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破壊神と妹勇者  作者: 朝寝東風
第一章
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ゲラルド戦 前編

 俺が3人を担いで走ったため、山賊にはすぐに追いついた。しかし、追いついた時には公国軍と山賊が戦闘状態に突入していた。


「遅かったか」


「主様、どうする?」


 ポルルが待機していた山賊の後詰めを殺して帰ってきた。


「待つ」


 公国軍だけで撃退出来るのなら、俺達は出ない方が良い。幸い俺達の周りには身を隠せる木々が多い。逃げてくる山賊と追撃する公国軍と鉢合わせしそうだが、俺の身体能力とサリスの情報収集があれば余裕で逃げられる。


「公国軍、押されています」


 サリスが解説する。


 俺も同意見だ。


 公国軍が山賊に負けるのはまずい。


 国家の威信に関わる。


 だが負けるべくして負けるのだから、仕方が無い。


 そう割り切れたら楽だ。


 少し情報を整理しよう。


 公国軍は700人。公女の表敬訪問と補給物資の輸送が任務だ。カッタルイから砦に向かう商人もいる。嗜好品は高く売れるし、軍と一緒なら普通は安全だ。


 戦えるのは250人。輜重兵も入れると500人になるが、期待は出来ない。


 公国軍は50人ずつに分かれ、護衛をしていた。先頭から部隊1、輸送物資1、部隊2、輸送物資2、部隊3、輸送物資3、部隊4、民間商人、部隊5と思えば簡単だ。


 山賊は150人ずつの山賊1と山賊2に分かれ、横から奇襲攻撃を仕掛けた。山賊1が部隊2、山賊2が部隊4を攻撃した。奇襲の上に50対150の戦力差。部隊2と4は抵抗らしい抵抗が出来ずに壊滅した。


 パニックに陥った輸送部隊は山賊に攻撃する。個人個人で勝手に動いているから、山賊に良い様にやられる。更に救援に来た騎士や兵士の邪魔をしている。邪魔をしている事すら気付いていないみたいだ。


 部隊1と3が山賊1と戦っているが、手も足も出ない。公女とゲラルドはそこか。部隊5と山賊2も戦っているが、民間商人が間に入って、混乱の度合いが酷い。商人の何人かも部隊を攻撃している。スリーパーを入れる余裕があるほどしっかりとした襲撃計画だったか。敵ながらあっぱれだ。


「このままでは公国軍が壊滅します」


「そろそろ介入するか」


 出待ちしていたわけでは無い。


 俺が出て行っても公国軍は俺を味方と認識出来ない。


 乱戦ともなればなおさらだ。


 ある程度趨勢が決し、公国軍の指揮官が冷静な判断を出来る状況で介入しないといけない。


 本来、ここから戦況を引っ繰り返すのは大変だ。しかし、俺は300人の山賊など一人で殺し尽くせる。どっちかと言うと、生き残っている公国軍の方が邪魔だ。


 俺は後方の部隊5を最初に助ける事にした。ゲラルドがいる山賊1を先に倒すと、山賊2はちりじりに逃げるはず。そうなると倒すのに時間が掛かる。


 120人は残っている山賊2の後ろから魔法攻撃を食らわせる。奇襲を食らった山賊は一瞬動きを止める。


「公国の騎士達よ、私はイライジャ様の命で来たライだ! 一気に山賊どもを蹴散らすぞ!」


 第1公子の名を聞いて騎士達が戦う力を取り戻す。勝手に名を使ったのは後々文句を言われそうだが、ハーピー討伐でここに来たのは本当だ。騎士達が救援に来たと勝手に解釈するだけだ。


 俺の魔法攻撃で山賊40人を血祭りに上げた。続けざまに第2射を放ち、更に30人倒した。残り50人は公国軍と入り乱れていて、範囲魔法では倒し辛い。


 俺は数打ちの剣を取り出し、山賊に斬りかかった。手加減しているのに剣が持たない。決して山賊を武器防具ごと斬り裂いているためでは無い。次元収納に300本以上入っているから、気にせずに斬り捨てる。


 俺の一振りで10人肉塊に変わるたびに、ポルルが3人程殴り殺し、サリスの矢が数人の心臓を貫通する。ニコルは誰かを探している。おそらく同僚がいるのだろう。


 騎士達も負けじと武器を振るう。彼らは15人も残っていないが、1対2なら山賊相手に負ける事は無い。


 全滅確実だった所、数分で俺達の完勝に変わった。


「腕に自信がある騎士数名は俺と一緒に来い! 残りの者は残存兵を討伐して、荷物を纏めろ!」


 俺が号令を掛ける。どうやら他に全体指揮出来る騎士が残っていないので、俺に従うみたいだ。


 公女の存在を商人や輜重兵が知らされているか不明なので言葉には注意する。


 輜重兵はパニックと死の恐怖からまだ立ち直ってはいない。考える余裕を奪って仕事させるしか無い。


 壊れた馬車に重傷の馬、更には散乱する荷物。綺麗にするだけでかなりの時間が掛かる。死体の処理までするなら夜通しの作業になる。


 人族の追撃は無いだろうが、モンスターが襲ってくる可能性は高い。


 出来ればこの場から動きたいが、それが不可能なら馬車で円陣を組まないといけない。死臭漂う何も無い荒野のど真ん中で野宿の可能性に気が滅入る。


 荷物と同僚の死体を全て放棄するなら楽だ。公女はその決断を下せるか?


 無理だろう。


 俺は今だ剣の音が鳴り響く場所へ向かって走る。

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