いてやらないでもないです」
こいつらは俺の奴隷ではないからな……教えても良いんだけど、時間が掛かるんだよな。
「お前達は奴隷ではないからな。とりあえず片付けを頼む」
「はう……わかり、ました…」
「ふん、早く行くです!」
「魔法を教えるのは、俺の奴隷だけと決めているんだよ。だから、どうしても魔法を覚えたいなら言ってくれ。俺の奴隷にしてやる」
「はわわ……それは大変そうでしゅっ……」
「みゅは既に奴隷のようにこき使われて大変です」
マルカは既に魔法が使えるんだがな。治癒だけど。
「こっちは集中するから、近づかないように。頼むな、ファラ?」
「わかった」
そんな五人を残して、寝室に移動する。
ベッドが汚れると困るので、それぞれ床に座るよう指示する。
「よし、じゃあ始めるか」
「「「はーい」」」
「お前達には二つの魔法を覚えてもらう」
「二つも!?」
「「さすがボス、太っ腹―!」」
こいつらは、敵に突っ込んでしまうことが多いからな。
まずは、三人共に治癒。ランには火魔法、パルとパロには風魔法を覚えさせることにしよう。
「まずは魔力の込め方なんだが、確かこないだ、ミリアやマリーに教えてもらったよな?」
「うん、できるよ! だから、会話できたじゃんー」
「ボス、アタイもできるよ!」
「アタシも!」
「そうか。じゃあ、何度も見せるから良くみておけよ」
そう言って、自分の腕をナイフで少しだけ斬り、治癒を見せる。
「ふむふむ、なるほどー!」
「ボス、アタイもやってみて良い?」
「アタシもやってみたい!」
これ、ランは分かってないやつだな。とりあえず、パルとパロにやらせてみよう。
「俺の腕でやってみろ」
「よーし、アタイからね! いくよーっ! えやぁーっ!」
掌が光っているのは分かるけど、傷は治らない。
「まだだな。この傷、というか穴を魔力で埋める感じ、だぞ?」
「分かった! じゃあ、次はアタシ! いくよ!」
パルと同様にパロの掌も光ってはいるが、傷は治らない。
「じゃあ、次はランだね。いくよー」
ダメだ。掌が光りもしない……。
「あれ? 何でなんで……!?」
「お前はバカだからな」
「ひどいっ!?」
「もう一回見せるぞ? こうやって掌から魔力を出して、治れ治れって思いながら、傷の中に魔力を入れて、穴を埋める感じだ」
「ランだって、そう思いながらやってるんだけどなぁー」
「すげぇ……」
「あ、分かった気がするかも!」
「よし、パロ。やってみろ」
再度自分の腕に傷を付けて、パロにやらせてみる。俺に自傷趣味なんてないから、さっさと終わらせたい。痛いし。
「なおれー、なおれー、やぁーっ!」
さっきは、掌からの魔力が腕に当てられるだけだったが、今度は傷口から体内に魔力が流れてくるのが分かる。
傷口が温かくなり、次第に傷が治っていく。
「できたっ! できたよ、ボス!」
「よしよし、偉いな!」
頭を撫でてやる。
ステータスを見ても、模倣に初級治癒が入っているので、間違いないだろう。やっぱり模倣があると覚えるのが早いな。
「ふふん、どうよ、パル。アタシの方が早かったもんねっ!」
「くぅ……次! 次は、アタイだよ!」
また腕に傷を付けて、今度はパルにやらせてみる。
パロ同様、魔力が流れてきて、傷が治る。
「へへっ、パロ、一人ずつしか出来ないから、同時だもんねっ!」
「くっそー!」
「よーしよし、上出来だ。次はお前達自身の腕を少し斬ってから、自分に使ってみろ」
「「はーいっ!」」
自分達でやり始めたので、ランに向き直る。
「後はお前だけだな、ラン?」
「むーう、またバカだからとか言うんでしょー?」
「言わないよ。お前が可愛いから、からかってるだけだよ」
「もう……そんなこと言ってもサービスしないからね」
「いいからやってみろ」
いい加減、何度も自分に傷を付けるのは勘弁だ。そろそろ、成功して欲しいところだ。
「やぁ……」
「そうそう。魔力が出ているのは分かる。次は、その魔力を傷の中に入れていくんだ。そう、そうだ」
掌が光って魔力が腕に当たっているのは分かる。
でも、その先がまだできないようだ。魔力が少ないのだろうか。
「難しい……」
「良い感じだぞ。もう少し魔力を込めてみろ。ちゃんと頭の中で、腕の傷が元に治るようイメージするんだぞ?」
