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破壊神と妹勇者  作者: 朝寝東風
第一章
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野営 前編

「マイク、その肉は焼けたから、皿に!」


「はっ!」


 不味い糧食より美味しい料理を食べて、英気を養う必要があると判断した。しかし、料理を出来るやつはクローディア付きの料理人一人だけ。


 そこで急遽、俺が生き残った全員のために料理をする事になった。料理をする将軍代行はパフォーマンスとしては最高だが、実際はどうなんだ?


 食材は接収した馬車から貰った。兵に振舞っている酒も同じ出所だ。


 ミード達は疑心暗鬼に陥っており、文句を言う気力すら無い。


 後で補填するが、今は士気のために黙っていて貰う。


 料理は出来ても、長蛇の列を捌くのは無理だ。そこで有能なマイクと調査団を無理矢理徴発して手伝わせている。


 報酬にレッサードラゴンのステーキを提示したら、何故かやる気100倍になった。


「そこの騎士、野菜を残すな!」


 俺の声を聞いて、何人かの騎士が必至に野菜を飲み込む。ちゃんと味付けしているんだ。食っても死にはしない。


 もうちょっと時間があればスープを仕込んだり、野菜を柔らかくしたんだが、即席料理だから勘弁して貰おう。肉類を中心としたバーベキューになるのは仕方が無かった。


 俺が次元収納に調味料をありったけ入れておいて良かった。アルフレッドが調味料の価格が3倍に上がった、と言っていたから、かなり買い占めたのだろう。


 騎士と兵士の夕食が一段落したら、今度はクローディア一行の料理だ。これは俺が作るドラゴンステーキを中心にクローディアの料理人が前菜とスープを用意する。デザートのフルーツシャーベットは俺が魔法で作る。


「ライ様、クローディア様の準備が出来ました」


 メイド服を着て、伝令役をやっているニコルが知らせてくれた。男設定は何処に行った? クローディアと一緒に風呂に入った事だし、追求はやめておこう。


 ポルルが血塗れで臭かったので、無理矢理風呂に入れようとした。一人だと絶対に入らないのでサリスに一緒に入って貰った。入る入らないで揉めていたら、風呂と聞いてクローディア一行が寄って来た。いくら着替えたとはいえ、やはり綺麗になりたい想いが強かった。


 こうなっては樽風呂なんて言ってられない。


 そこで俺が《地魔法》で風呂と壁を作り、《水魔法》で水を張り、《火魔法》で湯を温めた。女性が入っているとなれば、デバガメが出るのは運命だ。そこで彼らの注意を逸らすために料理を振舞った。目論見は成功した。


 レッサードラゴンの肉を焼き、クローディア一行がいる簡易テントに入る。調査団の分も同時に焼いておき、後片付けと火の用心は彼らに任せた。俺やクローディアみたいな上役がいない方が幸せに食えるだろう。


 俺のテーブルには上座にクローディアが座り、なんとか復帰出来た将軍と顔が青白い部隊長が同席した。生き残った騎士の指揮官はこの二人だけだ。


 他のテーブルにポルル達が座っている。ニコルはここで食べる事に恐縮していたが、将軍代行のメイド扱いで座らせた。野営地だけに奴隷のポルルとサリスが一緒に食べている事に目くじらを立てる者はいない。ただ単に俺の奴隷だからかもしれない。


「ライ様、お風呂ありがとうございます。おかげで生き返りました」


「それは何よりです、クローディア様」


 俺の石鹸を使ったらしく、かなりの高評価を得た。サンプル用に持ち歩いていたのが功を奏した。今の所、ポルル以外には好評だ。


 他愛の無い話をして、クローディアは先に退出した。ポルル達にも先に俺のテントで休む様に伝えた。


 さて、ここからが本番だ。


 クローディアの椅子に彼女付きの出来るメイドが座り、4人だけの首脳会談が始まった。


 まずは部隊長が被害状況を纏めた。


「716人中373人が死亡しました」


 姫様一行12人は全員無事。騎士と兵士250人は残り21人。輜重兵250人は148人生き残った。商人他204人は162人残った。公国の歴史が始まって以来の大敗北だ。


「騎士がここまで減るとは!」


 将軍が鎮痛の表情を浮かべる。今日だけで公国軍の1/20が壊滅した。南の砦への交代人員だとしたら、砦にいる騎士の士気は大幅に下がる。かといって公国に250人も他から回す余裕は無い。


「明日、動くのか?」


 俺に取ってはそれが一番大事だ。


 精神的に参っている兵に休息は必要だ。


 ここで野営するなら数日は大丈夫だ。


 だが、いつまでもここにいる訳にもいかない。


「明日一日は待機だ。伝令が砦に届けば、騎馬隊が来る」


 襲撃開始と同時に将軍は砦に伝令を飛ばした。クローディアが虜囚の身になった際の救出部隊だ。将軍の話しぶりからして、奇襲開始と同時に敗北を悟ったみたいだ。


 騎馬隊は夜通し走るため、ここに着いた頃には馬が限界だ。馬を休めるためにはこの野営地が最適。利に適っている。


「了解した。そうなると私はどうすべきだ?」


 明日の正午に将軍に指揮権を返す決まりだ。


 俺が長居するのはまずい。活躍しすぎた。目立ちすぎた。兵の心を掴みすぎた。健全な軍隊に取って、他国人の俺は猛毒だ。


 しかし次元収納に騎士の遺体や馬車が入っている。


 外に出して、将軍に任せるわけにも行くまい。

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