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38 話 Kingdom of Astraldia Ⅲ

――王城・中央会議室前。


重厚な扉の前へ、一行は辿り着いていた。


赤い絨毯。


白銀の柱。


静まり返った廊下には、近衛兵たちが控えている。


ミレーユが、静かに振り返った。


「こちらです」


そして――。


コンコン。


扉をノックする。


「レオニス陛下、皆様をお連れしました」


中から、低い声が返ってくる。


『入りたまえ』


ミレーユが扉を開いた。


――中央会議室。


そこは、先ほどの大広間とは違う。


より実務的で、国家中枢の空気を感じさせる空間だった。


巨大な円卓。


壁には世界地図。


各地の地形や魔力流動を示す魔導投影装置。


そして――。


円卓中央には、十人分の席が用意されていた。


レオニス王が、静かに手を向ける。


「座ってくれ」


総司たちは顔を見合わせる。


そして――。


それぞれ席へ着いた。


向かい側には、


レオニス王。


宰相ヴァルディス。


魔導師長エルグラン。


大神官ミレーユ。


魔導学院長クロード。


そして――。


腕を組んだまま黙って座るガルディアス。


空気は重い。


だが先ほどまでの敵意は、多少薄れていた。


やがて。


レオニス王が、ゆっくりと口を開く。


「……先ほどまでの待遇」


静かな声。


「こちらが強制的に其方らを呼び出しておきながら」


一拍。


「誠に申し訳なかった」


王は、静かに頭を下げた。


「改めて謝罪しよう」


誰も口を挟まない。


レオニス王は、そのまま続ける。


「そして改めてになるが」


真っ直ぐ総司たちを見る。


「私は、レオニス・アストラルディア」


「このアストラルディア王国の国王だ」


一拍。


「……この国」


さらに。


「いや、この世界の存続のため」


静かな声。


だが、その重みは大きかった。


「其方らの力を貸していただけないだろうか」


沈黙。


その言葉を受け。


セレナが、ゆっくり立ち上がった。


金髪が揺れる。


その姿勢は自然と真っ直ぐだった。


「レオニス国王」


静かな声。


「お言葉、ありがとうございます」


一拍。


「私はセレナ・マクリアス」


「異世界日本国所属、特殊部隊――通称AX班の者です」


「現在はリーダー的な立場を務めています」


そのまま、真っ直ぐ王を見る。


「かしこまりました」


「次元イーターに対して、こちらも出来る限りのことはさせていただきます」


その言葉に。


レオニス王が静かに頷いた。


セレナは続ける。


「そして、協議へ入る前に」


「改めて自己紹介を」


その視線が、総司へ向いた。


総司は静かに立ち上がる。


浅く息を吐き。


落ち着いた声で口を開いた。


「日本国」


「元・新選組一番隊隊長――沖田総司です」


その名に。


ガルディアスが、わずかに目を細める。


続いて――。


晋作が立ち上がる。


「高杉晋作」


ニヤッと笑う。


「日本国、長州の人間だ」


一拍。


「奇兵隊総督――まぁ、簡単に言やぁ軍を率いてた側だな」


騎士たちがざわつく。


「総督……!」


「軍を率いる立場の者か……!」


晋作は肩をすくめる。


「今はAX班ってことでいい」


その軽さに、クロードが少し面食らった顔をする。


だが――。


ガルディアスだけは、晋作を見る目を少し変えていた。


先ほどの戦い。


剣だけではなく、銃まで使いこなした男。


その上、“軍を率いていた”。


単なる戦士ではない。


そう理解し始めていた。


次に。


晴明が静かに立ち上がった。


「安倍晴明です」


「陰陽師として、AX班へ協力しています」


エルグランの目が、さらに鋭くなる。


「陰陽師……」


未知の術体系。


その存在自体が、彼にとって興味の対象だった。


続いて。


美雪が、少し緊張しながら立ち上がる。


「雪城美雪です」


「AX班所属です」


小さく頭を下げる。


その背後に感じる冷気へ、騎士たちが思わず身構えた。


茜も続く。


「弓月茜です!」


「AX班所属で、主に後方支援とか弓を担当してます!」


元気よく頭を下げる。


ミレーユが、少し柔らかく微笑んだ。


次に。


千代女が静かに立ち上がる。


「望月千代女」


柔らかく微笑む。


「AX班所属です」


一拍。


「忍――あなたたちの言葉で言えば、諜報を兼ねたアサシン、といったところかしら」


その瞬間。


王国側がざわついた。


「アサシン……!?」


「諜報員だと……!?」


ガルディアスが、わずかに目を細める。


先ほど、完全に背後を取られた感覚を思い出していた。


千代女は、くすっと小さく笑う。


「安心して」


「今は味方だから」


続いて。


鷹宮も立ち上がった。


「鷹宮 恒一」


落ち着いた声。


「日本国自衛隊所属」


「現在はAX班へ同行しています」


簡潔。


だが、その佇まいには軍人特有の鋭さがあった。


そして――。


ジャンヌが立ち上がる。


銀髪に近いブロンドヘアが、静かに揺れた。


