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破壊神と妹勇者  作者: 朝寝東風
第一章
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騎馬隊

 俺と将軍が野営地の南に到着して10分すると、騎馬隊が近付いて来ているのが見えた。先頭は女騎士だ。


「あれは間違い無くリティーだ」


 将軍が言う。


 俺が得た情報が正しいなら、戦いにはならない。


 それ以前に、馬の状態からして戦いは無理だ。


 ここに少しでも早く着く事を優先して、かなり無理をさせた。


 馬にそれほど詳しく無い俺でも、疲弊しているのが目に見える。


「良し、旗を振れ!」


 出迎えと誘導をする。


 この旗と将軍を見たら、敵と誤解しないだろう。


「将軍、ご無事でしたか! して姫様は!?」


「クローディア様は無事だ」


「それは良かった」


 リティーはそれを聞いて気が抜けたようだ。


「リティー、紹介する。彼はライ将軍代行。この軍の司令官だ」


「ライだ。砦に着くまでの間、軍を預かっている傭兵将軍だ」


「リティーです。南の砦で近衛騎士隊長を務めています」


 リティーが俺を睨む。


 無名から将軍代行になったのだ。警戒はされる。


 その上で傭兵だ。


 信用度は良くてゼロ、悪ければマイナスだ。


「遠路はるばるで疲れていよう。馬を預けて休まれると良い」


「感謝します。私は姫様に会って着任の挨拶をします」


 将軍とリティーの会話が噛み合っていない。


 リティーとしては早くクローディアの安否を確認したいのか。


「クローディア様なら本陣だ。私もそこに向かう積もりだ」


「それなら、リティーの案内を頼む。こっちはやっておく」


 将軍にリティーを押し付けられた。


 近衛騎士の世話は将軍の方が慣れているので、適材適所か?


 リティーと会話も無く本陣に着く。


「姫様!」


「リティーお姉さま!」


 クローディアがダッシュでリティーに抱き付く。


 そういう関係なのか?


 姉代わりとは聞いていたが、ここまで溺愛していたのか。


 そうなると、リティーの脳内では俺は愛する妹に付いた悪い虫か。


 シスコンだから良く分かるぞ!


 俺の妹に正体不明の男が近寄ったら即刻斬り捨てる!


「二人して積もる話もあるだろう。後は任せて良いか?」


「任せて結構です」


 リティーが冷たい。


「分かった。なら私は私の仕事をしてくる」


「仕事ですか?」


 クローディアが不思議そうに聞く。


 野営時の将軍は軍議を開いたりとデスクワークが多いため、本陣で過ごす事が多い。出て行こうとする俺の行動が異質に映るのだろう。


「兵の朝食を用意してきます」


 夕食に続いて朝食を担当する事になった。昼食も担当するから、実質三食は俺の担当だ。将軍代行の仕事では無い。


「ライ将軍の料理を美味しいですから!」


「お褒めに頂き光栄です」


 妹のために鍛えたから当然。


 公国軍の料理軽視が激しいのと相まって必要以上に美味しく感じるのだろう。


 北方の軍で一番まずい帝国軍の飯でもちゃんと専門の調理部隊が作っている。公国軍は固いパンと自炊みたいだ。士気が上がらないのも良く分かる。騎士ともなると料理出来る従僕を連れているらしいが、奇襲でほぼ全滅した。


 ちなみに北方の軍で一番おいしいと言われているのは王国軍の飯だ。それ以外取り得が無いとも揶揄されるが、飯がおいしければ士気は高くなる。定期的に侵略戦争を仕掛けて来る帝国相手に常勝しているのも飯の差のおかげだ。


 俺が将軍代行権限で作った調理場に向かう。マイクの調査団の半数が来ている。早速調理開始だ。


「閣下、朝はどうします?」


 マイクが献立を聞いて来る。


「オートミール1杯にソーセージ2本。それにフルーツ2種類あれば良いか」


「豪勢では?」


「砦には3日後に着く。接収した食糧と兵糧は砦に着く前に使い切る」


 接収した食糧は砦の騎士用だろうが、構うものか。


「了解」


 オートミールはマイク達に任せ、ソーセージに火を通す。ささやかな《風魔法》で匂いを野営地中に送る。ほどなくして腹を空かせた兵士達が来た。


「また閣下の飯が食える!」


「ソーセージが2本もあるぞぉ!」


「何故閣下は料理人では無いのだ!?」


 兵たちが色々叫んでいる。


 この程度で喜ぶって、公国軍は本当に何を食べているんだ?


「ライ様、3人分お願いします」


 ニコルがやって来た。ポルル達は俺のテントで食べるみたいだ。南の砦と蛮族の相性は最悪だ。考えない様にしているが、族長としては南の砦司令を斬らないといけない。


 ポルルの一族は砦を通る際に奴隷にされた。正体不明の黒幕の手先は砦にいる。砦司令が手先か分からないが、責任を取らないといけない立場だ。今回は盗賊ギルドの手前見逃すが、近い内に左遷されない様では俺の方から公国を見限る。


 今は気にしても仕方が無いか。


 朝食が盛況の内に終わってマイクが後片付けしながら聞いて来る。


「昼はどうします? こうなっては余り質を落とせません」


「パンを焼いてサンドウィッチにしよう」


 在庫からしてチキンにレタス辺りが最適か。チーズもあるみたいだから、それも追加だ。これが上手く行くなら、明日の行軍から昼飯として携帯させられる。砦に早く向かうために昼の休憩は取らず、朝夜の2食になるはずだ。


「焼くんですか?」


「まあ見ていろ」


 《土魔法》でかまどを作り、《火魔法》で火を入れる。次元収納に入れておいた小麦と酵母、そして《時魔法》による発酵促進を使ってパン作りだ。酵母を手に入れるのに少々梃子摺ったが、カッタルイは貿易の要衝。金を積めば買えない物は無い。


 昼前には焼き立てパンの良い匂いが自然と野営地内に広がった。


「閣下、こんなやり方があるなんて信じられません!」


「おいしければ良いのだ!」


 マイクは未だ目の前の出来事を信じられないみたいだ。貴族御用達の柔らかいパンを大量に用意するとは流石に思っていなかったのだろう。


 昼飯はクローディア一行がパンの無心に来た以外は至って普通だった。


 夕飯は昨日とほとんど同じメニューだった。兵達は香辛料で味付けした肉を食えたので満更でも無い様子だ。


「閣下、肉食えるだけで皆満足です」


 マイクが俺を説得する。


「夕飯に関しては今回は妥協しよう」


 次からは次元収納にもっと食材を入れておかねばならない。《時魔法》のレベルを上げて、より長時間保存出来る様になれば、痛み易い材料もリストに加えられる。


 妹が来る前に三食、日本の家庭料理並みの品を作れる環境を構築しておくぞ!

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