結婚式エレジー
地味な七五三のような格好した僕は、
護衛の男たちと一緒に、
というよりも、
どうみても連行されながら、
進んでいった。
リーダー格の人物が、
身振りで、
ここから先はお独りで、
と促すので、
僕は前へと進む。
そこはレムと共有している情報からすると、
高さが800メートル、一辺が8キロの正方形の広場だ。
そして100メートル近い高さの階段を登ると、
平らな場所に出る。
やはり百メートル向こうには、
左右に巨大な柱が延々と並んでいる。
僕は進む。
人が大勢いる。
隙間なく立っている。
僕はかまわず進む。
人混みは僕の前だけ整然と開く。
音は全くしない。
空気も動く気配がない。
僕は前へ、
前へと延々と進み、
人混みも延々と割れていく。
そして、
どれくらい経ったか、
また、階段が現れる。
百数十年前から繰り返して夢の中でしてきたように、
僕は階段を登りきり、
ふり返る。
見通せない果てまでの人。
顔を前に向ける。
ざぁっ!!!
と音が響く。
全ての人が跪く音だ。
この様子は、
強制的に世界中に流されている。
そして、
これまで霊子やレム、レムリアについて差し障りない情報しかしらされていなかった人類、
いや、
今日からは地上人と呼びれることになる物たちへの通告がされている。
このアカーシャの2億人だけが人類として残り、
残りの約98億人が「人」から「物」へと変化する儀式。
それこそが僕の結婚式の歴史的意味だ。
そして、
ここからがクラマックスだ。
僕の眼前で天井が崩れ落ちる。
あまりにことに一瞬、
したであろう大音響さえ認識できないくらいの規模で崩壊する空間の下、
逃げまどう無数の群衆。
僕はふり向き、
後ろに控えていた節子に訊く。
白いドレスを着ている。
「僕を酷いと思う?」
「いえ。私もあなたと一緒になれるなら、大地震がおきて、二人だけの世界になったらいいのに、と何度も言ったでしょ」
「そうだったね」
僕たちの頭の中にレムの声が響く。
「ペイガンたちの攻撃です」
「ノーラだね」
「あなた、行きましょう」
僕の手をひく節子の口元は笑っているから、
僕はとても気が楽になった。
こうして、
戦いが始まった。




