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くらいへやで4 (カテノナ:S)

次話タイトルは『役に立ちたい』

 閉店の準備のため部屋に入り、沙十美の声が聞こえないことに奥戸は気付く。


「最期の挨拶が出来なかったか。結局、言葉の意味は教えてもらえないままでした」


 奥戸は部屋の中央へ向かいながら、そこにはいない相手へと語りかける。


「ですがあなたは私達にとって、とても貴重な存在でしたよ。ずっとあなたが呟き続けた『忘れない、覚えていて』という言葉。少なくとも私はあなたを忘れませんし、覚えていますとも」


 奥戸は沙十美が座っていた椅子の前でしゃがみ込むと、彼女を拘束していた布に付いた水を吸い取るかのようにそっと唇を当てる。

 黒い水で濡れた唇を、自らの舌で舐めるその顔に浮かぶのは恍惚たる表情。


「さて、店の片づけを始めるとしよう」


 布を大切そうに抱えると奥戸は再び扉を開く。

 もはや誰もいなくなった暗い部屋の扉は静かに閉じられていった。


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