虐待
幼女?
と、いわれてもしかたない程度の身長だけれども、
私はれっきとした大人で、
なおかつ、
男だ。
私は10歳の時に受けた虐待以降、
驚くべきことに身体の成長が完全に停止した。
幼少期から、
お嬢ちゃん、と呼びかけられるのが当たり前だったが、
それは就学しても変わりなく、
それは当然のように変わり者を惹き寄せたばかりでなく、
通常の変わり者を転向させさえした。
私の両親、
そして良心的な教師たちは私を保護するために努力をしてくれたが、
それはあの日、
全て徒労に終わった。
二十二歳の小柄な教育実習の女子大生は、
突然、
私を学校のカビ臭い物置に監禁した。
そして、
彼女は私の体に数カ所の歯型もつけた。
数日後、
彼女の自慢話をきいた他の実習生が、
私を監禁した。
彼女たちは私の脇腹に残っていた歯型をみて、
笑い合い、
自分たちの歯型を数個ずつ残していった。
それは彼女たちが大学に帰ったあとも続き、
発覚したのは、
季節が変わった後、
大学の警備員が図書館で私を発見したからだ。
その後、
裁判にもなったが、
たとえ少年であっても、
男性が優位に進む裁判は稀だ。
ことは曖昧になっていくはずだったが、
私の体がそれを許さなかった。
今度は女子大生ではなく、
精神科医や心理学者が俄然、
私に興味を注ぎ、
結果として女子大生たちも違った意味で記録に残ることになった。
様々な検査やテストを繰り返す内に、
私は彼女たちの素性や性格を逆によく認知した。
そして、
それを無駄にしなかった。
10年経た時、
私は私を研究対象にする人々の交流を通して、
自らも豊富な経験をもった心理戦技術を会得していた。
それらを活用して、
私に歯型をつけた女性たちを地獄に堕としてやった。
堕としてやった結果、
私の心は本当に病んでしまったらしい。
虚脱状態で惚ける私を両親は入院させた。
それは無期限だと思われていたが、
ある日、
老人が訪ねてきた。
彼は「BG」と名乗り、
私へ提案した。
「自殺しませんか」
だというじゃないか。
そして、
私は冷たい機械の中に入れられて、
どんどん冷たくなって、
気がついたら、
あの日、
貞操を失った瞬間にいた。




