表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファンティーゴ!  作者: 悠季 弓仏(ゆうき ひいろ)
第1章 『黎明の大後悔』
3/12

第3悔 『みんなの庭にて』



 地球暦一一六九(1169)年四月三十日――



『対ウィンド戦勝記念日(Victory over Windo)』のその日、皇都ルームの戦勝記念広場では戦勝二十九周年記念式典が執り行われようとしていた。


 例年ならジョアン大皇(たいこう)が祝辞を述べるところだが、今年は皇太子のマルコと共に長期の海外視察中とあって、代わりにエンリケ第二皇子が演説することになっていた。

 ルームの街では、事前に漏れ聴こえて来た演説の内容――「世界をより良くする方法」――が話題になっていた。


「戦勝記念日と何の関係があるんだ?」と、いぶかしがる者がほとんどだったが、政治通や事情通はエンリケ皇子の家庭教師トスカネリを指し「暗愚(あんぐ)な皇子の考えることではあるまい。トスカネリ様の入れ知恵よ」などと噂した。 

 

 午前十時、すでに戦勝記念広場――通称『みんなの庭』――には大勢の人が集まっていた。

 ――が、昨日、少なからずエンリケ皇子の演題に心が躍ったボボンは、相変わらずベッドの中の人だった。

 例によって世話を焼きすぎる親友クリストフが迎えに来たとき、ボボンは言ったものだ。


「えっ!? クリストフ、お前……現地まで演説を聴きに行くつもりだったのか?」


 ボボンのアパルトメントがあるチツーラから『みんなの庭』まで自動馬(スピーダ)に乗れば三十分程度の距離であるにもかかわらず、今の彼にはそれすら億劫であった。

 日が暮れてからの酒場やあるいは翌日のカフェでの噂話を聞けば良いや、と思っていたボボンは、結局クリストフが用意した幌自動馬(スピーダワゴン)に無理やり乗せられ、ぼやきながら『みんなの庭』に向った。


 そんな親友に対しクリストフも応戦した。

「少しはノニー以外のことにも本気になってくれよ。まぁ、今日の演説を聞けば……そのオレンジ色した燃え盛る髪の毛負けしない情熱がたぎって来るハズさ!」  


        

 クリストフとボボンの乗った幌自動馬が戦勝記念広場の入り口に着いたのは、エンリケ皇子の演説が間もなく始まろうかという時だった。

 演説台の設置された半円型の舞台前から、もっとも遠い広場の入り口まで人があふれ返っていた。

 どれくらいの人になるのだろうか? 

 人の熱気で、二〇〇メートル先の演説台が蜃気楼のように歪んで見える。


 ボボンは幌自動馬の上に立ち、広場全体を眺め舌を巻いた。


「すごいな……みんな、今日の“発表”とやらを楽しみにしてるのか? なぁ? クリスト――」


 一足先に下馬していたクリストフの方を振返ると、彼は何者かと話しているところだった。

 さすがは国民的デザイナーで人気者である。皇族関係者にも顔が利くと見えた……。




 第3悔 『みんなの庭にて』 おわり。:*+゜゜+*:.。.*:+☆



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