表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
寝ているだけで代理人が世界征服してしまった話  作者: ルリア
第1章 人間編
29/195

鶏肉のマレンゴ風(ザリガニ抜き)

メドック産の赤ワインを飲みながら、

眼前に開いた巨大な穴をみつめている。


超大型貫通弾ですとレムが説明してくれた。


...ペイガンはペイガンということか、と僕は思った。


アカーシャの中心にある神殿で結婚式が始まったと同時に、地球上の全て地域で真実が伝えられ、世界はそれに対して強烈な拒絶反応を示した。


最初の一発目は、予定通りに受け止めた。

被害はアカーシャの天井部分に大きな穴があいただけだ。

折角、レムが僕のために用意してくれた景色が少しだけダメになった。


エル字型の黄色いソファーに腰掛けながら、

グラスを口に運ぼうとすると、

「ダメですよ、子供なんですから」

と白いドレスの節子が笑う。


霊子を使って分解できるから、

前よりもアルコールなどには強くなっているけれども、

僕はグラスをローテーブルにおいて周囲を見渡した。


菜の花畑に黒い穴が空いている。


空は断続的に、真っ白に光る。


レムは伝えてくる。


   まるで花火大会ですよ。

   世界中の核弾頭が殺到しています。


   その割には、

   彩にかけてるね。


   調整いたしますか?

   12色くらいでしたら可能ですが。


   やめとく...。それよりも、お腹がすいた。


   かしこまりました。少々、お待ちを。


直後、

向こうから特徴的なアスプレイのカクテルワゴンに何かが乗ってくる。

この辺、さすがに僕の代理人ソフト。僕以上に僕のことを理解し、行動するのは僕より早い。


ワゴンのデザインに合わせたのか、

1920年代風、

要するに戦後風のくびれのないワンピースを着た若い女性が押してくる。


「えーと、なんていわたんでしたっけ」


「老鶏のマレンゴ風だよ」


「えぇ、そのとおり」


「らしいね、もう戦後だから、ゆっくり食事を、という配慮らしい」


「どういう意味ですか?」


「まぁ、意味のない蘊蓄だから、次にレムにあったら訊いてみて。きっと、喜ぶと思うよ」


節子は二人で鶏肉を取りわて、

ローテーブルにおいた。


トマトの赤が動脈から出た血液のようだ。

僕はフォークで鶏肉を刺して訊く。


「君、ノーラだよね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