「分かったよ……むぅぅぅっ!」
お、良い感じになってきた。
ゆっくりではあるが、傷が治っていく。
「で、できた!? 出来たよ、タカシくーん!」
余程嬉しかったのか、傷が治ったと同時に抱き付いてきた。
「おっと、よく頑張ったな。上出来だ。後は毎日練習すること」
「うん、うん、がんばるよー!」
「サラは治癒が使えないから、こっちではお前の方が先だな」
「うん! 本当ありがとう! 大好き!」
珍しく、いや、初めてかもしれない。ランから好きだと言われたのは。ついでにキスまでしてくれた。本当に嬉しいんだな。
「よし、次は攻撃魔法の方だ」
「「「はいっ!」」」
「ラン、ちょっとこっちに来い」
「うん?」
ランを膝の上に座らせる。
このスタイル、ミリアに初めて火魔法を教えた時を思い出すな。ミリアも、こうやって教えたっけ……。
「えっと、これは何……?」
「おう、この状態が一番教え易いからな。ミリアに初めて火魔法を教えた時も、こうやったんだぞ?」
「え!? そうなの!?」
「おう、こうやって胸を揉んだりな」
――モミモミ
「ちょ、ちょっと! それは魔法関係ないじゃん!」
「「さすが、ボス。ブレねぇ」」
「掌から魔力を出して、それが火や風になるイメージをするんだ」
ランの胸から手を離し、右手に炎、左手に風を出して見せる。
「すごいね……」
「「すげぇ!」」
「パル、パロ。お前達も今から言う事を自分達で風に置き換えて、実際にやってみろよ?」
「「はーいっ!」」
ランの手の甲を掴み、掌を上に向かせてパルとパロにも同じ事をするよう指示しておく。
「よし、まずは目を瞑れ、俺が良いと言うまで目を開けるなよ?」
「「「はい」」」
「よし、じゃあ掌に魔力を込めるんだ」
「こうかな?」
目を開けないよう指示し、掌に魔力を込めさせる。
「そうだ。次にその魔力を掌から出ていくようイメージしろ」
「こうかな……」
ランの掌に魔力が集まってくるのが分かる。
「そうそう。その魔力ってどうだ? 熱くないか?」
「え、いや、別に熱くないけど……」
「いや、熱いだろう。火だぞ? 熱くないわけがないだろう?」
「え、そうかな? あ、でも、そう言われると熱いかも」
ランが単純で良かった。
掌からの魔力放出が、次第に目に見えるようになってくる。
「だよな。見るからに熱そうだ。火だからな」
「そうだよね。火だもんね……熱いよ、タカシくん……」
「その火だったら、何でも燃やせそうだな」
「うん、多分燃やせると思う……」
魔力が次第に火になってきた。
パルとパロの方を見ると、既に掌から炎が出ている。
失敗した……風魔法を教える予定だったのに、俺の言葉に流されてしまったようだ……。
「目を開けてみろ」
「ほわぁっ!?」
「熱い!」
「あちちちっ!」
「まだだぞ! もっと強い火をイメージしろ!」
三人が驚いて掌の上の火を飛ばしそうになったので、止めてから更に魔力を込めさせる。
「熱い熱い! どうすれば良いの!?」
「ボス! だめ、火傷しちゃうよ!?」
「もう良いよね! もう良いよね!?」
「よし、そこに向けて投げてみろ」
「「「えいっ!」」」
三人が大きくなりすぎた火の玉を壁に向かって投げたと同時に、風と水の魔法を使って消火しておく。
「出来たじゃないか、どうだった?」
「すごいよ! タカシ、あ、お兄ちゃん、教えるの上手だね!」
「ボス、風が火になったよ!?」
「これで、アタシも魔術士だよねっ!」
俺の教え方が上手いんじゃなくて、お前等が単純なだけだが……それと、模倣のお陰でもあるし。
「まぁ、こんなもんだ。何度か練習してみろ」
「「「はいっ!」」」
三人のステータスを確認すると、ちゃんと模倣のところに治癒と火魔法が入っている。大丈夫みたいだな。
そんな確認をしていると、ランが倒れた。
「「姉御!?」」
倒れたランを心配してか、二人が覚えたての治癒を使っている。
治癒では傷が治るだけであって、意識を覚醒などはできないが、咄嗟のことだったのだろう。
その治癒のせいで、パルとパロも倒れる……。
そういえばMP管理のことを説明していなかったな……。
後でMPが尽きたら、意識を失うことを説明しておこう。
「ファラ、アバンさんに風呂へ入るよう伝えてくれるか?」
――ポン!
