表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
破壊神と妹勇者  作者: 朝寝東風
第一章
75/136

地下秘密基地

 3人娘に近付くために一歩踏み出す。


ガクッ


 片膝を付くとは、どうやら重傷みたいだ。


 幸い、義手と義足は残ったままだ。


 この怪我で良く持った方か。


 3人娘が俺を取り囲む。


「ライ様、大丈夫?」


「主様、しっかり!」


「この怪我、精霊魔法でも!?」


「気にするな。この程度で死にはしない」


 いつも通り格好付けるが、今回は流石にやばいか?


 妹が来るまで死ねないから大丈夫だと思っておこう。


『大丈夫じゃないわよ!』


『治療すれば何とかなるだろう?』


 そう言うも、これが普通の方法では治せないのは俺が一番良く知っている。一生義手と義足を使う事を覚悟している。


 それでも戦えなら、それで十分だ。


『くっ付けたりするだけじゃないんだから! ええい仕方が無い!』


「ちょっとそこのエルフ、聞こえる?」


 いつの間にかレイラが外に声を出せるようになった。


 最初会った時は外から話し掛けて来たから、ずっと出来たのか?


「ご主人様の中から声が?」


 サリスが驚くも、妖精だとすぐに気付く。


「そうよ。宿主様は満身創痍なの。私が宿主様を再構築する間、守れる?」


 再構築? また心配な単語が出て来た。


「それはもちろん」


 サリスが即答する。


「宿主様、秘密基地に転移よ」


「あそこに何かあるのか?」


「マナメタルを溶かしたプールがあるでしょう! そこに浸かるのよ!」


「あれに浸かっても大丈夫なのか?」


 光るパステルピンクのプールは危険だと本能が訴えている。


「そこはそのエルフが何とかするわよ!」


「命に代えても必ず」


 サリスも何か重い台詞をサラッと吐いている。


「それほど気負う事も無いと思うぞ」


「ご心配無く。ご主人様が死ぬ時は私も死ぬ時です」


「そ、そうか。まあ俺は死なない」


 治療した時からかなり信頼されていたが、今はこの信頼がやばいものに思える。


『いいから、転移よ!』


「分かった。3人とも用意は良いな?」


 3人娘が頷く。


「なら、テレポート!」


 瞬時に景色が変わる。瞬時に魔法陣みたいな文様がある部屋に出る。これは魔法陣では無く、テレポート時に参考にするマーカーとして俺が用意した。デザインからして前衛芸術と誤解される類のものだ。


 ワイバーンロードがいた山をくりぬいて作った自慢の地下秘密基地だ。カッタルイで忙しくて帰ってくる余裕が無かったが、内部は荒らされていない。


 いつも通り《光魔法》で秘密基地に灯りを付ける。


 やばい! 魔力量の残りが!


ドスンッ!


 仰向けに倒れた。


 どうやら義手と義足の維持が出来なくなったみたいだ。


 目の前も暗くなってきた。


「ラ、ライ様、足が! 腕が!」


 ニコルが悲鳴を上げる。


 この状態だと結構重傷に見える。


 出来れば見せたくは無かった。


「あの戦いで失っていたのです」


 サリスがここでも解説屋を続けている。


 サリスは最初から知っていたので取り乱さない。


「場所、何処?」


 ポルルが俺を背中に担ぐ。


 ポルルも知っていたのかもしれない。左腕に抱きついていたし、ニコルが気付かない様にしていたのか。


「階段を上がって、左。二つ目の扉を右だ」


 俺は逆らわずに伝える。


 無駄な会話は3人娘を余計心配させるだけだ。


 ポルルが全力で走る。


 そして部屋には毒々しい色のプールが広がっていた。


「こ、これ大丈夫なの?」


 ニコルが俺の考えを代弁する。


「大丈夫です」


 サリスが言う。


 そこはニコルに同調して欲しかった。


「投げ込む?」


 ポルル、そっと入れてくれ。


 いっそ入れないでくれ。


「まずは、服を取ります」


 サリスが指示を出す。


「分かった、服だね!」


 ニコルがナイフを取り出して、残っている服を切り取る。


 今の状態では脱ぐ余裕も無いが……。


「お、終わったよ。だ、大丈夫、僕は男だから恥ずかしくなんて無いよ!」


 ニコルが顔を真っ赤にして言っている。残り二人もガン見していたのを知っているぞ。


 上着の一部が股間の上に載っているのがせめてもの情けか?


「後は私が魔法で運び入れます」


 サリスが言う。


「待て」


 俺が止める。


 俺は次元収納から残った食糧と飲料を出す。俺が書いた秘密基地の詳細な地図も渡す。俺が気を失えば灯りが消えるだろうから、ランプに火を付けて渡す。


「凄いね! この地図、観光案内の地図並みに精巧だよ!」


「自慢の作だ」


「あれっ? アイテムボックスの指輪は?」


 ニコルが気付く。


 これだから天然は怖い。


 俺の左腕が無いなら、指輪も無くなったと思うのが普通だ。


「あれは泥棒避けの偽物です」


 サリスがナイスなフォローをする。


「なるほど! 狙う人もいるからね」


 ニコルが信じた。


 サリスの解説屋が板に付いているためだろう。


「では、ご主人様。宜しいですね?」


 有無を言わせぬ口調だ。


「分かった。数日で目覚める予定だが少し延びるかもしれない」


 レイラと同じミスは犯すまい。


『なんですってぇ!?』


 レイラは無視だ。


 サリスが《風魔法》で俺を浮かべ、そのままプールの中心に俺を入れる。


「ゴボゴボッ」


 ……息が出来る?


 マナメタルを溶かしたプールは息が出来るのか?


『出来ないわよ。私が酸素を体に流し込んでいるの。あのエルフだって精霊に働きかけて宿主様の周りの液体の酸素率を上げているの』


 なるほど。


 何か凄い事をやっているのは分かる。


 詳細を聞きたかったが、どうやら限界みたいだ。


 そして俺の意識は闇に落ちた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