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14.金など純粋たる暴力の前では意味を成さない


評価・ブクマありがとうございます。

大変嬉しく思います。



「ふぉおおおオオオオオオ!!!…ふぅ、朝か」


「おはようございます、創造主様」


「おはようございます」



 昴はエルフがケーキになる悪夢からようやく目覚め、心地よい朝日を浴びて伸びをする。そして辺りを見回すと自身のベッドの左右に傅く二人の眷属を見る。



「まさか本当に寝て無いのか?」


「はい。それと創造主様、一つ重要な報告がございます」


「創造主様がお休みになられている間に襲撃がございました」


「はあ!?まじかよ…お前らが居て本当に良かったよ…」



 一通り驚くと昴は何事もなかったかのように洗面所へと向かった。眷属達からすれば実害こそなかったものの、自分が襲撃されたと知っておきながら大きく取り乱すわけでもなくあまり変わった様子を見せない自らの主人に驚きを隠せずにいた。



「その、創造主様。恥ずかしながら私達ですら文字通り指一本触れる事が出来ないような強敵でした…本日は外出は控えられた方がよろしいかと…」


「でもこっちにも指一本触れさせてないんだろ?」



 昴は顔を洗いながら話す。そして呑気に洗顔をしている昴のすぐ隣で内心ドキドキしながら必死に4人目の危険性を説明する眷属。



「それは…はい。創造主様には指一本触れさせませんでしたが…」


「ならいいんじゃないか?まぁ…お前たちが何といおうと俺はやるべきことをやるよ」


「しかし…!創造主様の身に何かあれば…!!」



 セカンドは創造主様の危険意識の違いに若干焦っていた。自分たちがどれだけ必死に守ろうとも自ら死地に向かわれるのであればいつかあってはならない事が起こってしまうかもしれないのだ、それはもう自分が消えてなくなるなんて事よりよっぽど恐ろしい事なのだから。



「ふぅ…サッパリだ!さて…ファースト、冒険者の件どうするか決めたか?」


「…はい」



 昴は眷属達の忠告を無視して話を進める。そしてこのままでは危ういと思ったセカンドは覚悟を決めて声を荒げる。



「創造主様!!!」


「なんだよセカンド」



 セカンドは若干驚く、てっきり怒られると思っていたからだ。だが昴は嫌な顔一つせずにいつも通りの顔と声音でセカンドに振り向いた。



「ッ…!創造主様。本当に奴は危険なのです…!せめて本日だけでも様子を見て…


「駄目。いいんだよ、今更こんな事で怖がって居られないだろ」



 セカンドは納得がいかなかった。だがしかたないと言えば仕方無いのである。華永昴という男は元の世界でも本当に様々な恐怖体験をしてきた、それだけが原因ではないがそういった経験が彼の恐怖心を鈍らせていたのだから。地縛霊と本気でチェイスした事もあればお化け退治したこともある…といっても術的な悪霊退散ではなく原因を探すという方法でだが。



「セカンド、私達の役目は創造主様を危険から守り抜き、その歩みの障害を消し去る事です…私たちが障害になってはいけませんよ」


「…しかし…もしもの事があれば…!」


「もしもは、ありません」



 セカンドはファーストの言葉に強い意志を感じた。そして理解する、創造主を危険な目に合わせたくないという気持ちが自分の意思なのだと。一つの答えを得た気がした。



「…わかりました。申し訳ございません、我儘を言ってしまいました」


「気にすんなよ。…そう思うのは仕方ないさ」



 昴は人間だから、とか生きているんだから仕方ないといういい方はしなかった。眷属達は分かっていなかったが、そういう言い回しをしたのには昴なりの考えがあっての事だった。



「それじゃ、ギルドに行ってQ!だな」


「はい(行ってQ…?)」



 口にはしない眷属達であった。



/////////////////////////////////////



「え!?本当になってくれるのですか!?!?」


「はい。もっと世界を知るべきだと思いまして」



 ファースト4人目との戦闘を経験してまだまだ知らないことが多いと思い知った。だからこそ冒険者になる事を承諾した。全ては創造主である昴の為だ。



「へぇーいいんじゃね」


「あ!も、もしよければセカンドさん?もどうですか!?冒険者!!!」


「断る」


「あ、はい…」



 セカンドはきっぱり断る。理由は勿論昴の傍を離れるイコール心配だからである。



「でも、お金とかいっぱい稼げてそちらの神様が楽をできたり…」


「金など純粋たる暴力の前では意味を成さない」


「こっわ…」



 セカンドの考えは実際的を得ていたりする。結局は金でどれだけの兵隊や兵器をそろえようともたった一人でそれらを叩き潰せればそれらの者達は従うか死ぬしか無いのだ。しかし現代においては極めて恐ろしい考えである。



「ゴホン…それで私はこれからどうすれば良いのですか?」


「ああ!すいませんファーストさん!まずは実力を測らせて頂きたいと思います…へへへ」



 少しづつ媚びへつらう態度が板についてきたアルマイクであった。



「わかりました。では」


「いいいいいやいや!私とじゃないです!!ちゃんと試験官の方をお呼びしていますのでええ!!」



 ファーストは生成したての直剣を消滅させてため息をつく。



「はぁ…なんでもよいので早くしてください。このお方を1秒待たせるごとに貴女の命が短くなっていくと心得てください」


「はいいいい!!こちらです、こちらへどうぞ!!!」



 走るアルマイクについていく昴一行。その中で昴だけはアルマイクに同情していた。


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