「あぁ、風呂ってあっちの家の風呂だからな?」
――ポン!
ファラにアバンを任せた後、ランとパル、パロを浮かせた状態でそれぞれの服を脱がし全裸にする。
意識の無い女の子の服を脱がすのが、癖になりそうだな……。
俺も裸になり、そのままリビングに運ぶ。
「あ、タカシさ……きゃあっ」
「タカシ様! お楽しみだったのですか!?」
「タカシ殿……その、少しは隠してくれ……」
ファラは一部始終を見ていたから何も言ってこないが、ミリアとマリーが食いついてくる。
ルリアは恥ずかしがっているのか、こちらを見ようともしない。
「風呂に入るぞ。風呂に」
「はわわ……、タカシしゃま、出てましゅ! 見えてましゅ!」
「え、エロ魔王が出たです! 何でそんなになってるですか!」
「何だよ、裸になって立っているだけじゃないか」
「タカシさん……その、皆あなたの下半身の事を言っているのだと思うのだけれど……」
「別に、気にするな。お前達には既に何度も見られているからな、今更恥ずかしがるつもりはない。ほら行くぞ」
皆に元気になった下半身を見られつつ、先に風呂に移動する。
ランとパル、パロを起こす為、座らせて順に水を掛ける。
「ぎゃあああっ!?」
「つめたいっ!?」
「あついっ!?」
「おい、熱くはないだろう?」
火魔法の練習中に意識が無くなったから、パロは火の夢でも見ていたのだろうか。水が熱いわけないだろう。
「え、えぇ!? あれ? 何でお風呂? 裸!?」
「魔法の練習は!?」
「火が! 熱い!」
「ほら、風呂だぞ。目を覚ませ」
掛け湯をしながら、三人には再度水を掛けつつ、湯船に浸かる。
しばらくすると目が覚めたようで、三人も湯船に浸かってくる。
「お兄ちゃん、ありがとうね。本当嬉しいよ!」
「ボス、ありがとう!」
「大魔導士目指しちゃうよっ!」
ランが珍しく腕を絡めてくる。いつもこうだったら良いのにな。
「何かお礼しなきゃだねー」
「「うんうん!」」
「あぁ、今度俺にご奉仕してくれ」
「もう、エッチなんだから……」
「「任せて!」」
本当は何度もお礼に値する行為を頂いているが、本人がくれるというのであれば是非貰おう。
そんな会話をしていると、皆もぞろぞろと風呂に入ってきた。
「あ、そうだ、ミリア。ジョブについて聞きたい事があるんだよ」
「え、はい。何でしょうか」
ミリアが湯船に浸かってきたので、早速勉強会を開くことにする。
「剣士上位に、小剣師や大剣師、双剣師っていうのがあるんだが、あれって全部極めると何かあるのか?」
「タカシ殿……剣聖については本当に興味がなかったんだね……」
「ミリア、面倒だからあとでルリアに俺の事説明しておいてくれ」
「えぇー……分かりました」
ルリアに、俺はこの世界の事を何も知らない、と説明することが面倒だったので、ミリアに任せておく。
「それで、どうなんだ? 何か恩恵とかあるのか?」
「ええと、はい。剣聖は、剣の道を究めた者が成れます。剣の道というのは、小剣師、大剣師、双剣師です」
「条件はそれだけか? 普通、剣聖ってさ、世界に一人しか居ないとかじゃないのか?」
「私の知っている限り、剣聖になる条件はそれだけです。それと、現代はルリアさんのお父さんしか居ないですが、昔は何人も剣聖が居たそうですよ? ね、ルリアさん」
「あぁ、確かにボクの祖父も剣聖で、ライバルが居たそうだ」
剣聖は何人でも成れるのか。じゃあ、とりあえずルリアを剣聖にしておくか。
