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【超能力先輩とサイコメーカー】

万「ちょっと手荒に瞬間移動するからね。割と必死に掴まってて!!」


ち(景色が一瞬で切り替わっていく!? まるで、古い映画を見てるみたい……)


ち「先輩、何が起きてるんですか?」

万「俺にもわからない。けど、誰かが俺たちに害をなそうとしていることだけはわかる」

万「小桜さんは、危険だから、お家に帰って」


ち「あ、私の家の前……!!」

万「カモフラージュのためにいろんな国を回ってから、戻ってきたんだ」

ち(先輩の体、すごく冷たい。寒そうに震えてる……)


?「初めまして、小菊万君」

万「……!!」


?「私は、超能力を持たない一般人、海發(かいはつ) 芽衣花めいか


ち「先輩、この男の人、知り合いですか?」

万「いいや、全然知らない。けど、すこぶる怪しいよね」


芽「怪しいなんてそんな。せっかくプレゼントまで用意してきたのにひどいなぁ?」


ゴロン


ち「ヒィッ!! 岸先輩の石像!?」

万「なるほど。愛たちとの連絡が取れないのもお前のせいか?」

芽「その通り!! すぐにわかってくれて嬉しいよ」


万「目的はなんだ?」


芽「目的? そんなの決まってるじゃないか!! 単なる嫌がらせだよ」

ち「い、嫌がらせ!?」

万「どういう意味だ!!」


芽「そのままの意味さ。君たちだけ超能力なんて言う素晴らしい能力を手に入れて、私にはその力がないなんて、おかしいと思わないかい?」

万「だから、愛たちを彫刻にしたのか!?」


芽「その通り。私が作った石化装置にかかれば朝飯前さ」


万「小桜さん、少し下がってて。お前は許さない!!」

芽「それ以上超能力を使ったら、本当に死んじゃうんじゃないかなぁ~?」


ち「え……」


芽「君たち超能力者は、能力を使うたびに体温を失っていく。連続で能力を使わない……いや、使()()()()んだろう!!」


芽「1月から2月にかけては冷え込みも厳しいからね。ましてや、連続で瞬間移動を使った後は、簡単なサイコキネシスさえまともにできないだろう!? 全部調べているから知ってるよ」

ち「……先輩、今まで一度もそんなこと言ってくれなかったじゃないですか」


万「そりゃ、後輩の前ではかっこいい先輩でありたいからね」

ち「私を守るために、あんなに無茶をしたんですか!!」


芽「バカだねぇ。私は超能力者は嫌いだが、無能は好きだよ。哀れで可愛いじゃないか。当然、その娘やサイコメトラーの彼女にも手を出すつもりはない」

万「なるほど、それを聞いて安心したよ」


シュン!!


芽「テレポート!? まだ余力を残していたのか……。けれど、すでに限界のはず」







万「ハァハァ……。ここまでが限界……!!」

ち「先輩!! 無茶しないでくださいよ。どうして……!?」

万「言ったでしょ。必ず、守ってあげるって。俺は、君のお兄ちゃんだから」


ち「……もう、先輩のバカ。こんな時に……」


芽「ハハハ。まさかビルの屋上に逃げるなんてね。おかげで登ってくるのに時間がかかったよ」


ち「なんで、ここがわかったの……!?」

芽「いい質問だね。コレは私が発明した特殊な小型GPSだ。そしてこっちが超小型なジェットエンジンを搭載したブーツ。これらの発明品を組み合わせれば、鬼ごっこは簡単さ」


万「マジか……。超能力者よりもよほど超能力みたいだ……」

芽「そう!! 私は超能力に憧れて、必死にこれだけの発明を出来るようになった。けれど、胸に空いた虚ろな感情は埋まらない!! 私は、超能力者のまねごとをしてるに過ぎないのだと感じてしまう」


