ニホンの歴史に興味津々!
ヴェルニカ学園内にある庭園には、様々な花が咲きほこっている。
バラは咲き乱れ、百合の花は香り、ラベンダーがそよそよと風に吹かれて、緑は生い茂っている。
庭園にある噴水の水はきらきらと水しぶきを上げ、白い大理石で造られた東屋には、一羽の鳥が羽根を休めていた。
りさはアナベル宛の恋文を届けるため、学園内の寮にきていた。
無事手紙を届け終え、あとは帰るだけだと歩みを進めると、はちみつ色の髪と瞳を持つ、歴史学教師のアラン・ヘイルとばったり出会う。
「おや」
「あ、先日はどうも」
えへへ、と笑いあってお互い挨拶をする。
二人はとある出来事で顔見知りになっていた。
「失礼ですけど、リサさんはこの国の方ではないですよね?」
穏やかな声で朗らかに問いかけるアラン。
「ええ、まあ」
「どこからいらしたのですか?」
「日本というところです」
「ニホン……聞いたことないけれど宇宙は広いですからね、僕の知らない国なんて星の数ほどあるんだろうな。よければリサさんの国の歴史を教えてくれませんか?授業がおわったので時間はたくさんありますので。リサさんさえよければですけれど。」
アランは目をキラキラ輝かせてりさに問う。
「構いませんよ。歴史ちゃんと覚えてるか不安ですけど」
「よかった!では立ち話もなんですし、僕の研究室に行きましょう。古い小屋で申し訳ないのですが」
「いえいえ、そんなお気になさらず」
***
古い煉瓦造りの小さな家が学園のはずれにポツンとある。
ここがアランの研究室だ。
家の中は本でいっぱいで、本棚に置ききれなかった本が床に高く積まれている。書類もたくさんあり、乱雑に机の上に置かれている。
家具は古めかしく、赤い布が貼られた椅子は、木の色が濃く変化している。
りさは、
(歴史といい、家具といい、古いものが好きなのかな)
と埃っぽい部屋を見渡して思う。
「今お茶を淹れますね」
「あ、お構いなく」
そう言い、アランは小さなキッチンでお湯を沸かし、茶葉の缶を開けて、ティーポットにさらさらと茶葉を入れる。
お湯を注ぎ、ティーカップに深紅色の紅茶をいれた。
「どうぞ、お待たせしました」
「ありがとうございます」
「では、早速リサさんの国の歴史をお聞きしてもいいですか?
「いいですよ、えーと……あっそうだ、今から100年前『大奥』と呼ばれる制度がありまして。国のトップのために、国中から美女を百数人集めてハーレムを築いていましたよ。反乱がおきて崩壊しちゃったので、今はもうないけれど」
「ほう!実に興味深い!百数人ものハーレムですか!豊かな文化とお見受けする」
「うーん、まあ、派手ではありますよね」
「他にも教えてください!」
アランは小さな子供のように続きを求める。
りさは必死に高校で学んだ日本の歴史を思い出す。
「えーと、室町時代と言われた600年前は……」
***
夕陽があたりを包み込む。
鳥が巣に戻るため空を飛び、月が白く光っていた。
「あ、もうこんな時間!すみませんリサさん、引き留めてしまって」
「いえ、私も先生と話せて楽しかったです」
「そうですか、それは嬉しいです。お話を聞かせてくれたお礼と言っては何ですが、これをどうぞ」
アランは机の上に置いていた、一冊の本をりさに手渡す。
表紙には【ヴェルニカ王国の歴史書】と書いてある。
「僕が書いたものなので、ちょっとお恥ずかしいのですが」
「えっ!?書いたんですか!?この分厚い本を!?すごい!」
えへへと照れ笑いするアラン。
「りささんはとっても興味深い人だ。そうだ、良ければ僕と文通してくれませんか?もっとニホンの歴史を知りたいです!」
「学校で習った範囲でよければ、いいですよ」
約束ですよ、とアランはりさに小指を差し出し、約束のおまじないをした。
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