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よいこのための、さいゆうき  &  西遊記の現代科学  作者: 何十億人か目の西遊記ファン
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觔斗雲の正体(西遊記第2回から)

「西遊記の現代科学」の続きです。旧自サイト閉鎖に伴ってこちらに移動させる際に、冒頭部を残して新規に書いたものです。


旧自サイトでも宣言したように著作権を放棄します。(原作者を騙らない限り)改変・再使用はご自由にどうぞ。

 お釈迦様の10大弟子の1人である須菩提先生が主任教授を勤める私立「斜月三星洞」単科大学に入って7年後、悟空は大学院進学への口頭試問を見事に合格した。この時に悟空の解いた謎は、脱出ゲームなどで鍛えている謎解きオタクにも分からないだろうほどに困難だ。いや、この時の悟空の謎解きが進化して現代の脱出ゲームや連想ゲームに繋がったのかもしれない。


 研究テーマの方向性を示唆された悟空は、残りの時間は自力で創意工夫を繰り返した。須菩提先生の役割は、成果の中途報告に改善点をコメントすることのみ。こうして不老長寿研鑽の副産物として得たのが七十二変化と觔斗雲である。七十二変化は別の機会に述べるとして、ここでは觔斗雲(宙返り発着式飛行雲)に注目する。悟空が他の仙人と大きく異なるのがこの雲だからだ。

 科学の立場から気になるのは、雲の正体と、その性能だ。というのも悟空が有限質量を持った状態で一飛び10万8千里を実現しているからだ。たとい悟空が仙人化(解脱)に伴って質量を失ったとしても、モノを運んだり果物を食べたりする描写がある以上、觔斗雲が有限質量の物質を運んだのは間違いない。

 しかも10万8千里とは古代中国の一里400m強という数字を使ってすら4万キロ強で、地球を大円軌道で一周して余る距離である。無補給世界一周は現代でも困難(無補給世界初は1986年で、それを単独で行った世界初は2006年)で、その遂行には丸3日かかるうえに、現実の最長距離記録は未だに10万8千里に達していない。所要時間も距離も觔斗雲に及ばないのだ。


 そもそも10万8千里を行くのに何時間もかかっていない。となれば、これが雲に似せた飛行物体だとしたら、超音速でどんなに小さな物体であれ衝撃波の爆音と破壊力で、悟空はともかく悟空の持っているモノは破壊されるだろう。こればかりは技術の発展、すなわちUFOでは説明したがい。

 しかしスプートニク以来、我々はこの問題の答えを知っている。それは大気圏飛行でなく宇宙空間飛行だということだ。水分を含む空気を伴って気圧の低い方向へと飛ぶのだから、飛行機雲と同じ原理で、悟空の回りは凝結して雲となる。これが觔斗雲の正体の可能性が高い。

 

 さて、觔斗雲の正体としては、他にも超低周波波動インフラサウンドに伴う空気の大振幅揺れである可能性も否定できない。これは大気圏と成層圏の合間あたりで振幅が最大となり、世界中に音速で伝わる。そういう大気振動を局所的に作り、かつ十分な浮力を与える形状に展開すれば、あるいは、その伝播に波乗りする形で悟空が移動できる可能性もある。遠距離でな近距離を景色を見ながら移動するのであれば、この方が現実的かも知れない。

 ただし、こちらはあくまで原理が考えられるだけで、実際に可能かどうか、可能だとして爆音を発生させずに済ませられるかなど多くの疑問は残る。それでも可能性を感じさせる分、さすが西遊記は現代科学技術を先取りしていると脱帽せざるを得ない。


written 2020-8-30

2020-09-19 言い回し訂正

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