純潔の難き者には、純潔を棄てしめよ
「そのまま、ください」
節子の艶やかな囁く。
後ろ向き突き出された白い双丘が、
さきほどまで頬張っていたものをその奥へと飲み込んでく。
結局、
僕たちは部屋まで我慢できず、
金閣寺から少し下がったところにある多用途トイレに入り込んだ。
人目にからは子供に用を足させている母親にしかみえなかっただろう。
中はひんやりとしていた。
彼女は僕のスボンを下げてから、
「脇腹の傷」
といった。
僕の左脇腹には、
小学生の時に噛まれたあとが消えずに残っていた。
「なくなってる」
「うん、噛まれる前まで、若返っちゃったから、消えたみたい」
節子は僕の恥ずかしい場所をつつきながら、
「初めて、ということになりますか?」
と訊いてくる。
「うーん、こういう場合、どうなんだろう」
「初めてってことにして下さい」
何か、嬉しそうだ。
噛まれた傷跡は、僕が小学校の時に、初めの女性につけられた。
節子には、昔話としてしたけれど、気にしていたのかな?
気がつけば、
前の時よりもはやくに初めてを経験するわけだが、
さすがに九歳ははやいかなと思いつつ、
なぜか、僕の下半身に顔をつけている彼女をみながら、
そういえば節子の好きな作家、
三島由紀夫の小文を思い出していた。
確か、
歌舞伎役者が初体験をきかれて、
私なんか晩生でと、
散々恥じ入ったあとで、
「いや、十三の」
とある。
そういえば、
僕の好きな久世光彦も似たようなことを書いていた。
そんなのを思い出して気を逸らしていないと、
すぐに終わってしまいそうで、
僕の気配を察した彼女は、
後ろ向きになって裾をめくりあげる。
僕らは百年ぶりに一つになった。




