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破壊神と妹勇者  作者: 朝寝東風
第一章
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滅びの黒龍戦 後編

『10日以上経っているぞ』


『《サポートシステム》のデータ整理に時間が掛かったみたいね』


 人事のように言う。


『終わったのか?』


『8割程度ね。体が緊急事態だから叩き起こされたのよ』


『見ての通りだ』


『数日は絶対安静でなんとか治せるかな?』


『あれを倒してからだ』


 黒龍を睨む。


『逃げなさいよ!』


『それは出来ない。どうやったら勝てる?』


 ここで逃げ出すわけにはいかない。


『ちょっと待ってね。……相手は滅びの黒龍。情報によると……』


 《サポートシステム》から取り込んだデータベースによると、勇者は黒龍を餓死させて、その死体を封印したそうだ。


『餓死? 生きているぞ』


『黒龍は倒しても、魂が新しい体が手に入れば活動出来るのよ』


 魂の経験は引き継ぐ。倒しても強くなって復活するだけだ。勇者が封印と言う方法を取ったのも頷ける。


『妖精みたいなものか?』


『闇の妖精って言えなくもないかな?』


 美しさや美意識が欠如していると文句を言っているが、無視だ。


『なら、俺が死んでからレイラが新しい宿主を探す様なものか』


『ふふ~ん、残念だけどそれは無理ね』


『何故?』


『宿主様とは魂レベルで融合しているから』


『聞いていないぞ?』


 初耳だ。


『言っていないもの』


『何時からだ?』


『最初からよ』


『なんだとっ!』


 驚愕の新事実だ。


『宿主様、永遠に一緒ですよ』


 黒龍に睨まれた時以上の悪寒がしたが、きっと気のせいだ。


「グオォォォ!」


『この話は後だ。まずはあいつだ!』


『勇者は《光魔法 8》で倒したみたい。消滅させるなら《光魔法 10》がいるよ』


『なら《光魔法 10》だ!』


 34ポイントを使い《光魔法 6》を《光魔法 10》まで上げる。残り10ポイント。


『即決?』


『妹が来るのに、こんなやつをのさばらせておけるか!』


『倒して封印するなり数年置いて潰す事も出来たのに』


 レイラが残念そうに言う。


 正論ではある。俺がもっと強くなって黒龍を倒す。


 だが、それは駄目だ。


 魔王や他の《闇魔法》の使い手と合流されては堪らない。


 単独で暴走している今が絶好の好機。


 俺より強いが、切り札は俺の方にある。


『他には何かあるか?』


『無いよ。《光魔法》のディバイン系の魔法で消滅させる事が出来るよ』


『魂に当たればだろう?』


『体の中全体が魂だよ。魂の群体?』


 なんと面倒な!


 《光魔法》で体内部全てを燃やし尽くさないといけないのか?


『斬るしか無いか』


 魔法では難しい。


 当初の予定通り、真っ二つに切り裂けば、体内に大ダメージだ。


 8ポイントで《剣術 8》に。2ポイントの器用アップ2で器用の値が100を超えた。


『良し! ブレイブ・アーム!』


 俺は失った左腕の代わりに《光魔法》で義手を作る。遠目から見たら本当に腕があるみたいだ。本物同様細かい動きも出来る。《光魔法 10》と器用100越えのおかげだ。


 同じ要領で義足も作る。空を飛ぶのに必要は無いが、黒龍を徴発するためだ。


 全包囲攻撃でかなり消耗したはず。


 それなのに俺は見た目無傷。


 黒龍はとにかく光を嫌う。勇者を嫌っているのかもしれない。《ドラゴンスレイヤー》を嫌っているのかもしれない。それを全部ひっくるめて俺を嫌っているのかもしれない。とにかく、大嫌いな俺が無傷なら黒龍は俺を殺すために動く。


『このサイズだと斬れないよ?』


『なら大きくなるだけだ。ブレイブ・アーマー!』


 光の鎧を大型化し、全長10メートルほどに設定する。


 人類が見ているのを意識して、ブレイブ・シールドを6枚背中にさす。遠くから見れば翼の様に見える。視覚的なインパクトは重要だ。


『ちょっと魔力消費が激しいわよ?』


『そのために回復薬を買い溜めしておいた』


 俺の強さは俺の財力込みだ。


 黒龍みたいに外から吸収出来ない分、回復手段は常に用意しなければいけない。


『来たよ!』


 黒龍がその巨体を近づけてくる。


 今の俺の鎧は大きいから、当て易いと勘違いしたか。


 体当たりと細いビームをかわしながら、ライトボールを撃つ。


 やはりこのレベルでは効果が無い。


『セイントアロー!』


 聖なる矢を体に撃ち込む。


 黒龍が当たった場所を再生しようとするが、いつもより遅い。


 《光魔法》のレベルが上がって使える様になった魔法は効果覿面だ。


 黒龍が自己再生に精霊を取り込むなら、それを逆に利用するまで。


『ホーリーダスト!』


 光の塵を空気中に撒く。


「グギャアァァ!」


 それを精霊と一緒に取り込んだ黒龍が痛みで悶える。


『効いているみたいだよ』


『効果的な攻撃方法が分かれば、負けはしない』


 俺は最初からスキルポイントでの強化を視野に入れていた。


 しかし《光魔法》にポイントを注いで勝てるかは分からなかった。


 レイラが目覚めて助かった。


 あの状況では《光魔法》に掛けるしか無かったが、精神的重圧から解放されたのは大きい。正しいと分かれば、後は全力を出すだけ。


 それが俺と黒龍の現状を作り出した。


 このまま有効打と再生妨害で削り殺す!


