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Artificial Magi  作者: 津賀
第3章 第一学園編 前編
27/34

武術大会 - 2 -

誤字脱字等ありましたら連絡していただけると喜びます

『只今より、第一回戦の第二試合を開始しますので、選手の方は所定の位置についてください』

アナウンスに従ってアリアンとその対戦相手である

(ちょっと緊張しますね・・・)

そう、このアリアン、感情をあまり表に出さない割に結構緊張しやすかったりする。

アリアンは自分の緊張を抑えるために何度か深呼吸をする。

(これくらいの緊張感でしたら動きにも影響は出ないでしょう)

『それでは第二試合、ツヨシ=カーター対アリアン=カミシロ・・・始めっ!』


試合開始と同時にアリアンは相手に向かって走りだし、【身体強化】を掛ける。

相手の出方を一瞬伺っていたツヨシはアリアンがまず自分の方へと掛けてくるのを見て、魔術を発動させる。

「風よ、阻め【エアウォール】!」

ツヨシの詠唱と同時に彼の前に不可視な風の障壁が生まれる。

アリアンは止まることが出来ずに、風の障壁に突入し、暴風によって押し返されてしまう。

「・・ッ!」

鋭く呼気を吐いてアリアンは左へ大きく跳躍する。

次の瞬間、アリアンが直前まで居た場所に上空から雷が落ちてくる。

轟音を立てていた雷がある程度の高さになると急激に減衰して消滅する。

闘技場の効果によって威力が殺された結果だ。

アリアンはその様子をちらりと確認しながら、これ以上の魔術を行使させまいと更に接近を試みる。

が、雷の魔術が当たらないと判断するや否や、ツヨシは【ウィンドアシスト】を使ってアリアンよりも速く距離を取ろうと動き出す。

しかし、アリアンは【身体強化】を使って極限まで身体能力を高めているため【ウィンドアシスト】があってもヒューマンであるツヨシは距離をどんどん詰められてしまう。


(な!?奴もヒューマンのはずだ!なぜ追いつける!?)

ツヨシは心のなかで驚愕する。

(奴から逃げるのは不可能・・・なら!)

急にアリアンの方を振り返り、ツヨシは瞬時に【バレット】をアリアンに向けて放つ。

「予想通りです」

アリアンはそう呟き、正面に向けて拳を出す。

その瞬間、何かが弾けるような音が闘技場内を反響する。

「【バレット】を拳で殴り飛ばした!?」

ツヨシは驚愕の余り声を上げる。

通常【バレット】は視認しにくいため武器等で叩き落されることの少ない魔術だ。にもかかわらず、このアリアンは最初に見せた牽制での【バレット】の速度を覚えており、飛んでくる位置を予想して拳を叩きつけ、見事に打ち落とした。

