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投石技術

 長閑な牧場地帯を抜けた先は街道以外に人の手など入っていないように見える大草原。

 フィールド名〝クロウィラ草原〟推奨レベル1以上、初心者御用達の非アクティブモンスターのみがポップする所謂チュートリアルステージである。──そうです。全部アーデルハイトに教えてもらいました。

 説明通りすぐ近くにもモンスターが数匹いる物の、攻撃的ではないそうなので後でいいでしょう。

 今一番大事なのははまるんの食事です。さあ、はまるん、食べれるますか?


「もきゅもきゅもきゅ」

「やったよ姉さん、この草食えるよ!」

「おいやめろ」


 ……いきなり何故か真剣に止められたのですが私何かしましたか?

 まあ、姉さんの事よりもまずは、──はまるんの食べている姿を撮らなければ!

 それから脳内カメラ(比喩にあらず)で只管にはまるんの食事シーンを撮り続けながらこれからのスケジュールを組み立てます。

 とりあえず朝昼は食事の為に此処に訪れた方がいいかもしれません。晩は、この草が採取可能なら採取しておくとしましょう。

 それ以外の間は薬草などを採取しつつ、はまるんと戯れるのはどうでしょう。……戦闘? 興味ないです。


 それはそうと早速この草を採取できるか確かめないと。

 生えている草を握れるだけ握って引っ張り、抜けません。力を込めて、抜けません。……えっと、採取不可能アイテム?

 いえまだです。まだ焦る程やってません。こういう時は手順をしっかり踏みましょう。面倒くさがるよりもちゃんとやる方が良いに決まってます。

 野菜と同じように優しく抜きましょう。土を掘り起こして、根っこがある程度見えるまで掘っていき、……指先が汚れているけど痛みは殆どありません。若干ぬかるんだような感触の中に石も混じっているのに、痛みを気のせい程度しか感じないとはなんとも不思議です。──抜けました。


 〝草〟草原地帯に生えている草。草食系モンスターの飼料になるものの、これを使うくらいなら道具屋でグラスサイレージを購入した方がモンスター的にはありがたい。モンスター空腹度+1


 名もないこの草を抜いて分かった事はただ一つ。……餌、道具屋で買えました。

 ポンと、音を出して飛び出した植物手帳に目の前に草の事を纏めて描いておく。



 名称:草(固有名詞不明)採取可能場所:クロウィラ草原

 草原地帯で採取可能な草食系モンスターの飼料の一種。草食系モンスターの空腹度が1回復する以外に効果は特にない。

 また、引きちぎるように抜こうとしても抜ける気配がない。一定以上のSTRが必要な可能性が高い。

 土を掘り、根をある程度露出させると比較的抜けやすい。ただし、刃物がある場合、そちらを使用した方が比較的早く採取が可能と思われる。あと、はまるん的に食べれるが美味しくないらしい。顔が少しへにょんとしている。



 書き込むと同時に植物手帳の頁が光り、その情報を手帳を視ずとも閲覧可能となりました。……なる程、情報は足と経験で稼げという事ですか。採取方法などが判明しているこの周辺の植物について後で街で調べてみるのも一つの手ですね。尤も姉さんには聞きませんが。この人が戦闘と料理以外の事が出来るとは思えないので。


「よし、はまるん今度からちゃんとお店のご飯食べさせてあげるからね」

「めええぇぇ♪」

「ほのぼのしてるわね、まったく。それはそうと戦闘はどうするの? やるの、やらないのどっち?」


 丁度近くにチワワサイズの鼠がいるのでそれを相手にしてみないと言われて少し考えました。武器となる石は道中でそれなりに拾ってあるので投げるだけで倒せるなら御の字、レベルアップまで頑張ります。

 ですが問題は、一体何発で倒せるのか。そして石の弾数64個に対して一匹当たりの消費量は、命中率はどの程度なのか。──色々考えて、石を取り出しました。難しい事は投げてから考えればいいんです。


「やるよ、後は投げてから考える」

「そう、じゃあ頑張って。私ははまるんを椅子代わりに何これすっごいふわもこしてる」


 そうでしょうそうでしょう、うちのはまるんは凄いんです。

 さて、姉さんがはまるんのふわもこを堪能している間に私もさっさとやっちゃいましょう。

 インベントリから石を取り出し、とりあえず不揃いな石を五個、右手に乗せました。その中から小粒の物を選んで3つ、掌にギリギリ収まる程度の量を手にします。一つを投げて当てれる程、私は投げるのが得意ではないので。

 距離はおよそ1メートル程、未だに何かの根っこを齧っている鼠目掛けてオーバースロー。上から下へと叩きつける様に。

 サイズがチワワサイズな事もあり、それは見事に鼠の身体に当たりました。わりと洒落にならない音が響きましたが、けれどモンスター鼠からすると痛いけど我慢できない物ではないらしく、すぐさまこちらへと怒りの表情で威嚇してきました。なので逆の手に持ってた石をすぐさま利き手に持ち直して今度はサイドスロー。……一発だけ当たり、鼠は消滅しました。


 どうやらこの鼠はかなりHPが低いようです。何せダメージが数値で分かるのですが、最初のダメージが9、その後に6のダメージが出たので15以下であるのは間違いないでしょう。それにしても補正ありで15未満のダメージしか出せない投石技術が色々と酷いんですが。

 まあ、ダメージが与えられるのは間違いないので目を瞑ります。殴るよりは間違いなく高いので。


 とりあえず一体倒したのではまるんを見ます。……どうやらお腹いっぱいで寝ているらしく、まん丸状態で鼻ちょうちんだけ器用に出しています。まるで体育祭の大玉転がしの玉みたい。そしてそのまん丸に呑まれてイビキかいている姉さんはとりあえず現実の方で脛でも蹴るとしましょう。私より先にはまるんベッドで就寝するとは何事ですか。

 此処は憂さ晴らしもかねて鼠達に石を叩きつけるとしよう。

 鼠どもよ(モーセスビー)不安を抱け(アンクシャス)。……ちなみに英語は自信がありません。




【アバター】ドゥムジ【職業】羊飼いLV1(2/15)

【スキル】羊飼い─牧羊犬召喚、薬学、植物知識、羊知識、投石技術、神聖魔法の複合スキル─

【装備】若草色のシャツ、ジーンズ、サンダル、羊飼いのコート

【ファミリア】黄金羊のはまるん【性格】甘えん坊、短気、感情的

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