「じゃあ、戦士や闘士も同じ感じなのか?」
「はい、そうです。それぞれ戦聖、武聖というジョブがあります。昔は居たそうですが、現代にはまだ居ないですね」
「剣聖は居るのに、戦聖や武聖は居ないのか」
「どちらも難しいですから。剣聖は剣だけですが、戦聖は多種多様な武器を極めた、戦いにおける神みたいなものですし。あぁっ! 別に、剣聖が簡単というわけではないですからね!?」
「大丈夫だ。ミリア殿。分かっているさ」
「うぅ……ごめんなさい」
なるほどな。剣だけを極めるか、斧、槍、杖を極めるのとでは、全然違うよな。
「それで、武聖が居ない理由は?」
「武聖は、その……大変なんです」
「何がだよ。教えてくれ」
「オーラという魔力とはまた違った、私には良く分からない体内の力? 気? というモノを使って踊りながら戦うからです。まず、踊りが良く分かりませんし……」
「あぁ、そういうことか」
戦闘中にいきなり踊られても困るよな。それが分からないのか。
でも、踊っているように戦っているだけであって、ずっと踊っているわけではないだろうに。
「なるほどな。じゃあ、ミリアが前に言っていた大魔導師っていうジョブは、どうやったら就くことができるんだ?」
「大魔導師は、魔導を極めた者が成れるらしいです」
「剣士や戦士みたいに、複数ジョブが必要とか条件は無いのか?」
「ないですね。昔、大魔導師になった人の記録では、いつの間にか大魔導師になっていたそうです」
いつの間にかって何だよ……。その間に、何か条件を満たしたんじゃないのか?
「ちなみに、その人のレベルっていくつだったか知っているか?」
「うーん、確か40か、50だったと思います」
「ミリアにしては曖昧な答えだな。何か理由はあるのか?」
「その時代はまだ協会もなかったので、あまり記録が無くて……」
そういえば、ミリアのステータスを見て思ったことがある。
魔導士に“*”アイコンが付いていない。まだ極めていない扱いなのだろう。これならミリアの言う事も分かる。
恐らく、魔導士のレベルを40か50に上げたら良いのだろう。ミリアは当分魔導士にしておくか。
「あと、錬金術士って上位ジョブは無いのか?」
「ありますよ。大魔導師と同じく、極めたら成れるそうです」
そうだ。確かに錬金術士もアイコンが付いていないな。
なるほどな。そういうことなのか。面倒だな……。
「ただ……錬金や召喚、空間、付与などの魔術はまた特殊でして、一定以上極めると賢聖と呼ばれるようになるらしいです」
「なるほど。それは面白いな。でも、また曖昧な答えだな」
「面白いって……これはタカシさんの嫌いな勇者の物語で、勇者のパーティーメンバーの人が賢聖になったそうです」
「そういうことか。まだまだ分かっていないジョブが沢山ありそうだな。勉強になるし、面白い」
「そう言ってくれると、私も勉強した甲斐があります!」
さすがミリアだな。かなり勉強になった。
皆それぞれ体を洗い始めていたので、ファラの体を洗い終わった後、お礼にミリアの体を堪能す……洗ってあげる。
「も、もう! 一人でできますって! ちょっと!」
「いいからいいから。色々教えてくれたお礼だよ」
「もう! お礼になってないですって! 喜んでるの、タカシさんだけじゃないですか! ちょ、ちょっ! そこはダメですって!」
「はいはり、ありがとうなー。ありがとうー」
久し振りにミリアの肌を堪能できた。ふぅ。
最後に皆で体を温めるため、湯船に浸かって寛ぐ。