芽「超能力という不平等な力は、この世から無くなるべきだ」


万「これは……どうしようもないね」


ち「……あなた、私には手を出さないって言いましたよね」

芽「ああ、その通り。無能力者に罪はないからね。危害を加えるつもりはないよ」


ち「だったら、私が先輩を守っている限り、あなたは先輩に手を出せない。そうですよね?」

万「小桜さんダメだ。君を逃がす余力は残してある。家に帰るんだ!!」

ち「先輩は!! 先輩はそうやって、いつも私を守ってくれる。でも、それじゃダメです」


ち「私にも先輩を守らせてくださいよ。たまには、助けさせてください。頼ってください」


ち(風が強く吹いてるビルの上じゃ、先輩の体温は回復しない。少しでも時間を稼いで、暖かいところに瞬間移動しないと……)


芽「フフフ、体温が回復するまで時間稼ぎをするつもりか? 私が作った天候操作衛星により、もうすぐ雪が降り始める。日本中どこに逃げても雪の寒さに凍えることになるぞ?」


万「……次の瞬間移動で、小桜さんを家に帰す。それが終わってから、俺を彫刻でも石像でも好きにすればいい」

芽「やっと諦めたか!! いいだろう、それまで待ってやる」

ち「先輩!! やめてくださいよ。ずっと、ずっとそばで守ってくれるんじゃないですか!!」


芽「ハハハ!! 私の発明は、超能力を超える!!」

万「……あんまり幼女の前で嘘を吐くのは気乗りしなかったんだけどなぁ」

芽「は? 何の話だ?」


葵「バカかお前。私の最推しの愛くんを石にしといて許されるとか思ってんじゃねぇぞ」


ち「葵先輩!?」

芽「なぜ……!! 全員彫刻にしてたはずなのに!!」


ち「あと、幼女じゃないですから」

万「え、このタイミングでもツッコむ?」


葵「不死身舐めんな。石化した状態でも復活できるわよ」


万「嘘つけ。家の前で石化されてるところで、偶然通りがかったシェパードの群れに押し倒されて石がバラバラに崩れただけだろ。おかげで死亡判定になって復活できたんだろ」

葵「ちょっと、後輩の前でかっこつけてるんだから、全部バラさないでよ」

ち「なんで私の先輩たちは全員かっこつけようとするんだろう……」


芽「そんなバカな……。復活したとしても体温が下がった状態で、すぐに死ぬだろう!!」

葵「そうね。多分、20回ぐらい死んだんじゃないかしら」


芽「ハハハ……。20回死んでも無事なんて……。まるでバケモノじゃないか!?」


万「そうだよ。俺たちはバケモノだ。そしてお前は、そのバケモノに喧嘩を売ったんだ」


万「ただじゃ済まさねぇぞ?」


芽「ヒィ!!」

葵「あ、逃げた。追いかけなくていいのか?」

万「まぁ、大丈夫じゃないかな」







芽「ハァハァ!! いったん逃げて、もっとすごい発明品を用意すれば……」

椛「お前が探してる発明品とやらはコレか?」バキバキ


芽「な、なぜおまえがここに!?」

椛「たとえ誰が作った物だろうが、誑しこんで機能をぶっ壊すことぐらい容易いんだよ」

愛「そもそも、石化させてたの、僕の分身だったしね」


檜「未来が見える私にとってみれば、ダミーを用意しておくことも簡単です」

椿「温度を操れば、石を砕くなんて簡単よ」


椛「つまり、お前の発明品は、俺達バケモノ相手には通用しないってわけだ」

愛「二度と僕たちに手を出せないように、ちょっと厳しくお仕置きしておこうかな」


芽「ぎゃあああー--!!!」







ち「先輩、私はそんなに頼れない後輩ですか?」

万「……」

ち「先輩にとって私は、ただの妹で、守るべき対象で、足手まといですか?」

万「……」


万「小桜さんには危ないことをしてほしくない。普通の人のままでいてほしいんだよ」

ち「……いやです。私は、超能力者の妹なんですよ? とっくに普通じゃないです」


万「あー……。まぁ、そうか」


万「でも、妹ではないよ」

ち「え……?」


万「妹じゃ、結婚できないからね。俺だけのお姫様」


ち「……先輩、キザすぎますよ。でも、大好きです!!」

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