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3.このお話の全てが始まった日


「ヤダ!ニワトリに殺されるなんて絶対ヤダァァ!!」



 昴は全力で走っていた。それはもう全力でだ。自身の爆発により歩きやすくなった地面を踏みつけて走る。


 昴が転移した森…現地の民が『暗黒森林』と呼ぶ場所にはそれはもう危険な魔物がはびこっているのだ、もちろんマジキチニワトリことフライコッコも危険な魔物の類に外れない。


 フライコッコの危険度はいわゆるCランクだ。このランクは大人一人が全力で頑張ればなんとか倒せるレベルだ。彼、華永昴の年齢は20歳だ、つまり彼でも全力を出せば勝てる相手である。



「うぅわっ!ほんとしつこいなコイツ!!!」



 大人一人が全力で頑張れば勝てるとはいえ彼はもともと現代日本にいた人間だ、住んでいた世界が違う。つまりはたとえオカルト好きであっても化け物は普通に気味が悪いのだ、しかもそれが襲ってくるとかもはや悪夢である。


 考えてみてほしい、皆頭の中で化け物と闘う自身を想像したことはあるだろうか?おそらく大抵の場合自分の想像できる範囲の化け物を相手として想像している事だろう。では自分が思いもしない化け物に実際出くわしたらどうなるだろうか?きっと皆は何とかなると思うだろう、だがもう一度じっくり考えてみてほしい…普通にキモイと思わないだろうか?



「ニワトリの分際でぇぇぇぇ!!!」



 彼は走り続けた、それこそ爆心地からだいぶ離れるほどには。つまりは…



「ゲッ!富士の樹海かよ!!」



 まっさらになった大地を抜け暗黒森林にまたしても侵入することになる。暗黒森林の名付親である領主はかつてこう言った『木々のせいで真夜中のように暗い!怖い!』と。


 ではなぜ一番初めに彼が飛ばされた時太陽が見えたのか?それはもちろんこの事態を巻き起こした張本人ことクソがわざわざ木々の少ない空き地に飛ばしてくれたからである。



「クッソ!俺は方向音痴じゃないはずだがここまで暗いと流石に迷いそう…」



 暗黒森林に侵入するか否かを真剣に悩んでるうちに彼の背後から例のマジキチニワトリが飛来する。このままマジキチニワトリに突っつかれでもすれば彼はちょっと怪我してしまうだろう。そう、ちょっと怪我する程度だ、そこまで一撃で致命傷を与えられるほどマジキチニワトリのくちばしは鋭利ではない…が。



「うわ来た来たキタぁぁ!!絶対アイツ翼でズッパリ切ってきたりするタイプのヤツじゃん!!」



 実際必死に化け物から逃げているとそこまで冷静な判断はできないものである。



「なにか手は…ってそうじゃねえぇか!クソがっ…眷属生成とかなんとか言ってたじゃねぇか!!」



 ついさっきまで何となく覚えていた彼だったが、今の今までニワトリのせいですっぽり忘れていたのだ、非常に大切なことを。この物語の中心となる権限の事を。



「もう何でもいいからなんかすごいSSR的なヤツ来いやあああああああァァァァ!!!!」


GIIIIIIIIIGEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!


 彼が叫んだ瞬間。暗黒森林に本日二回目の閃光が迸り。


 マジキチニワトリは一瞬にして消滅する。



「無限にある可能性の中から」


 

 …そして黄金の輝きの中から、"彼"は現れた。



「私を選んで頂き…感謝致します」



 華永昴はこの日の事はきっと何年経っても忘れはしないだろう。


 このお話の全てが始まった日。


 誰かの全てが終わる日。


 そして…なによりも、コイツを一番初めに生成してしまった事を。




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