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アップデートしてください。〜うちのバイト先、なんか変な人しかいないんですけど〜  作者: ハル
なんか、おかしくない?

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第80話「条件」

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「試したことがない方法というのは」とソウが聞いた。


「世界の安定性を、自然に回復させることです」


「自然に?」


「能力の乱用が世界の安定性を下げるなら——逆に、能力の影響をゼロにすれば、安定性は徐々に回復します。自然に回復した世界は、アップデートたちを消す必要がなくなる」


 ソウは少し考えた。


「つまり——能力を使うのをやめれば、世界は戻っていくんですか」


「使うのをやめるだけでは、今まで使ってきた分の副作用が残ります。それだけでは足りない」


「何が必要ですか」


「能力を完全に封印すること」



 



「封印」とソウが繰り返した。


「はい。能力を一時的に使わないのではなく——永久に手放す。それだけの決意が世界に示されれば、蓄積した副作用が回収されていきます」


「それで世界が安定するんですか」


「過去の前例が全部『消えること』で終わっているため、確証はありません。でも——理論的には、そうなるはずです」


「なぜ今まで試さなかったんですか」


 テツジンが少し間を置いた。


「試せるアップデートがいませんでした。封印するためには、能力を本当に手放す意志が必要です。一時的に我慢するのではなく、本当に、二度と使わないと決める意志です。それだけの決意を持てたアップデートを、私は今まで見たことがなかった」


「今回は違うんですか」


「あなたのバイト先のみなさんは——」とテツジンが少し、柔らかい声で言った。「今まで私が見てきたアップデートたちの中で、一番長くそれに向き合っています」



 



 ソウは展示端末の画面を見た。


 画面には機種変更の手順が表示されていた。関係ない。でも、何かを見ていないと頭が止まりそうだった。


「もう一つ聞いていいですか」


「どうぞ」


「封印した後、みんなはどうなりますか」


「この世界の住民として、普通に生きられます。記憶も残ります。能力だけが、なくなります」


「消えないんですね」


「消えません。ただの人として、ここに残ります」


 ソウがそれを聞いて、少しだけ息を吐いた。


「……よかった」


「そう感じますか」


「感じます」


 テツジンが「そうですか」と言って、帽子を少し直した。



 



「全員が封印する必要がありますか」とソウが聞いた。


「全員、です。一人でも残っていたら効果がありません」


「六人全員が、永久に手放す」


「はい」


「それが条件ですね」


「それが条件です」



 



「能力を封印する方法を、教えてもらえますか」


 テツジンが少し考えた。


「その前に——あなたがみんなに伝えて、みんなが自分の意志で選ぶ準備ができてからにしたい」


「なぜですか」


「方法を知った上で迷うと、決意が揺らぎます。迷いを全部終えてから、方法を聞く方がいい」


「では方法は、後で」


「はい。でも——一つだけ、先に言っておきます」


「何ですか」


「能力を封印する方法は——」とテツジンが言った。


「一つしかない」


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