「今後の方針を話します。皆、しっかり聞いておくように」
「はぁはぁ……な、なん、ですか……」
「まず、ミリアには大魔導士になってもらいます」
「ふぇっ!?」
「次に、ファラには賢聖になってもらいます」
「わかった」
「マリーは、精霊関係の何か?」
「えぇ!?」
「ランは、武聖になってもらいます」
「ランが、武聖!?」
「ルリアには、言うまでもなく剣聖になってもらう」
「はいっ!」
「ミュウには、戦聖になってもらう」
「な、なんで、みゅもでやがりますかっ!?」
「パルとパロには、そうだな……討滅者を極めてもらおう」
「「はい、ボス!」」
こんなものだろう。マルカは雇っているだけだし、サラは女王になるわけだから除外した。
「ええと、タカシさん? 私は? 何もないのですか?」
「タカシしゃま、ウチ、仲間外れでしゃぁっ!?」
「ウチの家族の方針を話したんだよ。サラは王になるんだろう? マルカはミュウの教育が終わったら城に戻るかもしれないしな」
「うぅ……寂しい事言わないでくだしゃい……」
「そうよ、タカシさん。私だって、その、もうあなたのモノみたいな感じなんだし……?」
「それはそうだが、お前達にはお前達の人生があるだろう? 流石に今後の事は強要できないさ」
マルカの言う通り、寂しい事ではあるが、仕方がない。
俺のハーレム要員になってくれるのなら話は別だが……。
「マルカにはさっきも言ったように、俺の奴隷になるのであれば、今後も恩恵を与え続けることは可能だ。でも、サラは違うだろう。国の事もあるし、奴隷にするわけにはいかない」
「はぅぅ……しょうですよね……」
「私とは体だけの関係なのですね……」
「いや、俺はサラの事もマルカの事も好きだぞ?」
「た、お兄ちゃんは、見境ないね……」
「盛ったエロ猿でやがります……」
好き勝手言いやがって。
それよりも、ミリアとファラが黙っていることの方が怖い。
「分かったよ! お前達の事も家族として扱うよ!」
「ふふ、そうです。その言葉をお待ちしてました」
「が、がが、がばりましゅ!」
「但し、こいつらと同じように扱うからな?」
「ふぇぇぇぇっ!?」
「同じようにとは……?」
「家族とは言っているが、七人中四人は性奴隷だ。あとは、詳しく言わなくてもお前達なら分かるだろう?」
「うぅ……」
「はわわ……」
こんな感じで良いだろう。後は本人達に考えをまとめさせよう。
「よし、話は終わり。上がろう。さっさと寝るぞ!」
風呂の中でまだサラを中心に話し込んでいたが、そこは無視してファラを抱き上げて、ファラと二人だけ風呂から上がる。
相変わらず、ファラはなすがままだな。
ファラのぷにぷにを堪能しながら体を拭き、下着だけ身に付けてから寝室に移動する。
あいつらは、まだ風呂の中で何かを相談でもしているのだろう。たまには良いか。
あいつらが戻ってくるまで、ファラと二人きりの空間を楽しむ。
しばらくすると戻ってきたので、サラ、マルカ、ミュウ、パル、パロにはそれぞれの部屋に戻って寝るよう伝え、こちらも寝る準備を進める。
今日も歩き疲れた。
性欲的にはそこまで溜まっていないので、寝ることにする。
「明日もあるんだ、精神力が尽きる前にちゃんと寝ろよ?」
皆には魔法の練習を言い渡し、MPの尽きているランを呼んで、抱き締めて寝る。
やっぱり尻尾は良いな。
朝になったら、これが何故かファラになっているんだろうけど、今はマフマフを堪能する。おやすみ。