「ジャンヌ・ダルクです」


「フランス国所属――特殊部隊“オルレアン部隊”の隊長を務めています」


その言葉に。


王国側が少しざわつく。


“異世界国家”。


その概念が、まだ完全には飲み込めていない。


ラファエルも続けた。


「ラファエル・ルグラン」


「同じく、フランス国オルレアン部隊所属だ」


腕を組みながら、静かに頭を下げる。


これで十人。


異世界より現れた戦士たちの紹介が終わった。


会議室へ、静かな空気が流れる。


レオニス王は、その全員を見渡し――。


小さく、息を吐いた。


「改めて思う」


静かな声。


「実に、異質な面々だな」


その言葉に。


セレナが、ふっと笑う。


「よく言われるわ」


その言葉に。


セレナが、ふっと口元を緩めた。


「――でも」


円卓へ軽く肘を置く。


「こっちだけ名乗るのも不公平よね?」


そのまま、王たちを見る。


「あなたたちのことも紹介してもらえるかしら?」


静かな声だった。


だが、自然だった。


“共に戦う”のであれば。


互いを知る必要がある。


その意図を、レオニス王も理解したのだろう。


王は、静かに頷いた。


「……当然だな」


そして。


周囲へ視線を向ける。


「各々、名乗れ」


その言葉に。


まず、王の隣に座っていた男が立ち上がった。


整えられた銀髪。


鋭い目。


理知的な空気を纏っている。


「宰相ヴァルディス・ローエン」


落ち着いた声。


「主に内政、外交、国家戦略を担当している」


簡潔。


だが、隙のない男だった。


続いて。


エルグランが杖を手に立ち上がる。


「エルグラン・メルセディウス」


長い白髪を揺らす。


「王国最高魔導師、並びに魔導師長を務めておる」


その目が、興味深そうに晴明たちを見る。


「其方らの術体系には、非常に興味がある」


晴明が静かに目を細めた。


次に。


ミレーユが静かに立ち上がる。


「ミレーユ・ファルナです」


柔らかな微笑み。


「大神官として、教会および結界管理を担当しています」


美雪と茜が、少し安心したように小さく会釈を返した。


その隣。


眼鏡を押し上げながら、クロードが立ち上がる。


「クロード・アルヴェイン」


知的な雰囲気を纏う男。


「王立魔導学院学院長だ」


一拍。


「……正直、君たちの存在は研究者として非常に興味深い」


「研究対象を見る目になってるわよ?」


セレナが即座にツッコむ。


クロードが少し咳払いした。


「し、失礼」


小さく空気が和らぐ。


そして――。


最後に。


ガルディアスが、ゆっくり立ち上がった。


重厚な鎧が鳴る。


その目は、まだ鋭い。


「ガルディアス・レーヴェ」


低い声。


「アストラルディア王国騎士団総長だ」


短い。


だが、それだけで十分だった。


ガルディアスは、総司たちを見据える。


「……先ほどは失礼した」


不器用な謝罪だった。


完全には認めていない。


それでも。


先ほどよりは、確実に態度が変わっている。


総司が、ふっと小さく笑った。


「こっちも売り言葉だったし」


「お互い様でいいんじゃない?」


ガルディアスは少しだけ眉をひそめ――。


やがて、小さく鼻を鳴らした。


それを見て。


晋作が小声で呟く。


「だいぶ丸くなったな、騎士団長さん」


「晋作さん」


茜が肘でつつく。


「聞こえるって」


「聞こえるように言ってる」


「やめなさいよ……」


セレナが呆れる。


その空気に。


会議室の緊張が、ほんの少しだけ和らいでいった。


その空気の中――。


「そして、もう一人紹介するわ」


セレナが、ふっと笑いながら言った。


全員の視線が向く。


セレナはSDブレスレットへ触れる。


「AX班のトップ」


「松平よ」


ピッ――。


SDが起動する。


次の瞬間。


空中へ青白い光が投影された。


ホログラム。


そこへ映し出されたのは――。


静かな威圧感を放つ、一人の男。


「日本国自衛隊将補――松平勇だ」


低く落ち着いた声。


異世界の会議室へ、日本側最高責任者が姿を現した。


王国側がざわつく。


「映像投影だと……!?」


「異世界と通信しているのか!?」


「そんなことまで可能なのか……!?」


松平は動じない。


「ここからは通信という形になるが」


一拍。


「私も協議へ参加させてもらってよろしいかな、レオニス陛下」


レオニス王は、一瞬驚いたように松平を見る。


だが――。


すぐに頷いた。


「もちろんだとも」


静かな声。


「この異常事態へ対抗できる知恵や術は」


「其方らが、我々より多く持っている」


その言葉に。


松平も静かに頷き返した。


「私も、そこにいるメンバーからの報告程度でしか状況を把握できていない」


一拍。


「だが、状況分析と対抗策を練ることはこちらでも可能だ」


「少しでも助力になればと思っている」


レオニス王が、深く頷く。


「感謝する、松平将補」


その時。


ヴァルディス宰相が、静かに口を開いた。


「さて」


空気を引き締めるように。


「そろそろ協議へ入りたいのだが――」


その瞬間だった。


ゴゴゴゴゴゴゴッ――!!


