最終調整
「次はスキルか」
「ここでスキルポイントを使うのがいいかも」
「50ポイントもあるのか」
レベルアップの他に「黒龍討伐20ポイント」、「レベル40達成2pt」、「レベル50達成2pt」の《クエスト》が達成済みだった。黒龍に関しては《クエスト》が出た事すら知らなかったが、ポイントが入ったので良しとする。
これだけあれば一つのスキルをかなり伸ばせる。いっそ持ち越すのも有りだ。黒龍との戦いも余剰ポイントが無ければ負けていた。これ以上のポイントを入手するのは困難なのは明白。
「宿主様、《転移者》のスキル取得制限無効を忘れているよ?」
レイラが予想外の事を言う。
「それがどうかしたのか?」
「取得出来るスキルを確認してね」
レイラが呆れたように言う。
「分かった」
俺はリストを見る。
リストの9割が赤字で書いてあった。
「これは、どういう意味だ?」
「赤字のスキルは最終調整が終わってから取得不可になるの」
「なんだと! 聞いていないぞ!」
「文句は神に言ってね」
「そうだな、すまない。しかしここまで不自由になるとは思わなかった」
「《サポートシステム》が残っていたら、全部オートで終わっているよ」
レイラがいるからマニュアルで設定出来るのか。
「しかし、聞けば聞くほど地雷だな、《サポートシステム》というやつは」
「そうかな?」
「違うのか?」
「メリットもあるみたい」
《サポートシステム》は戦えない勇者の代わりに自動戦闘でレベル上げを助けたり、必要は知識を与えたりする。召喚後右も左も分からない勇者に取っては無二の親友となり得る。
「だが、最終調整はほぼ独断でやるのだろう?」
「そうみたい」
この説明、何処か懐かしい感じがする。
もしかして?
間違い無い。
レイラだ。
最初は便利な羽虫だったのが、今は半ば主導権を奪われている。
最終調整はレイラがやっている。
彼女の存在と行動パターンが《サポートシステム》に似ている。
「偶然か?」
「宿主様、どうかしたの?」
「なんでも無い」
「それと、各種スキルの統合はどうする?」
「何が出来る?」
武術系スキル、《指揮》、《料理》は統合出来ない。
《火魔法 4》、《水魔法 4》、《土魔法 5》、《風魔法 5》の4つを《四元魔法 4》に出来る。
《空魔法 6》、《時魔法 3》の2つを《時空魔法 3》に出来る。
《魔力障壁 7》、《魔力操作 4》、《魔力可視 5》は《魔力支配 4》に出来る。
《精神耐性 3》、《毒耐性 1》は消滅して《亜神耐性 1》になる。
未取得を含めたスキル系を統合すると《スキル全書 1》に出来る。これにはスキルポイント5を消費する。
「主だったのはこれよ」
「統合後はスキルレベルが一番低いやつ基準か」
「そうなるみたい。上げる際のポイントが減るし、悪く無いと思う」
「統合するにはそれだけメリットがあるのだろう?」
「当然よ」
《四元魔法》は合成魔法、《時空魔法》は神域、《魔力支配》は純粋な強化、《スキル全書》はスキル取得とスキルレベル上げにボーナス。
「神域を展開出来るのか?」
俺と招待した者しか入れない小さな世界とも言える場所だ。
「スキルレベル7は必要だよ。スキルレベル3だとアイテムボックス止まりかな」
スキルレベルは最悪ポイントで上げれば良い。スキルレベル5までは自力で上げられるはずだから13ポイントを確保しておこう。
それにしても念願のアイテムボックスがここにあったか。リストから取得出来ない統合スキルにあったとは盲点だった。
「神域を作ったら妖精を創造してみるか」
《妖精創造》はおれが《妖精の小神》になった時に出て来たスキルだ。これ以上レイラが増えても持て余すだけだが、神域でなら試しても良いかもしれない。
「そうよ! 24時間宿主様のために働かせましょう!」
「そこまでさせないでも……」
「宿主様のために働いて消滅できるなんて、妖精に取っては無常の喜び。そう思わせるのよ!」
レイラが自分の世界に入っている。
「よし、他のスキルを取るか」
レイラの危ない妄想を無視して話を進める。
「ちょっと待って。親和性の低いスキルだと最終調整終了と同時に魂に食われるよ」
「基準は?」
「未取得のスキルで、スキルレベルが低い。《剣術》と《光魔法》と親和性が低い」
「それって生産系スキル全部じゃないか?」
最初の内に《鍛冶》でも取っておけば良かったか?
「そうなるね」
「何か対策は?」
「スキルレベル5までポイントで上げる」
「却下だ」
ここでポイントの大量放出は絶対に出来ない。
「2つまでなら、私がなんとかするよ」
「分かった。少しリストを見るから待っていてくれ」
「何日でも良いよ」
流石に何人も掛ける気は無い。
外の3人が心配しているはず。
まだ余裕があるとは言え、カッタルイの屋敷の者も心配するだろう。
結局1日以上リストを見て、色々シミュレートをした結果、2つのスキルを選んだ。
「《舞踏》と《音感》を取得する」
「え~! なんで、なんで?」
「どうかしたのか?」
「《鍛冶》とか《錬金術》みたいな鉄板スキルじゃないの?」
「極めるには時間とポイントが足りない」
結局これがネックだ。
時間さえあれば!
「まあ確かに」
「俺が選んだ二つは学園対策だ」
「通うの?」
俺も本気で悩んだが、通った方が良さそうだ。
「通う価値があるか疑わしいのは認める。しかし、妹の助ける正道はそれしか無い」
邪道で良いのなら、勇者のお世話係を排出する北方8国の小国を一つ滅ぼして、傀儡政権を建てる。
それでもお世話係になる資格を他国が認めないといけないので、そこの学園に通う事になる。王国貴族が違う国からお世話係として出て来たら、帝国辺りが文句を言ってきそうだ。
俺が数年で傀儡政権を建てられる国なんて帝国がその気になればあっと言う間に滅ぼせる。
「宿主様がそれで良いなら、良いよ」
「他に何かあるか?」
「魅力と幸運の値が低いから上げて欲しいな」
「分かった」
魅力アップ3と幸運アップ3を取得した。34ポイントアップした。
「これで全能力値100を超えたね」
「何か意味があるのか?」
「やっぱり亜神を名乗るならこの程度無いと格好付かないよ」
格好付けのためか?
まあ良いか。
レイラには何か考えがあるのだろう。
「やってくれ!」
「任せて!」
かくして俺の最終調整は終わった。
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名前 ライ・フリージア
種族 亜神族
レベル 58
HP:3000/3000
MP:4400/4400
筋力:148
体力:172
器用:147
敏捷:128
知力:178
精神:192
魅力:129
幸運:112
【スキル】
《剣術 8》《槍術 1》《斧術 1》《闘術 2》
《指揮 3》《舞踏 1》《音感 1》《料理 6》
《四元魔法 4》
《時空魔法 3》
《光魔法 10》
《妖精創造 1》
《魔力支配 4》
《亜神耐性 1》
《スキル全書 1》
【称号】
《光の従属神/妖精の小神》
《妹愛の勇者 37pt》
《真ドラゴンスレイヤー》
《王権》、《復讐者》
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