 それまではこの命も持つだろう。持たせてみせる。


 俺の攻撃を無視して黒龍はチャージ体制に入る。


「好機!」


 俺は攻撃の手を早める。


 少しでも多くの傷を付ける。


 チャージが終わり、黒龍が太いビームを口から放つ。


『何処狙っているのよ?』


 レイラが笑いながら言う。


 俺なら余裕で回避出来る。


『ちぃ! ブレイバー・シールドォ!』


 俺は光の盾を展開し、無理矢理ビームの軌道に割り込む。


『宿主様ぁ! 何自分から当たりに言っているの?』


『あいつらは俺が守る!』


 カッタルイの南門。


 その南500メートルの距離を闇のビームが大地を抉りながら通過した。


 衝撃で南門と都市の一部が吹き飛んだが、被害そのものは軽微だった。


「なんとかずらせたか」


 俺は溜息混じりに言う。


 黒龍の狙いがカッタルイだとレイラの発言で気付いた。


 この距離なら数度ずらすだけで直撃を避けられる。


 屋敷のみんなは守れた。


ドドドッ


『ええ!? 海?』


 レイラが叫ぶ。


 黒龍に集中しろ、と言っても聞かないだろう。


 しかし、なんと出鱈目な!


 カッタルイから海岸まで何百キロあると思っているんだ?


 ビームの影響でカッタルイの南に入り江が出来てしまった。


 これの影響を考えるのは後回しだ。


「こっちだ!」


 俺は黒龍を徴発し、上昇する。


 これ以上都市を人質に取られては困る。


 黒龍は俺が守ると確信して射角を調整した。


 戦い続ける内にかつての戦い方を思い出しているんだ。


 これ以上の時間は掛けられない。


 必殺の一撃を無効化されて気が立っている今が黒龍を仕留めるチャンスだ!


 空に上がり、雲を抜ける。


 黒龍は真っ直ぐ俺を追尾している。


 体が伸びきっている。これなら真っ二つに斬れる。


 古典的な方法だが、太陽を背にさせて貰おう。


『光の剣で斬れるか?』


『《サポートシステム》の戦闘補助機能を流用して宿主様の動きを光の巨人にラグ無しで伝える様にするよ』


『任せた』


 レイラ、賢くなっている? それともこれが本当のレイラか?


『ディィバイィィン・ブゥリンガァー!』


 巨大な光の剣を残った魔力全てを注いで作り出す。


 長くは持たない。


 俺の魔力も俺の命も。


 この一撃に全てを掛ける。


 黒龍も罠に気付いたが、今更方向転換は無理だ。


 でか過ぎる巨体が災いしたな!


 《風魔法》でブーストして黒龍の頭を剣で斬りつける。


ガキィィィン!


 黒龍が牙で剣を止める。


 真剣白羽取りだとぉ!


「うおぉぉぉ!」


『行けぇぇぇ!』


 なら剣を掴んだ牙ごと体を真っ二つにするのみ。


 力を入れる。


ガタガタ


 力が拮抗する。


 だが、戦い方なら俺に一日の長がある。


 黒龍のスペックが上でも、俺は知恵と機転でここまで多くの格上を倒してきた。


 このまま押し切れる。


 そして折れたのは黒龍の牙だ。


ズシャアァァ!


 俺は一気に黒龍の体を真っ二つに切り裂く。


『やったぞ!』


『消滅しているよ!』


 俺は油断無く構える。


 この手の相手はしぶとい。


 一瞬の隙を付かれては堪らない。


『……終わったか』


『残りも太陽の光で霧散したよ。この固体は消滅だね』


 他に固体がいるのか。


 妖精も精霊もいるんだ。黒龍がもっと居ても不思議では無いか。


 しばし、空中で立ち続ける。


 世界が光の巨人の勝利を確信しないと無用なパニックの火種になる。


『そろそろ良いか』


『どうやって帰るの? 色々な所から見られているよ?』


『俺個人を識別出来るものは?』


『無いよ。流石に顔までは見えないよ』


 10メートルの巨人は見える。170センチの人型は辛うじて姿を確認出来る。俺の顔は見えない。そんな感じか。


 懸念材料は精霊だが、黒龍が粗方食い尽くした。それにサリスが何か手を打つ。今は帰還する事だけを考えるか。


『光の鎧を解除するのと同時にテレポートで帰る』


「ホーリーダスト! テレポート!」


 目暗ましと転移を一緒にする。見ている人には巨人が天に帰った様に見えるはず。


「ライ様ぁ!」


「主様、何処?」


 ニコルとポルルが叫ぶ。後ろにいるんだが、気付いていない。


「後ろです。おかえりなさいご主人様」


 サリスが振り返りながら言う。


「ああ、ただいま」


 ギリギリ帰って来られた。

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