大地が激しく揺れた。


会議室全体が震える。


机が揺れ。


魔導投影装置が軋む。


「っ!?」


「地震か!?」


ミレーユが咄嗟に机へ手をつく。


クロードも顔色を変えた。


「今のは……!」


揺れは数秒続き――。


やがて静まった。


だが。


空気は一気に張り詰める。


ヴァルディスが険しい顔で呟いた。


「……今のは大きかった」


「これまでにない規模だ……」


その時だった。


バンッ!!


会議室の扉が開かれる。


「軍議中、失礼します!!」


息を切らした衛兵が飛び込んできた。


レオニス王が鋭く声を上げる。


「何事だ!!」


衛兵は、敬礼しながら叫ぶ。


「城上空に存在していた“次元の裂け目”と思われるものが――」


一拍。


「突如として消失しました!!」


会議室がざわつく。


「何!?」


ヴァルディスが立ち上がる。


「ならば、次元イーターの襲来は無くなったということか!?」


「わ、分かりません!!」


衛兵が首を振る。


「現在、詳細を調査中です!」


その時だった。


さらに――。


別の衛兵が飛び込んできた。


「申し上げます!!」


息が乱れている。


明らかに異常事態だった。


「物見より報告!!」


「東門前方の森より、魔物の大群が突如こちらへ進軍開始!!」


空気が変わる。


「数、およそ三百!!」


「半刻もせず東門へ到達する勢いです!!」


「衛兵のみでは対処不可能!!」


「至急、軍の派遣を!!」


レオニス王が立ち上がる。


「何が起こっておる……!」


ヴァルディスも険しい顔になる。


「裂け目消失と同時に魔物暴走だと……!?」


レオニス王が、即座に命令を出そうとした――その時。


「東門ってどこ?」


総司だった。


全員の視線が向く。


ヴァルディスが即座に答える。


「この城より五里ほど東だ」


「だが、今からでは到底――」


その瞬間。


総司が、美雪を見る。


「美雪ちゃん、行こう」


そして。


「晋作」


「茜ちゃん」


「お願いできるかな?」


三人が、すぐに頷く。


総司は続ける。


「ちびドラに協力してもらえれば、多分間に合う」


茜の肩に乗っていた小さな赤竜が「グルルッ」と鳴いた。


だが――。


「ちょっと待って」


セレナが立ち上がる。


「私たちは?」


総司は振り返る。


静かな声だった。


「六人はここで協議を続けて」


全員が目を向ける。


「セレナと晴明」


「千代女さんと鷹宮さんは、日本側代表として松平さんと一緒に」


「ジャンヌさんとラファエルさんは、フランス側代表として残ってほしい」


ジャンヌが、少し驚いたように目を瞬かせる。


総司は続けた。


「特にセレナと晴明は」


「前回の次元イーター戦を経験してる」


一拍。


「その時、何が起こったのか」


「どう侵食されたのか」


「説明できるのは大きい」


晴明が、静かに頷く。


「……なるほど」


総司はさらに言う。


「多分、今回の魔物暴走も裂け目が関係してる」


「だからこそ、情報整理が必要だ」


セレナが、小さく息を吐いた。


「……分かった」


晴明も続ける。


「ならば、この対処は任せます」


その時だった。


「待て」


低い声。


ガルディアスだった。


全員の視線が向く。


騎士団長は、静かに立ち上がる。


「俺も行く」


短い言葉。


「客人に対処を任せ、自分だけ呑気に協議へ参加していたとなれば」


一拍。


「騎士団総長の名折れだ」


その目は真っ直ぐだった。


「現場の部下にも示しがつかん」


総司は、ふっと小さく笑った。


「分かった」


