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寝ているだけで代理人が世界征服してしまった話  作者: ルリア
第2章 ペイガン科動物圖鑑編
47/195

人生、わずか五十年 満で数えりゃ 四十九年

16世紀、

人間の数は2億人

ペイガンの個数は3億個。


17世紀、

人間の数は2億人。

ペイガンの個数は4億個。


18世紀、

人間の数は2億人。

ペイガンの個数は6億個。


19世紀、

人間の数は2億人。

ペイガンの個数は10億個。


20世紀中期、

人間の数は2億人。

ペイガンの個数は25億個。


20世紀末期、

人間の数は2億人。

ペイガンの個数は58億個。


21世紀中期、

人間の数は2億人。

ペイガンの数は93億個。


現在、

人間の数は2億人。

ペイガンの数は98億個。


「ほんとに、

ふえてませんね」

と、節子がいった。


「70歳では、いまだ寿命が残っている。

80歳になると、老人になる。

90歳になると、老いが進む」


呟きながら、

これは満年齢か数えなのか、

思いながら、

節子の顔をみる。


「日本の少子高齢化ですか?」


「紀元前一千年紀の記録文なんだよね」


僕は節子が入れてくれた梅緑茶を手にとった。


「人間の寿命って、

安定して長いんだよ。

それこそ、

18世紀の日本の地方では、

90歳超えた国民の生活は公的に保証されていたりするしね」


一口、飲む。

梅味がさっき食べたお寿司によくあう。


「それに対してペイガンの平均寿命の短さと、

その多産さにはビックリするよ」


ペイガンは困難な状況にあっても、

よく子供を産むけれど、

幼体の死亡率が非常に高い。

成体後は人間との違いはそれ程ではないけれども、

病気や環境の変化にはとても弱い。


「多産は霊子不在の代替特性なのかな?」


「さあ、どうでしょう。でも、ここ五十年間はそれほど増えてませんね」


「それは、レムたちが霊子ネットワークに接続したからだと思うんだけど」


「霊子を受け取れるようになって、

欲求不満が解消された、

ということですか?」


「なら、平和なんだけどね」


僕はBGさんやレムからの情報を思い出して、

内心、

暗澹たる気分だった。


まぁ、

ペイガンらしいやり方だとは思うけどれ、

正直、

想像すると気持ちが悪くなる。


この手の話がいやで人工的に妊娠させてつくる牛乳や、

(都市伝説かもしれないけれど)廃棄されるオスのひよこが原材料の一つだっていう、

某ふりかけが食べれなくなったのを思い出した。


「そういえば」

と、僕は節子に訊いた。


「子羊、ダメだったよね」


「癖がちょっと」

と節子は言ったが。

彼女の奥底に眠っている「流瑠」ならば、

生贄に仔羊ばっかりでアレルギーになったのよ、

と笑ったに違いない。


流瑠、永遠の命をもつ始まりのペイガン。

普段は節子の奥底で眠っている。


流瑠は14人の娘を産み、

半分の娘は最初に男を、

残りの娘は最初に女を生んだ。


それがペイガンの初めの家族だ。


僕が梅緑茶を飲み干した時、

玄関の呼び鈴が鳴った。


BGさんが直接、

僕の「想像すると気持ち悪い件」について話しに来たようだ。



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