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雑貨屋からリジー宅へと戻ると荷物をまとめて部屋を出る。
入り口で泣き出す二人に別れを告げると、ラシェルと二人で町の門まで歩く。
これから旅立とうとしている二人にしては荷物が極めて少なく、
(無限袋のお陰なんだが)
はた目からではとてもこれから町を出るとは思えない風体だ。
そんな体なので門の前に立っていたトニーにも町を出ていくとは思われず、
「そんな準備で王都まで持つのかよ!?歩いて1~2日かかるぞ?」
とすごく心配される事となった。
「しかし昨日は驚いたな、あんたらの言う通り魔物はいなかったよ。
翌朝に応援に来た特殊業務の奴らが戻ってきて片付いたって言ってたしな」
パスクアを倒して戻ると、門の前に残っていたトニーが
慌てて駆け寄り根掘り葉掘り聞いてきたので
説明するのも難しいと判断して
魔物はいなかったが雰囲気が怖くて逃げかえってきたと伝えた。
一応、目的の物は見つけられたと付け加えたが。
そのトニーはしみじみとした表情で、
やっぱ特殊業務の奴らは凄いんだなと独り言ちていた。
「ふーん、ねぇねぇその人たちはどうしたの?」
「あぁ、そういった後王都に戻ると言って帰ってったよ。チップはいらないってさ」
魔物討伐の報酬は依頼者から特殊業務に支払われ、
完了手続きが終わり次第担当者に渡されるそうだが
それとは別に特別報酬としてチップを渡すのが一般的らしい。
「勿体ないよな、俺なら相当ふんだくるけどよ」
「なんか貰いづらい理由でもあったんじゃないかな?」
ニシシと笑うと、ラシェルが何故かアキラの背中をバンバンと叩いた。
「どうだろうなー、でだ…その後確認しに行ったが
激しい戦いの後はあったものの魔物はいなかったよ。
だから王都までの道も多分大丈夫だろ」
採石場までの道のりとは違い、王都までは広く見通しの良い道が続いている。
魔物の動きも遠くから確認が出来るので避けることも容易だろうという事だ。
「しかし本当にそんな軽装で大丈夫か?なんなら前に貸した武器を貸してやろうか?」
「いやいや、戦いになりそうなら一目散に逃げるさ。無駄に戦って痛い目を見たくないし」
そうか?と答えるとトニーはテーブルに置いていた干し肉をアキラに投げてよこすと
「急な出立でアンディを呼ぶことも出来ず残念だが
また戻ってきたら酒でも飲もうぜ、待ってるよ」
投げキッスをラシェルに送った。
あいも変わらずな所にため息をつくが、湿っぽくなるよりは全然ましだ。
笑顔で手を振り別れると、二人並んで広い道を歩き始める。
門が遠くに見える頃を見計らって無限袋からクルーザーバイクを取り出し
一緒に出したヘルメットをラシェルに投げて渡した。
「あー!あたしもバイク買って持ってくれば良かったよ、向こうにお金残してても仕方ないし」
メットを被って後部に腰かけると、ギュッとアキラの腰に手を回す。
「なんだよ、ホームセンターで売ってるか試しにやってみたらどうだ?」
「んー、やっぱやめとくよ。とんでもないエネルギーの消費量になるかもしれないし」
呼び出すもののグレードによりMP?を消費するのだからバイクなんぞ出した日には死ぬかもな。
「さーアキラ!頑張って新しい場所へ出発だー!」
「後ろで暴れて邪魔するなよ!道が舗装されてないんだからな!」
二人の乗ったバイクは砂塵を起こしながら王都スウェインホームへの道を進み始めた。
後半かなり端折ってしまいましたが何とか区切りをつける事が出来ました。
構想的にはまだあるのでまた機会を見て書きたいと思います。