その返答に。


ガルディアスも静かに頷く。


次の瞬間。


総司、美雪、晋作、茜、そしてガルディアス。


五人が、一斉に会議室を飛び出した。


会議室に残された者たちの空気は、なお張り詰めていた。


クロードが、険しい顔で口を開く。


「……あの者たちだけで本当に大丈夫なのか?」


魔導学院長の視線が扉へ向く。


「相手はゴブリンだけではない」


「オーク、ワーウルフ、その他魔物も混ざっている可能性が高い」


一拍。


「数三百ともなれば、小規模軍事衝突だぞ」


その言葉に。


セレナは、ふっと笑った。


「敵の数を聞いた上で」


腕を組む。


「うちの沖田が人選して行ったのよ?」


その目に、迷いはない。


「なら大丈夫」


即答だった。


その言葉に。


ガルディアスを知る騎士たちでさえ、一瞬黙る。


セレナは、そのまま続けた。


「私たちは私たちで」


「次元イーター対策を話し合いましょう」


その瞬間。


会議室の空気が、再び“協議”へ戻っていった。


――一方その頃。


王城内部。


総司たちは、全力で廊下を駆け抜けていた。


石造りの長い通路。


窓の外では、既に警鐘が鳴り始めている。


晋作が走りながら叫ぶ。


「どこか開けた外に出れる場所はこの階に無いのか!?」


ガルディアスが即座に答える。


「この通路の突き当たりだ!」


「そこから左へ行った中央に、この階の城壁へ出る場所がある!」


「了解!」


晋作が笑う。


「城ってのは本当に迷路だな……!」


一拍。


「ならまずはそこだ!」


「急ぐぞ!!」


五人が、一気に加速する。


そして――。


巨大な扉を抜けた瞬間。


視界が、一気に開けた。


城壁上。


王都を見渡せる外郭通路だった。


強い風が吹き抜ける。


ガルディアスが周囲を見ながら言う。


「ここからどうするんだ?」


眉をひそめる。


「まさか飛び降りる気か?」


「そんな事したら、この高さだから死にますよ!?」


茜が即座にツッコむ。


だが、その直後。


茜は、肩へ乗っていた小さな赤龍をそっと降ろした。


「お願い、シンちゃん」


優しく撫でる。


「力を貸して!」


赤龍が、小さく鳴く。


「グルル……!」


その瞬間だった。


ゴォォォォォッ――!!


赤龍の身体が、突然光を放つ。


ガルディアスの目が見開かれる。


「なっ……!?」


光が膨れ上がる。


次の瞬間――。


ドォォンッ!!


巨大な赤きドラゴンが、城壁の上へ姿を現した。


巨大な翼。


鋭い爪。


灼熱のような鱗。


その存在感だけで、空気が震える。


ガルディアスが完全に固まった。


「ド、ドラゴンだと……!?」


茜は、得意げに笑う。


「シンちゃんです!」


晋作が額を押さえた。


「いや待て」


「いつの間に名前つけた……?」


一拍。


「しかもシンって……」


茜がニヤニヤする。


「もちろん晋作さんの名前からだよー」


「お前な……」


晋作が苦笑する。


総司と美雪まで、クスッと笑っていた。


だが――。


総司は、すぐにシンの背へ飛び乗る。


「行こう!」


美雪も続く。


晋作も軽く飛び乗った。


茜も慣れた動きで背へ乗る。


だが――。


ガルディアスだけは、まだ固まっていた。


「お、おい待て……!」


総司が振り返る。


「ほら早く乗って!」


「方角とか道案内お願いしたいし!」


ガルディアスは、ようやく我に返る。


「っ……!」


半ば勢いのまま、シンの背へ飛び乗った。


その瞬間。


ゴォォォォッ!!


シンが巨大な翼を広げる。


風圧。


そして――。


ドンッ!!


