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破壊神と妹勇者  作者: 朝寝東風
第一章
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目覚め 後編

「グギャギャ!」


 ゴブリンが叫びながら俺に襲い掛かる。


 剣の一振りで殺す。


 残りは200人前後か。


「主様、どう?」


 ポルルが聞いてくる。


「大丈夫だ。普通に戦える」


『当然よ』


 レイラは無視だ。


 肉体的には問題無い。


 魔法も思うように使える。


 何が変わったのか実感出来ない。


 それでも本能的に変わったと理解出来る。


 違和感は感じないが、もうしばらく試す方が安全か。


 ゴブリンが多い場所にポルルと一緒に転移して一時間は経った。


 最初は数が少ない場所に出て、少しずつ中心に向かって歩いている。


 もう少しすれば、全員が狂った様に襲い掛かってくるだろう。


 昔からゴブリンは倒すしか無いと教えられて来た。


 それが世界の常識だった。


 異世界から来た俺はそれが本当か分からなかった。


 強くなるためにはその解釈は都合が良かった。


 しかしゴブリンの様な人型モンスターは集団生活をし、武器を使った。


 疑問ではあった。


 話し合いは本当に無理なのか?


 リザードマンとは話し合えるのでは、と淡い期待を抱いた。


 無理だったが、次があると期待して狩り尽くさなかった。


 今の俺はレイラのおかげもあって、以前とは比べ物にならない程の知識を有している。それを何処まで使いこなせるかは別だが、無いよりは良い。


『やはり、情報は本当か』


 俺の気分は沈んだ。


『そうみたいね』


 ゴブリンを始めとした人型モンスターは人族のフリをする存在として闇の勢力が生み出した。彼らが生活している様に振舞っているのは演技なのだ。


 流石の俺もそれを知って驚いた。


 人族が殺害時に罪悪感を覚えるためだけに人のフリをするモンスター。より正確に言うなら、勇者が罪悪感を覚えるためだけ。


 過去の資料にも、子供のゴブリンを庇うメスゴブリンを殺せず、深手を負った勇者の話があった。子供でもメスでも油断するなと言う教訓話として残っている。


 ちなみにゴブリンには子供もメスもいない。全てそう言うフリをするモンスターだ。


 えげつない。


 闇の勢力の本気度が良く分かる。


 だがカラクリさえ分かれば、勇者に取ってはレベルアップするための餌だ。


 妹が来た時に上手く説得出来るだろう。


「主様!」


 ポルルが叫ぶ。


 見逃した子供型のゴブリンが後ろから俺を殺そうとする。


 振り向かず、剣の一閃で倒す。


『これで7回か』


『同じ条件ならこう動くのね』


 俺はゴブリンの行動パターンを検証しながら、残りを狩り尽くす。


 明日には全員復活している。


 サリスに言ったら絶対怒るだろうが、モンスターは精霊と同じ様に空気中のマナから生まれる。ゴブリンは少量のマナで大量に溢れ返る様に設定されている。そう言う魔法が世界規模で発動している。


『魔法陣を潰すの?』


『たぶん無理だ』


 なんとかしたい気はあるが、魔法陣と浮遊大陸は重なっている。魔法陣の中心が動力炉と同じ場所にあるのは決して偶然では無いはず。


 流石にそこまで調査出来ていないので、推測の域を出ない。光の勢力よりの知識が多いレイラではそこまで分からなかった。


「終わったか」


 周りには山積みになったゴブリンの死体がある。ゴブリンキングが居たみたいだが、もはや俺に取っては一般ゴブリンとの違いなんて無いに等しい。


「主様、大勝利!」


「ポルルもよくやった!」


 血みどろになったポルルの顔を拭く。


 怪我が無いみたいでホッとする。


「さあ、帰ろう」


 そう言って俺とポルルは転移で秘密基地に帰った。


「お帰りなさい、ご主人様」


 転移の間ではサリスが待っていた。


 精霊から戦いの終了を聞いて待っていたのだ。


 タオルと冷えた水を用意する辺り良く分かっている。


「サリスもご苦労。異常は?」


「ありません」


 その後は嫌がるポルルを風呂に入れて、久々に料理を作った。


 今まで寝ていたニコルも匂いに釣られて起きて来た。


 久々に4人で平和な食事を楽しめた。


 振り返ると、遠征を開始してからは結構忙しかった。


 それも明日で終わる。


 夕飯が終わり、リラックスしているとレイラが話し掛けて来た。


『もうすぐ終わりそう』


 俺はそれを聞いてプールへ向かった。


 3人娘も興味津々で後を着いて来た。


 プールに到着すると液体は既に無く、繭みたいな物が中央に浮いていた。


『妖精の卵?』


『そう言う事にするのが一番簡単ね』


 どうも学術的には違うらしいが、レイラの説明では理解出来なかった。せっかく手に入れた知識の宝庫をレイラでは完全に使いこなせない。本人は完璧に理解していると言っているが、俺に説明出来ない様では真偽が不明だ。


「主様、卵焼き?」


 ポルルが聞く。


 食えるのか?


 一瞬その考えが頭を過ぎったが、忘れる事にした。


「妖精が生まれる」


 俺が答える。


「ライ様、妖精はそんなに大きくありません!」


 ツッコミ役として大成しそうなニコルが言う。


 ニコルの言う事も尤もだ。


 大抵の妖精は大きくて拳大だ。湖の妖精時代のレイラもそんな感じだ。


 だが、俺が創造した妖精は人族より遥かに大きい。


「ご主人様、生まれます!」


 サリスの掛け声で俺達は繭を見た。


 繭が割れ、白い巨躯を持つ一頭が4本足で大地を踏み締めた。

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