【小桜ちよの恋愛相談(サイコメトリー先輩編)】
椛「面倒なのは嫌いなんで、はっきり聞かせてもらう。万と何があった?」
ち「知ってるんですね……」
椛「ああ、知ってる。つっても、友田から聞いたわけでも万から相談されたわけでもねぇぞ」
ち「岸先輩は椿先輩が幼女だったこと知ってたんですよね」
椛「……幼女って言い方が合ってるかは分かんねぇけど、知ってた」
椛「それがどうかしたのか?」
ち「先輩は、椿先輩のことが好きだったんですかね……?」
椛「どう、だろうな。でも憧れはあったと思うぞ」
ち「憧れ……」
椛「小さいから守ろうと必死になってたのは事実だが、それ以上に、頼りにしてた。信頼してたんだよ」
椛「でも、椿先輩は男に守られるような人じゃないからな」
ち「それは、なんとなくわかります……」
椛「ああ、それと、これは墓場まで持っていくつもりだったんだが……」
ち「……?」
椛「お前と万、小さいころに出会ってるんだよ」
ち「え……!? でも、そんな記憶ないですよ……」
椛「そうだろうな。お前たちが接触するたびに記憶を消していたからな」
ち「な、どうして!?」
椛「悪いとは思ってるよ。けど、自分たちを守るのに必死だったんだ」
椛「俺たち超能力者は、普通の人間を信用できない。俺が物に縋るのも、愛が自分しか愛せないのも、椿先輩が弟を大切にしているのも、その弊害だ」
ち「で、でも先輩は……」
椛「アイツはもっとひどい。何も信用していないのさ」
椛「小さいころから揉め事に巻き込まれて、傷つくことと傷つけることに慣れ過ぎた。はっきり言って、お前が万の心の闇を背負うことなんてできないと思ってた」
ち「でも、そんな様子、みじんも見せませんでしたよ!?」
椛「そうなんだよ。お前が傍にいる時の万は本当に楽しそうで、こっちが信じられなかったぜ。アイツは、人に頼りにされるのが本当に好きなやつなんだと初めて知った。中学まではそんな素振りを見せなかったし、高校に入ってからはただ椿先輩に憧れてるからだと思ってた」
椛「違ったんだな。必要なのは、お前だったんだ。多少ワガママで、いつも万を振り回すようなお姫様が必要だったんだ。俺たちは、そのことに気づけなかった……」
椛「記憶に蓋をして、勝手に守ったつもりになってた馬鹿野郎だ」
ち「でも、私、めんどくさい女ですよ。先輩の迷惑になるんじゃ……?」
椛「迷惑上等。アイツはロリコンなんだぜ? 困らせるぐらいわがまま言って、思いきり振り回して、退屈なんてさせないようにすればいい」
ち「でも、椿先輩の代わりになんかなれないですし、岸先輩達みたいに守ってあげられません……」
椛「守る? そんなこと考えなくていいんだよ」
椛「隣にいてやれ。お前がアイツを信用するなら、アイツもお前を信じられる」
ち「私、あの人の隣にいていいんでしょうか……?」
椛「ダメって言われても居座れ。押しかけ女房ならぬ、押しかけ幼女だ」
ち「……だから、幼女じゃないですって!!」
ち「先輩、ありがとうございます」