赤龍は、一気に大空へ飛び上がった。


王都の景色が、一瞬で小さくなる。


ガルディアスが思わず身を乗り出す。


「本当に飛んだだと……!?」


晋作が吹き出した。


「ドラゴンだからな」


「むしろ飛ばなかったら驚く」


シンは、大空を一直線に飛ぶ。


眼下には王都。


さらにその先。


東方の巨大な森。


そこから黒い影が、波のように押し寄せていた。


ガルディアスが目を細める。


「……来ているな」


総司も、静かに森を見下ろす。


「うん」


「結構な数だ」


その空気の中。


ガルディアスが、ふと口を開いた。


「お前たちは」


低い声。


「いつもこんな感じなのか?」


総司が首を傾げる。


「ん?」


ガルディアスは続けた。


「魔物三百だぞ」


「普通なら軍を編成し、戦術を組み、時間をかけて対処する相手だ」


一拍。


「なのにお前たちは、まるで散歩へ行くみたいに飛び出した」


総司は少し考え――。


そして、小さく笑った。


「まぁ」


「いつもこんな感じかな」


「この世界のこと、まだよく分かってないってのもあるけど」


空を見る。


「でも、何とかなる気がするし」


ガルディアスが呆れたように息を吐く。


「……気がするだけで飛び出したのか」


一拍。


「度胸があるのか」


「大馬鹿者なのか……」


その言葉に。


晋作がニヤリと笑った。


「両方だろ」


美雪が、少し困ったように笑う。


「でも、総司くんの“何とかなる”って、結構当たるんだよね」


茜も頷く。


「うん!」


ガルディアスは、そんな四人を見つめる。


そして――。


ゆっくりと口を開いた。


「……ここで見定める」


風が吹く。


騎士団長の目が、鋭く細まる。


「お前たちを、本当に認めるかどうかは」


一拍。


「それからだ」


その言葉に。


晋作が口元を歪めた。


「その言葉」


前方の森を見据える。


「忘れんじゃねぇぞ」


――東門・城壁上。


兵士が、額の汗を拭いながら城外を睨んでいた。


遠く。


森の奥から、黒い波のような影が迫っている。


地響き。


咆哮。


空気そのものが震えていた。


兵士が、思わず呟く。


「援軍は……まだか……」


喉が乾く。


「もうすぐ到達するぞ……」


その時だった。


「……ん?」


兵士が、ふと空を見上げる。


城の方角。


何か巨大な影が、こちらへ一直線に飛来していた。


最初は点。


だが、みるみるうちに大きくなる。


そして――。


兵士の顔が引き攣った。


「ド……」


喉が震える。


「ド、ド、ドラゴンだぁぁぁぁ!!」


絶叫が城壁へ響き渡る。


「なっ!?」


「ドラゴンだと!?」


「城の方角から飛んで来るぞ!!」


門を固めていた兵士たちが、一斉に空を見上げた。


赤き巨龍。


巨大な翼。


その圧倒的な存在感に、誰もが息を呑む。


兵士の一人が青ざめる。


「ドラゴンなんて滅多に出てこないはずなのに……!」


「これも、あの裂け目の影響なのか……!?」


別の兵士が叫ぶ。


「挟撃されるぞ!!」


空からドラゴン。


正面から魔物の軍勢。


完全な絶望的状況だった。


その時――。


兵士長が剣を抜き放つ。


「狼狽えるな!!」


怒声。


「ドラゴンの方が接敵が早い!!」


一拍。


「矢で牽制し、一旦やり過ごす!!」


「全員構え!!」


兵士たちが慌てて弓を構える。


だが――。


ドラゴンは、近づくにつれその巨大さが異常だと分かってきた。


兵士が、震える声を漏らす。


「な、なんだあの大きさは……」


「とても矢なんかで……」


兵士長が叫ぶ。


「接敵するぞ!!」


「矢を放――」


その瞬間だった。


「攻撃止めぃぃぃぃ!!」


凄まじい声が響き渡った。


兵士たちの動きが止まる。


次の瞬間――。


ドォンッ!!


ドラゴンから、一人の男が城壁へ飛び降りた。


重い鎧。


巨大な剣。


兵士長が目を見開く。


「ガルディアス騎士団総長!?」


兵士たちも騒然となる。


「総長だ!!」


「ドラゴンから降りて来た!?」


「何故ですか!?」


その直後。


ドラゴンが、城壁へ降り立った。


ゴォォォォッ!!


風圧が吹き荒れる。


そして、その背から――。


総司。


美雪。


晋作。


茜。


三人と一人が飛び降りる。


兵士たちが完全に混乱する。


「この者たちは!?」


ガルディアスが即座に答えた。


「援軍だ!!」


「総長は分かりますが!」


兵士長が困惑する。


「顔も知らぬ者たちに加え、ドラゴンまで!?」


「話は後だ!!」


ガルディアスが怒鳴る。


「城門の守りはどうなっている!?」


兵士長が、即座に報告する。


「準備していた杭!」


「柵!」


「木槍を含めた防壁は、全て配置済みです!!」


ガルディアスが頷いた。


「よし」


「上出来だ」


だが――。


兵士長は顔を曇らせる。


「ですが、これだけの戦力では……」


その時。


総司が、静かに前へ出た。


「ガルディアスさん」


全員の視線が向く。


「あなたは、ここの兵士たちの指揮をお願い」


総司は、前方へ設置された防壁を見る。


「それと、あの木柵の後ろへ全員下がらせて」


「防壁を突破してきた敵だけに集中してほしい」


兵士たちがざわつく。


「なっ!?」


「それでは柵など、すぐ破壊される!!」


だが――。


晋作が、ニヤッと笑った。


「俺たちが撃ち漏らして突破してきた奴だけ叩いてくれってことだよ」


兵士長が目を見開く。


「そんなこと……!」


「出来るはずが……!」


その時だった。


総司が、静かに前を見る。


「……そうこう言ってる間に来るよ」


地響きが、急激に大きくなる。


ドドドドドドド……!!