驚愕の余り一瞬ツヨシが止まる。

その一瞬の隙を見逃すことなくアリアンはツヨシに肉薄し、拳を顔面につきつける。

「参りました」

ツヨシは負けを認め

『アリアン選手の勝利です!』

アリアンが勝利した。

同時にこれで第二回戦の第一試合はカムイ対アリアンとなることも決定した。


------------------------------------------------


『第三試合は今から1時間の休憩を挟んだ後に行います』

どうやらお昼休憩のようだ。

試合が終わったアリアンと合流する。

皆が口々におめでとうと言うと、アリアンは少し照れたような感じでお礼を言う。

「ありがとうございます」

一応次の試合のことも言っとくか。

「次の試合ではよろしくな」

「手加減は無しですよ、主」


これからお昼休憩ということでご飯を食べに行く事になった。

ヒロシも行こうと誘ったのだが、親父が来てるからと言われ、断られてしまった。

第三試合はイヨもユウナもヒロシも出ないため、のんびりとごはんを食べることが出来る。

今日は普通の学食が人でいっぱいだったため、三学園共用の食堂へ行く事にした。

なにげに初めてだ。


共用食堂は第一学園からだとちょっと離れた位置にある。

少し歩いたところで共用食堂に到着した。早速中に入る・・・広っ。

この食堂、第一学園の食堂の2~3倍くらいの広さはあるぞ。

「なんだここ、すっごい広いな・・・」

「ここは一応、各学園の避難場所としても機能させるために広めに作られたらしいですわ」

「はやくごはん食べよー!」

ユウナと喋ってたらイヨがゴネ始めた。どうやらかなり空腹らしい。

メニューをみてみると、かなりの種類があった。

「かなり豊富なメニューですね」

アリアンがこんな感想を漏らすほどだ。


とりあえず皆適当に注文して席に座る。

僕はビーフシチュー定食、イヨはポークステーキ定食(超大盛り)、ユウナは魚の煮付け定食、アリアンは麻婆丼といった感じだ。

にしても超大盛りとかできたんだな・・・まぁ、イヨの頼んだもの見たら食べきれる気しないけど。

ビーフシチューはまだ残ってたんだなぁということで注文してみた。

ちょっと入ってる野菜とかは変わってる気がするけど、基本的な味に違いはなくてちょっと安心した。

イヨは相変わらずすごい勢いで超大盛りの定食を平らげていた。もはや職人技といっても過言じゃない気がする。

ごはんを食べ終わり、ちょっとお茶を飲んでのんびりしたところで闘技場へ帰る。


闘技場に帰ってくると、ちょうど第三試合が始まるところだった。

イヨは第四試合なので、第三試合の勝者が自分と戦うかもしれないということで割と真剣に試合を見ていた。

両選手とも近接戦闘タイプで激しく剣を打ち合っていたが、途中から片方が押されるようになり勝敗が決した。

『勝者、レーネ選手!』


------------------------------------------------


前の試合が終わったので、イヨが控え室へと向かう。

「じゃあ、行ってくるね」

「勝ってこいよー」「ファイトです!」「頑張ってください」

「うん!みんなありがとっ」

さて、イヨの試合が始まるまで30分くらいか。

そういえばヒロシはどうしたんだろう?ちょっと連絡取ってみるか。

ヒロシの携帯に電話をかける。数コールの後、ヒロシが出た。

「カムイだけど」

『お、カムイどうした?』

「いや、今どこにいるんだ?1人で見てるんだったら合流しないか?」

『あー、すまん。今親父と見てるんだわ』

「そうか、ヒロシは第七試合だったっけ。応援してるからがんばれよー」

『おう、ありがとな』

「じゃな」『じゃあな』

ヒロシは合流できない、と。

じゃあちょっくらトイレに行って来ようかな。


トイレがかなり混んでいたため、戻ってきた時にはもうイヨの試合が始まるところだった。


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『ただ今より第四試合を開始しますので、選手の方は準備をして下さい』

アナウンスが流れると、イヨとその対戦相手は互いに位置についた。

『それでは第四試合、イヨ=ヤマガミ対ラース=ヤマモト・・・始めっ!』


試合開始の合図・・・があったのにもかかわらずお互いにその場から動かない。

イヨとラースの得物はそれぞれ杖と儀礼剣。互いが互いを魔術中心の戦いを行うと踏んで動かなかったのだ。

下手に動くと中級以上の魔術を発動するのは難しい。しかし、止まって集中していればほぼ瞬時に中級クラスの魔術ならば発動できる。

そのため、この二人は相手の集中力を切れるタイミングをうかがっているのだ。

戦いが始まって数分が経つが、双方に動きはない。だが、会場は異様な緊張に包まれていた。

(このままだと双方ジリ貧にならないかな)

カムイがそう思ったところで、試合に動きが起こる。


相手の様子をじっとうかがいながらイヨは思う。

(このひと、すごい集中力。このままだとわたしのほうが先に息切れしちゃうかも)

(じゃあ、イチかバチか接近戦を仕掛けますかっ!)

瞬間、イヨは【身体強化】を使用し、【ウィンドアシスト】程ではないものの風属性魔術の助けも受けて猛スピードでラースへと近づく。

ラースの対応は落ち着いており、イヨのスピードが予想以上に早いと踏むや否やほぼ一瞬で自分の最も得意とする中級魔術【土槍】を発動する。

このタイミングでは躱すことは出来まい、というほど完璧なタイミングで魔術を発動することができた、とラースは心のなかで自画自賛をする。


しかし、その地面から出てきた土の槍がイヨにヒットすることはなかった。


イヨは本能的にラースが魔術を使う瞬間のオドとマナの乱れを感じ取り、危険を感じ取った瞬間に横へ飛び退いていた。

「ばかなっ!?」

自信のあった魔術が当たらなかったことに驚いたラースが思わず声を上げてしまう。

だが、ここでつ迎撃されてはまずいと思いなおして再びすぐに魔術を使えるように集中力を高めていく。

一方、『勘』で魔術を回避したイヨだが、少々無茶な姿勢で着地してしまったために体勢を整えるのに時間がかかってしまっている。

その隙を見逃さず、ラースは再び【土槍】をイヨに向かって放つ。

ギリギリ魔術が放たれる直前に体勢を整え終わったイヨは【土槍】を回避し、ラースに近づくために全力で前へと向かう。

(なっ・・・速い!)

