【サーモキネシス先輩と身長】
ち「先輩、こっち終わりました!!」
万「じゃあ、第2体育館までもっていって~」
椛『もしもし俺だ。千里眼で合唱部の部長を探してれないか?』
愛『小桜さん、出来れば手芸部か美術部のヘルプ行ってもらえる?』
ち「あはは。三送会前日だと、ここまで忙しいんですね……」
万「笑ってる場合じゃないよ。途中、校長室によってこの書類にハンコ貰ってきて」
キーンコーンカーンコーン
葵『2年の小菊くん、小菊万くん。至急、第1体育館まで来るように』
万「マジ……!? さすがに無理あるでしょ……」
ドタバタドタバタ
ち「アレ、楓? 何してんの?」
楓「合唱部に混ざって発声練習。明日の劇、楽しみにしてて!!」
ち「うん、期待してるね!! ……って合唱部?」
ち「ねぇ、楓!! 合唱部の部長さんって今どこにいる?」
楓「えーと、演劇部の部長と一緒に職員室に行ってるよ。もうすぐ帰ってくるんじゃないかな?」
ち「先輩、岸先輩に伝言です。『合唱部の部長は職員室に居ます』」
万『了解。それと、愛の件は解決したから、戻ってきて』
楓「なんか、忙しそうだね?」
ち「まぁね。先輩たちの足引っ張らないように頑張らないと!!」
楓「フフ。楽しそうでよかった。頑張ってね~」
超能力研究会部室にて……
万「小桜さん、おかえり!! 次は、コレの組み立て手伝って」
ち「そ、その前にお茶飲んでいいですか……!!」
コンコンッ
椿「やっぱり忙しそうにしてるわね」
ち「あ、椿先輩!!」
万「お疲れ様です椿先輩。おかげさまで、盛況過ぎて大変ですよ」
椿「去年私たちが頑張った分、今年はもっと忙しそうね」
ち「そういえば、依頼の数が去年より増えたって話してましたね」
椿「去年はそれなりに余裕あったのよ。なにせ、椛がたまにサボってたぐらいだからね」
ち「あの人、依頼で忙しいとサボらないですよね」
万「さらに言うなら、去年は愛が一番忙しかったんじゃないかな」
ち「え、なんでですか?」
椿「ああ、モデル業ね。パンフレットとか、広報関係で引っ張りだこだったからね」
ち「あ、そういえば、中学校に来てた高校案内新聞で見かけたかもしれないです」
椿「懐かしいわね……。たしか、万に身長を伸ばしてもらったのも、このぐらいの時期じゃなかったかしら」
万「ああ、懐かしいですね。あの時は冗談めかして、幼女先輩の卒業なんて言ってましたっけ」
ち「…………え?」
椿「ああ、ちよちゃんは知らないのかしら? 私ね、もともと貴女ぐらい背が低かったのよ」
ち「そ、それは……どういう意味ですか……?」
椿「万より先輩なのに、すっごく小さいから、ずっと妹扱いされてたのよ。失礼な子よね」
万「だって、あの時の先輩、小さくてめちゃくちゃ可愛かったじゃないですか」
椿「まるで今は可愛くないみたいな言い方ね……?」
万「ソンナコトナイッスヨ?」
椿「懐かしいわ~。去年は私にべったりだったわよね? また、膝枕してあげましょうか?」
万「いやいや、からかわないでくださいよ……!! さすがに恥ずかしいです」
ち(私の知らない、先輩の過去……)
ち(なんでだろう。すごく、聞きたくない……)
椿「そうそう、アナタ、私の友達から番犬くんって呼ばれてたのよ」
万「なんですか、そのあだ名。不名誉すぎません!?」
椿「何かあるたびに私の心配をして、守ろうとしてたから番犬みたいだって言われてたのよ」
万「アハハ。否定できないっすね。小さかったから、守らなきゃと思って……」
椿「一応先輩なのよ? それにいざとなったら超能力もあるんだから、自分の身は守れるわよ」
万「いやぁ、それでも守りたいんですよ。男ですから」
ち「…………ッ!!」
椿「あら、ちよちゃん。どうかした?」
ち「…………」
万「えと、小桜さん? 大丈夫?」
椿「ちょっと疲れちゃったのかしら? 少し休んだほうがいいわ」
ち「すいません、先輩。ちょっと……体調悪いんで、帰ってもいいですか?」
万「え、大丈夫!? 送っていくよ」
椿「万とちよちゃんの分の仕事は手伝うわよ!!」
ち「いえ、一人で帰れますから」
万「でも体調悪いんでしょ? 心配だから家まで……
ち「要らないです!! …………すいません、いらないです」
ガラガラ
万「え、こ、小桜さん? 小桜さん……!!」
ピシャンッ!!
私は、叩きつけるように扉を閉めて、家に帰った。
……誰の顔も見たくない気分だった。