森の奥。


黒い波。


ゴブリン。


オーク。


ワーウルフ。


魔物の群れが、凄まじい勢いで迫って来ていた。


ガルディアスが、険しい顔で総司を見る。


「本当にその策で良いのか?」


「それでは、お前たちが……」


「大丈夫!」


総司が即答する。


その迷いのなさに、ガルディアスが一瞬言葉を失う。


その横で。


晋作が、茜へ視線を向けた。


「茜!」


「シンと一緒に上空から援護しろ!」


「矢も撃て!」


「あと、シンにも炎吐かせろよ?」


茜が元気よく頷く。


「分かったよ、晋作さん!」


そして――。


ニヤニヤしながら続けた。


「……この子のこと、“シン”って名前で認めたね?」


晋作が即座に顔をしかめる。


「暫定だ!!」


「暫定!!」


美雪が思わず吹き出した。


総司も肩を震わせている。


茜は楽しそうに笑う。


そして――。


シンの背へ飛び乗った。


「行くよ、シン!」


「大空へ!!」


ゴォォォォッ!!


シンが巨大な翼を広げる。


次の瞬間――。


赤き巨龍は、大空へ舞い上がった。


上空。


赤龍。


そしてその背に立つ、神弓を持った少女。


その光景だけで、兵士たちは呆然としていた。


一方――。


総司が、静かに刀へ手を添える。


「やるよ」


その声に。


美雪が頷いた。


「うん!」


晋作が銃を回す。


「おう!!」


次の瞬間。


三人は、防壁と魔物の大群の“間”へ飛び降りた。


ドォンッ!!


土煙。


たった三人。


だが――。


その背中には、一切の恐怖がなかった。


それを見た兵士が、思わず呟く。


「あんなところへ……」


「たった三人で……?」


「しかも大した装備も無しに……!」


喉が震える。


「あれじゃ、死にに行くようなものだぞ……」


だが。


ガルディアスは、静かに腕を組んでいた。


「……まぁ見てろ」


低い声。


そして――。


振り返り、兵士たちへ怒鳴る。


「各員構え!!」


空気が引き締まる。


「あの三人を突破してきた敵から各個撃破だ!!」


「良いな!!」


兵士たちが、一斉に武器を構えた。


「「「了解!!」」」


その瞬間。


美雪が、静かに前へ出る。


「……まずは数を減らすね」


総司が頷いた。


「お願い!」


その直後だった。


美雪が、両腕を舞うように動かす。


パキッ――。


地面が凍る。


一瞬で、魔物たちの足元へ氷が広がっていく。


「なっ……!?」


魔物たちの動きが止まる。


そして――。


ドゴォォォォォッ!!


地面から、無数の巨大氷柱が突き上がった。


ゴブリンを貫き。


オークを串刺しにし。


ワーウルフを吹き飛ばす。


鮮血と氷片が舞い散る。


兵士たちが、完全に言葉を失った。


「は……?」


「なんだ……今の……」


「魔法か……!?」


ガルディアスも、黙ったままそれを見ている。


だが。


まだ終わらない。


美雪が、さらに右手を掲げた。


空中へ。


無数の氷槍が生成されていく。


一本。


十本。


数十本。


いや――。


百近い。


兵士たちの顔が青ざめる。


「嘘だろ……」


「一人で、あれだけの術式を……!?」


次の瞬間。


美雪が、静かに振り下ろした。


ドドドドドドドッ!!


氷槍群が、一斉に魔物の大群へ突き刺さった。


ゴブリンが吹き飛ぶ。


オークの身体を氷槍が貫通する。


ワーウルフが、氷塊ごと地面へ叩きつけられる。


悲鳴。


咆哮。


血飛沫。


そして凍気。


戦場が、一瞬で氷雪地獄へ変わっていた。


だが――。


その一斉射撃を合図に。


総司と晋作が、同時に駆け出した。


ドンッ!!


二人とも、走りながら抜刀。


キィィィン!!


白銀の軌跡。


黒鉄の斬撃。


まず最初の一太刀で、目の前のゴブリンを両断する。


さらに――。


総司が滑るように次の敵へ踏み込む。


晋作が横から飛び込んできたオークを斬り飛ばす。


互いの死角へ自然に入り。


互いの背後を埋める。


まるで最初から決まっていたかのような連携。


ガルディアスが、思わず目を見開く。


「……戦い方が」


キィィィン!!


総司が敵を斬りながら、背後へ迫るワーウルフを察知する。


だが、その瞬間には。


バァンッ!!


晋作の銃弾が、その頭を吹き飛ばしていた。


総司が、小さく笑う。


「助かるよ」


晋作がニヤリと笑った。


「こうして戦ってるとよ」


和泉守兼定を振り抜く。


血飛沫が舞う。


「仲間がお前で良かったと思える」


さらに敵を斬り飛ばす。


「安心して背中預けられる!」


総司も、菊一文字を振るいながら笑った。


「全くだよ、晋作!」


その瞬間。


二人が同時に踏み込む。


キィィィィン!!