魔術を使った直後でわずかに硬直してしまっていたラースにはイヨの接近を止めることが出来ず

「参った、降参だ」

眼の前に突きつけられた杖を見た瞬間に負けを認めた。

『勝者、イヨ=ヤマガミ!』



------------------------------------------------


イヨが合流し、僕たちは口々に祝いの言葉を掛けるとイヨは

「えへへー、ありがと!」

ふにゃっとした笑顔をしながら喜んでくれた。


さて、次の試合は確か

「次は私ですね」

そうだ、ユウナが出るんだ。

「では行って参りますわ」

「あぁ、がんばってこいよ!」

「ファイトだよっ」

「ご武運を」

ユウナを見送り、僕たちは試合が始まるまで雑談をして過ごす。


------------------------------------------------


『ただ今より第五試合を開始しますので、選手の方は準備をして下さい』

いつものアナウンスが聞こえてきて、ユウナとその対戦相手が準備をする。

『それでは第五試合、レミ=リデル対ユウナ=カミシロ・・・始めッ!』


試合が始まると同時に双方が【身体強化】を行う。

互いに得物は剣と同じだが、構えをとった瞬間にレミは真正面からあたっても勝てないと悟った。

レミの技術ではユウナの構えに隙を見つけることが出来ない。どう攻めていいのかが全く見えてこないのだ。

だが、それでもレミはユウナに対して正面から当たることにする。

レミは1人の剣術を学ぶものとして手合わせをしたいと思ったのだ。


ユウナはレミに対して自分のほうが優れているといった思いは一切持ち合わせていなかった。

相手をするときは相手を侮ることなく動く。それが出来なければ冒険者として死んでしまう確率が跳ね上がるということを父から教えられていた。

故に正面から向かってくるレミに対しても己の全力を持って相手をする。


互いの間合いに入った瞬間、剣戟が展開される。

右に左、上に下、時にフェイントを織り交ぜ二人が巧みに剣を振るう。

その舞踏会のようにも見える剣戟に観客は皆魅入られる。

だがしかし、どんなに素晴らしい舞にも終わりはある。


上段からの攻撃に対し、ユウナはわずかに相手の剣の軌道をそらすことで逆にカウンターを狙う。しかし、カウンターされるのは織り込み済みだったのか、レミはユウナのカウンターで繰り出された突きを身体と首を少しずらすことで回避をする。


だが、回避したと思った剣が軌道を変えて回避した先のレミの首へと迫る。

この動きはさすがに予想していなかったのか、レミは動くことが出来ずにユウナに剣をつきつけられてしまう。

「参りました」

美しい剣舞の試合は、ユウナの勝利で幕を閉じた。

『勝者、ユウナ=カミシロ!』


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ユウナが合流したところでやっぱり皆で祝いの言葉を掛ける。

「あ、ありがとうございます」

ユウナははにかみながら喜んでくれた。

ヒロシは次の次の試合だったはずなので、次の試合はのんびりと見ることにする。


『勝者、サーシャ=ムラセ!』

第六試合が終わり、勝ったのはダガーを巧みに操る少女だった。

あの子とユウナが第二回戦で当たるのか。


さぁ、次はヒロシの試合だ。ちゃんと戦ってるところを見たこと無いから楽しみだ。


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『ただ今より第七試合を開始しますので、選手の方は準備をして下さい』

悠々と入場してきたヒロシと若干緊張しながら入場してきた相手が準備をする。

ヒロシと相手の得物はそれぞれ拳と剣か・・・普通に考えたらヒロシが不利なんだけど、どう戦うんだろ。

『それでは第七試合、ヒロシ=サカガミ対アルバート=ナッシュ・・・始めッ!』


ヒロシとアルバートは共に近接タイプという事もあり、【身体強化】をかけた瞬間にお互いの距離を詰める。

しかし、アルバートの剣の間合いに入るかはいらないかという微妙な距離まで近づいた瞬間、ヒロシが一瞬で加速をする。

ヒロシが間合いに入った瞬間、最速で剣を振るおうと構えていたアルバートだったが、予想以上のヒロシの加速にタイミングをずらされてしまう。

「しまった・・・【部分強化】ですか!」

アルバートが気づいた時にはもう遅く、目の前にはヒロシの拳があった。

「おせーよ」

「参りました、降参です」

『勝者、ヒロシ=サカガミ!』


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ヒロシのやつ、速度を一気に変えることで相手の攻撃を封じたのか・・・

あんな間合いぎりぎりから一瞬で加速するとか、恐ろしいな。

「ヒロシすごいねー」

「圧勝でしたわね」

「あれほどの動きができるようになりたいものです」

イヨやユウナ、それにアリアンまでもが普通に感心している。

あの近距離からの急加速は普通に見てたら気づきにくいかもしれない。

だが僕たちは魔力に余裕が有るため、【鷹の目】を使ってヒロシの動きを捉えれるようにしていたためカラクリがわかった。

ヒロシに携帯でおめでとうと伝える。

さて、じゃあ次の試合を見たら家に帰りますか!


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『勝者、ゴウ=ヤマセ!』

第八試合が終わり、勝ったのは槍を持った少年だった。


今日の試合はこれで全部終わり!

ということでとっとと家に帰って明日に備えますか!


こうして、武術大会の1日目が終わった。


これにて第1回戦終了です。


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