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破壊神と妹勇者  作者: 朝寝東風
第一章
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クローディア 中編

 次の朝から行軍を開始した。最初の2日は問題無かった。


 何事も無ければ明日の昼前に砦に着く場所で野営した。


 この間、リティーを始めとした近衛騎士とは一切話をしていない。


 俺が軍の構成を弄り、分割されていた補給物資を次元収納に全部入れた。近衛騎士、輜重兵、商人、騎士と言う感じになった。クローディアは近衛騎士に任せた。俺は殿の騎士と行動をともにした。


 騎士の部隊は20人弱だが、万が一商人が後ろから襲われたら守らないといけない。それなら腕が立つ俺とポルルの出番だ。ポルルと近衛騎士の相性の悪さも考慮した。


 ここまで至って平和だったからこそ、今晩は色々大変だ。


 俺が次元収納していた補給物資を全部出した。


「目録通りあるか確認! 馬車が壊れたのは他のに積み込め!」


 顔が青白い部隊長が叫び、文字が読める輜重兵が確認に走る。


 俺は取り出すだけなので、簡単な作業だ。


「ライ将軍、砦に着いてからでも良かったのではないですか?」


 作業を見に来たクローディアが聞く。


「クローディア様の到着は派手にしないといけません」


 パッと見て、男一人がアイテムボックスに荷物を入れて来るより、30台近くの馬車の方が視覚的インパクトがある。


 クローディアの表敬訪問が絡んでいるのが大きい。


 絡んでいなくても、俺はここで荷物を出して確認を終わらせていた。


「私のためですか。迷惑を掛けてしまいました」


「いえ、お気になさらずに。始めから砦に着く前にやる予定でした」


「えっ、そうなのですか?」


 やはり分かっていないか。


「端的に言うと、砦の人間は信用出来ません」


「えぇ?」


「特に、リティーを始めとした近衛騎士を見てそれが確信に変わりました」


「お姉さまで!?」


 クローディアが驚き、リティーが俺を睨む。今にも俺に斬りかかりそうだ。


 無視して話を続ける。


「補給物資を砦で出した場合、意図的に数え間違え、私が横領したと嫌疑をかけられる可能性があります」


「そんな事はしない!」


 リティーが声を上げる。


「ここ数日の貴方の行動を鑑みて、私がその言葉を信用出来ると思いますか?」


 リティーが黙る。


 この軍のトップである俺を完全無視どころか敵視する始末。近衛は命令系統が違うの一点張り。俺が将軍に伝え、将軍がリティーに伝えるという大凡実戦では役に立たない方法で軍を運用した。


 結局、馬を維持するために補給物資を余分に消費するだけで、軍事的には一切のメリットが無かった。


 クローディアの教育材料になったのが唯一のメリットか? 本来、俺には関係無い事だし、メイドさんは余りクローディアを教育して欲しく無いみたいだ。


「その、私は……」


「クローディア様。私は明日までの人間。気遣いは無用です」


 リティーの代わりに頭を下げそうだったので止めておいた。トップは間違ってもそう軽々しく頭を下げてはいけない。本人に自覚が無くとも、彼女は公国の顔の一つだ。他国人の俺に頭を下げると公国の国益に反する。


「閣下、確認が終わりました!」


 部隊長が良い所で来た!


「後はクローディア様が判を押せば良いか。各馬車に繋ぐ馬は既に決めているな?」


 俺は目録を見て、不備が無いか確認する。


「もちろんです! 指定の順番通りに並べました」


「上出来だ」


 明日は見得重視で動くため、混乱が予想される。馬車に番号をふり、その馬車を守る輜重兵を予め決めておいた。順番通りに一台一台出発すれば混乱は最小限になる。公国軍の錬度の低さがネックだが、ここまでやれば大丈夫だと思いたい。


 クローディアが判を押し、それを将軍が受け取った。これで補給物資の責任はクローディアに移った。不足があろうと文句が来ても突っ撥ねる。


「では私は夕飯の準備があるので、失礼します」


 心配そうに俺を見つめるクローディアと俺に殺気を飛ばすリティーを置いて、俺は調理場に向かった。


「閣下、仕込みはやっておきました!」


 マイクが出迎えてくれる。ここ数日で少しは料理が出来る様になったみたいだ。


「ご苦労。今晩は盛大に行くぞ」


「はっ!」


 砦司令はケチと言う情報を仕入れたし、今晩は本気の片鱗を見せるとしよう。


 最初の調理場を作ってすぐにカレーの煮込みを開始していた。数日しっかり煮込んだカレーは実に刺激的な香りを発している。マイクとニコルに試食して貰ったら、鍋の中身が無くなりそうだった。どうやらこの世界でもカレーは受けるみたいだ。


「もう俺は閣下無しでは生きられない!」


「うまいぞー!」


「閣下、男でも良いから嫁にきてくれぇ!」


 変なのが混じっているが、概ね好評みたいだ。


 食器類の洗いをしながら、朝食の用意をしておく。朝早くから行軍なので昼飯に作っているサンドウィッチを渡す事にした。移動中に食えば、時間の短縮になる。


 昼前に到着したい俺の意向が無ければ、もう少し余裕を持って出発出来た。


 流石の俺でも敵地で一泊は遠慮したい。暗殺者を返り討ちにするのは余裕だが、それで殺人罪で拘束されたら面倒だ。仕掛けられたら、それこそ砦の人間を皆殺しにする覚悟で望まないといけない。


 リティーまで斬ったらクローディアが悲しみそうだ。そうならない様に俺は素早く退散するとしよう。

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