双方向からの斬撃。


ゴブリンの群れが、一瞬で吹き飛んだ。


ガルディアスが、その戦いを見ていた。


「……違う」


低く呟く。


「戦い方そのものが、俺たちと違う……」


騎士の連携ではない。


もっと直感的。


もっと実戦的。


“生き残る”ことに特化した動き。


その時だった。


ガルディアスが、振り返る。


「兵士長!!」


兵士長が即座に反応する。


「はっ!!」


「指揮は任せる!!」


兵士長が目を見開く。


「総長はどうされるおつもりです!?」


ガルディアスが、大剣を握り直した。


「彼らに加勢する!!」


次の瞬間。


ドォンッ!!


東門城壁から、ガルディアスが飛び降りた。


兵士たちが驚愕する。


「総長!?」


「行ったぞ!!」


ガルディアスは、そのまま魔物を叩き潰しながら総司たちへ合流する。


晋作が笑った。


「ガルディアス!」


「来たのか」


ガルディアスが、敵を斬り飛ばしながら答える。


「向こうには、ほとんど敵は来ない」


「長槍と矢だけで十分だ」


一拍。


「それに」


総司たちを見る。


「お前たちだけに任せていられん」


総司が、少し笑った。


「騎士団長としての意地かな?」


ガルディアスが鼻を鳴らす。


「そんなものだ」


そして――。


迫るオークを真っ二つに叩き割る。


「次元イーターとは、こんなものではないのだろう?」


一拍。


「なら、この程度」


「前哨戦には丁度良い」


晋作が、ニヤリと笑った。


「頼もしいじゃねぇか」


ガルディアスも、小さく口元を歪める。


「お互い様だ」


その瞬間。


三人は、自然と肩を並べていた。


武士。


騎士。


異なる世界。


異なる戦い方。


だが――。


背中を預ける安心感だけは、同じだった。


――上空。


茜が、シンの背から戦場を見下ろしていた。


風が吹き抜ける。


下では、総司たちが戦っている。


茜が、シンへ声をかける。


「シン!」


「後方の大群に向けて、火炎放射じゃなくて炎弾放てる?」


シンが、低く唸る。


まるで理解したように。


次の瞬間。


ゴォォォォォッ!!


巨大な炎弾が、口から放たれた。


後方の魔物群へ直撃。


爆発。


吹き飛ぶゴブリンたち。


茜が、さらに空を見上げる。


「シン、もっと上空へ飛べる?」


ゴォォォッ!!


シンが、一気に高度を上げる。


王都すら小さく見える高さ。


茜は、そこでSDを起動した。


「総司さん!」


「上空から五月雨を放って一掃するから、一旦城壁まで引いて!」


総司の声が返る。


『了解!』


晋作も続く。


『派手にやれ!!』


その時。


美雪の声が入った。


『合わせて八寒地獄にする?』


茜が目を見開く。


「その方が確実かも!」


「合わせお願い!」


『分かった』


その瞬間。


総司がガルディアスを見る。


「一旦引くよ!」


ガルディアスが困惑する。


「何!?」


「まだ敵は大量にいるぞ!?」


総司が空を見る。


「吹雪と強い雨が降る」


ガルディアスも反射的に空を見上げた。


晴天。


雲一つない。


何を言っているのか理解できない。


だが――。


何故か、従った。


総司。


晋作。


ガルディアス。


三人が、美雪の後方まで下がる。


その瞬間。


美雪が、静かに両手を広げた。


ゴォォォォォッ!!


極所的な吹雪が発生する。


暴風。


雪。


雹。


霰。


自然災害そのもの。


魔物たちへ叩きつけられる。


「ギャアアアアッ!!」


「グォォォォ!!」


魔物の群れが、一気に足を止めた。


そして――。


上空。


茜が、弓を構える。


霊力が、矢へ集束していく。


「この高さなら……!」


ヒュォォォォンッ!!


