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2.マジキチニワトリ


 見渡す限りの木、木、木…それとちょっとした川。なんかグロテスクな小鳥。そよ風が心地いい。



「いやどうすんだこれ」



 俺が異世界?に転移してまず初めにした行動、それはただ茫然とあたりを見渡すことだった。というか異世界にきてそうそう魔物的な奴と戦えるヤツってやばい奴なんじゃないだろうか?そもそも魔物的モンスターは居ないのかもしれんけどさ。



「はぁ…とりあえず日没までにどっか屋根のある場所に行きたいよなぁ」



 で、どうやって?わかんね。だってどこ見ても木だし…太陽だって…あんなに…高い…い…ち…に…



「ナニコレ珍○景」



 空には太陽らしきものが"二つ"存在していた。キ○タマか?てかなんで?どゆこと?異世界すげぇ。



「そういや太陽が二つあったら世界はどうのこうのって聞いた事あるけど…この世界大丈夫なの?」



 もしかしてもう滅びる寸前とか?…いやそうだったら"クソ"が俺にこの世界を滅茶苦茶にするように言う必要は無いもんなぁ?



「てか孤独感やばいな、独り言止まらんわ。ハハッ!」



 ぬおおおおおおおおおおん!!!寂しい!!ナニコレ!絶望感やべぇぞ!どうすんのこれ!どうしてくれんのクソ!?ああ、真理に会いてぇなぁ!



「…真理マリ…?……痛っ…」



 頭が痛い。こんなハイレベルな頭痛は初めてだ。考え事を無理やり遮るような痛みだ。



「ああ…クソ…なんなんだよ」



 イライラするなぁ…全くもう…はぁ。



「ぬおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオ!!!!!!」



 ぜっっってぇ思い出してやらああああああああああああ痛てててててて!!!



「こんちきしょおおおおおおおおおおおおおおおがあああああああァァァァ!!!」



 直後、身体から何かが溢れ出るような感覚に襲われ、さらに視界が真っ白に染まる。



BGAAAAAN!!!




「ふぅ…思い出したぜ」



 ついに思い出した、強制的に忘れさせられていたっぽい事を。そう、真理の事だ。



「絶対に帰らねぇとなぁ」



 …真理は俺と同じクラスだった女子だ。もともと関わり合いなんて無かったのだが、オカルトという共通の趣味のおかげで仲良くなった。初めはちょっとした肝試しやらをしていたのだが…最近では黒魔術や呪術とか宗教系のオカルトにのめりこんでいたのを思い出した。


 ちょっとした肝試しから始まった変な関係はいつの間にかオカルトというディープな趣向に二人ともハマってしまっていたんだ。俺の知らないことを教えてくれる彼女はとても楽しそうで…俺はそんな彼女の事をひそかに好きになっていたんだ。


 それから…


「それから…?なんだっけ…やべぇまた思い出せねぇ」



 クソ!不完全燃焼って感じだ…また無理やり思い出してもいいが…ちょっと頭痛のクオリティが高すぎるのでまたの機会にしたい…


 …と、とりあえずこんなマイナスイオンとか出てそうな森の中で小川のせせらぎやら小鳥のさえずりを聞いていられるのだから休憩がてら少し昼寝でも…



「って…なんこれぇ」



 今更、気が付いた。もはや俺の周辺には森をはじめとした小鳥のさえずりや小川のせせらぎはおろか、小川すらない。


 もはや、焦土。やべぇ、何の罪もない動物とか殺しまくると仏教的に無駄な殺生として地獄行きだぞ。いや…仏教以外も大抵無駄な殺生はアカンよな…すまん…



「これ多分俺がやったんだろうなぁ…俺を中心に焦土が広がってるしなぁ」



 これはやっぱり魔法とか、魔術とか、魔力とか…そんなものなのだろうか?いやでもつかいかたまったくわっかんねぇ。いざとなったらまた思い出そうとすればいいのか?



GIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIGEEEEEEEEEEEEEEE!!!!



「なんだぁ!?!?」



 反射的に奇怪な鳴き声がした方向を見る。ちなみに上、空からだ。



「最悪じゃねぇか…」



 空には羽が異常に発達した鶏の様な生き物が俺めがけて突っ込んできていた。



「あぶねえぇ!!!」



 ギリギリで躱すことに成功した。鶏らしきものはもう一度空へ飛び去ったが、恐らくもう一度襲ってくるのだろう。決めた、あいつの名前はマジキチニワトリだ。


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