1.転移系はまぁ嫌いじゃないけどホントにやるのはNGで
新シリーズ投稿になります。
以前のものとは違い軽めのノリで展開していきますので気軽にお読み下さい。
「いっっってぇ!!!!」
ゴン、という何かがぶつかるような鈍い音が鳴る。いや…わかってる、この音の発生源は俺だ。絶対俺だ、だって頭痛いし。
「もう…なんだよいてぇなぁ…ふざけんなよ…もう…」
多分ベッドから転げ落ちたんだろう。クソ程眠たいのでもう一度眠りにつくために目を開く。
「…」
目を開いて視界に入ったのは見慣れた天井でも昔親父に買ってもらった足の長いベッドでも硬い床でもない。ただ、広がる青い空だ。
「は…?キレそう!」
なんだこの状況は。
夢かな?…いやこんな鮮明な夢ある?タチが悪過ぎるだろうが…あ!悪夢か!なるほどなるほど…イライラするぜ!!
「やぁ。おはよう」
背後から話しかけられた。こんなタチの悪い悪夢の中でイライラしてる時に誰だよもう。いや、うん現実逃避は止めよう、多分俺の知るところではない異常事態なんだろ。
というか声を掛けられていたんだった、返事をしてみよう。…なんか夢かも知れないのに話すのってすっげぇ徒労…
「やぁ。おはよう?」
空は明るいから多分おはような時間帯か、こんにちはな時間帯なんだろ。というかホントなんなんだこの状況は!
「私には名前が無いんだけど…まぁ取りえずクソとか適当に呼んでくれていいよ」
「えぇ…よ、よろしく…クソ…さん?」
声がした方を見ると空中に立っている顔の無い人間?らしきものが居た。きもちわりぃなコイツ。というかクソでいいのかぁ…?器が広いとかそういうレベルの問題なのか…これ。
「うん、それでいいよ。実際私はこれから君にクソみたいな役割を押し付けるからね」
「やだなぁそんなクソ押し付けないでくださいよぉ~…アハハ…」
わ、笑えねぇ…なんだよクソみたいな役割って…こんな異常事態を起こすヤツがいうクソな事って…それ相当クソだろ。
「私はもうすぐ消滅するんだけど…君には異世界に行って私の代わりにやってほしい事があるんだ」
「異世界ィ?っていうと異世界転移するってことなんですかぁ?」
異世界て…正気かこいつ…いやまぁ本人は本気なんだろうが…
「うん。異世界にいって私の代わりにその世界を滅茶苦茶にして欲しいんだ」
「…な、るほど」
目、鼻、口がないにも関わらず、そののっぺりとした顔面には強い憎しみのような表情が見える。一体どれほどイライラしてたらそんな顔面になるんだ?
「どう滅茶苦茶にするかは君に任せるよ…私にはもう時間がないんだ」
「ちょ、ちょっまってくれ…わからないことが多すぎる!」
のっぺらクソやろうの言葉は本当だったようで早速彼?彼女?の輪郭はうっすらと消え始めている。
「この権限を譲渡…るよ…眷属…の生成と…
「き、消えた」
ヤツ…いやクソは最後までその言葉を言い終えることなく消え去ってしまった…
…
……
………
「いやいやいや、うっそだろ?…ま、まぁ夢かも知れないし…そもそも異世界転移とか面白そうとか思ってるし…」
頼む、マジで夢であってくれ。
〇×□△●✖■▲〇×□△●✖■▲〇×□△●✖■▲
小鳥のさえずり…小川のせせらぎ…心地よい風…
うん…いい朝だなぁ~。
「転移系はまぁ嫌いじゃないけどホントにやるのはNGで」
気が付くと俺は森の中にいた。