放たれた矢が、上空で分裂した。


一本が十本へ。


十本が百本へ。


霊力の矢群が、吹雪の中へ降り注ぐ。


そして――。


美雪と茜が、同時に口を開いた。


「「八寒地獄」」


次の瞬間。


吹雪が、世界を飲み込んだ。


視界ゼロ。


暴風。


氷。


霊力。


全てが、魔物たちを蹂躙していく。


城壁上の兵士たちですら、息を呑むしかない。


そして――。


数分後。


吹雪が、ゆっくり晴れていく。


その先に広がっていたのは――。


一面の氷景色だった。


魔物たちは。


全て、氷像と化していた。


完全なる殲滅。


兵士たちが、完全に言葉を失う。


「は……?」


「なんだ……これ……」


「災害じゃないのか……?」


ガルディアスでさえ、絶句していた。


その中で。


美雪が、SD越しに笑う。


『やったね、茜ちゃん!』


『タイミング良かったよ!』


茜も嬉しそうに笑う。


『うん!』


『合わせてくれてありがとう!』


晋作が、凍った戦場を見ながら呟く。


「さすが八寒地獄……」


「かなり数減ったな……」


総司が、前方を見る。


「……じゃあ」


「残り、行こうか」


その時。


美雪が、静かに前へ出た。


「……ちょっと仲間増やすね」


パチッ――。


指を鳴らす。


次の瞬間。


周囲へ、白銀の魔法陣が展開された。


そこから――。


雪豹が現れる。


一体。


二体。


三体。


最終的には十体近く。


兵士たちが、完全に固まった。


「ま、魔物を召喚した!?」


「いや、精霊か!?」


美雪が、雪豹たちへ声をかける。


「行って!」


その瞬間。


雪豹たちが、一斉に森へ駆け出した。


ガルディアスが、呆然と呟く。


「……お前たちは」


一拍。


「一体、何なんだ?」


総司が、小さく笑って言った。


「元敵同士の武士二人」


菊一文字を構える。


「氷雪を操る、自然そのものの雪女」


美雪が小さく笑う。


「そして、霊力の高い巫女」


上空で、茜が弓を構えていた。


総司は、前を向く。


「……さて」


「残りを倒そうか」


ガルディアスには、まだ半分も理解できなかった。


だが――。


最後の言葉だけは、はっきり理解できた。


“戦う”。


その意思だけは。


――上空。


茜が、戦場を見下ろしていた。


その時だった。


ふと。


森のさらに奥。


もっと先。


荒野のような場所へ、視線が止まる。


そして――。


茜の顔色が変わった。


「……っ!?」


そこにあった。


巨大すぎる“裂け目”。


空間そのものを裂いたような、巨大な次元の傷。


茜が、息を呑む。


(……大きすぎる)


即座にSDを繋ぐ。


「みんな!!」


『どうした!?』


総司の声。


茜が叫ぶ。


「この森のさらに奥!!」


「荒野みたいな場所に、巨大な次元の裂け目がある!!」


「かなり大きい!!」


その瞬間だった。


ゴゴゴゴゴゴゴッ――!!


再び大地震。


美雪が驚く。


『また地震!?』


数秒後。


揺れは止まる。


だが――。


変化があった。


それは。


上空にいる茜だけが見えていた。


茜の顔が青ざめる。


『じ……次元の裂け目が……』


一拍。


『さらに大きくなった……!』


その言葉に。


全員が息を呑む。


そして――。


裂け目が、脈動した。


ズルリ、と。


その奥から“何か”が現れる。


茜の目が見開かれる。


『次元イーター……!!』


空気が凍った。


総司が、即座に問い返す。


『数は!?』


茜が、裂け目を凝視する。


『数体……!』


一拍。


『でも、もしかしたら……』


声が震える。


『地震のたびに、出て来てるのかもしれない……!』


晋作が、目を細めた。


『……まさか』


前方の魔物群を見る。


『この魔物暴走って』


『既に森へ入り込んだ次元イーターから逃げるための!?』


総司も、険しい顔になる。


『可能性はある……!』


その瞬間。


総司が、美雪を見る。


「美雪ちゃん」


「雪豹、森の中へ行かせられる?」


美雪が即座に頷く。


「できる!」


総司は続けた。


「森内部の偵察」


「それと、次元イーターを見つけたら攻撃して」


「少しでも数を減らしたい」


「分かった!!」


雪豹たちが、一斉に森へ駆け出していく。


その背を見送りながら。


総司が、静かに言った。


「一度、城へ戻ろう」


「即刻、対策を練る必要がある」


一拍。


「じゃないと、後手に回る」


その頃には。


魔物の数は明らかに減っていた。


残っているのは、散発的な小群だけ。


ガルディアスが、振り返る。


「兵士長!!」


兵士長が敬礼する。


「はっ!!」


「残りの魔物程度なら、俺がいなくても平気か?」


兵士長が、強く頷いた。


「はい!!」


剣を構える。


「この東門――」


「必ず死守してみせます!!」


ゴォォォォッ!!


上空から、巨大な影が降下してくる。


赤き巨龍――シンだった。


シンは、そのまま総司たちの前へ着地する。


風圧が吹き荒れる。


茜が、シンの背から顔を出した。


「みんな、シンに乗って!」


総司を見る。


「城に戻るんでしょ?」


「うん!」


総司が即座に飛び乗る。


美雪も続いた。


晋作が軽く笑う。


「便利だな、ほんと」


そのままシンの背へ飛び乗る。


最後に。


ガルディアスも、少し複雑そうな顔をしながら背へ乗った。


ゴォォォォォッ!!


シンが、大きく翼を広げる。


そして――。


赤き巨龍は、再び大空へ舞い上がった。


王城へ向けて。


迫りつつある“本当の脅威”を伝えるために。


38話 完


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