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伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦  作者: 未羊
第八章 3年生後半

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第419話 その時が来る

 残りの学園生活は3か月。私とサキは卒業と同時に王城内に住むことが決まっていた。本格的な王妃教育が始まるし、城での生活に慣れるという意味合いもある。

 でも、どちらか一方は王族を出て公爵家の夫人となるわけなのよね。現状は第二王子のリブロ王子の方がそうなる公算が強かった。

 どちらが王族を出て公爵となるにしても、領地は王都から近い直轄地が与えられる予定になっているらしい。

 それにしても、本当にイベントらしきイベントもなく、冬の3か月はあっという間に過ぎていく。

 そんな中、2週間に1回のペースでミズーナ王女とお茶会を行っている。私とエスカに、私たちの侍女たちと、実に人数を絞った女性だけのお茶会である。

 卒業式を目の前にした42ターン目の週末も、いつものように私たちは城に集まっていた。

「どうかしら、アーサリー殿下の様子は」

 私は単刀直入にミズーナ王女に質問をしていた。

「相変わらずってところね。メチルとは会わせてはいるんだけど、アウトオブ眼中ってところかしら」

「あっのバカは……」

 ミズーナ王女の状況説明に、エスカは本気で頭を抱えていた。

 それにしても、私たちだけっていうこともあって、ミズーナ王女の言葉はかなり砕けているし、前世で使っていた単語もちょくちょく出てくる。

 これらが分からないのは唯一のこちらの人間である私の侍女のスーラだけね。メチルも転生者だもの。

 そうそう、エスカだけは侍女を連れてきていないからね。だから、ここに居るのは私たち五人だけというわけなのよ。

「私が相手に選んだのは魔王だから、はっきり言ってミール王国に連れていけないでしょうね。となると、お兄様にはちゃんとした相手を選んでもらわないと……」

 エスカは腕を組んで渋い顔をしながら愚痴を漏らしている。

 ところで、魔族であるメチルはちゃんとした相手になるというのだろうかという疑問は浮かぶ。

「メチルなら大丈夫でしょ。精霊付だし、爵位を持った両親が居るんだもの。見た目こそは魔族だけど、人間の扱いで十分通せるはずよ」

「私もそう思いますね」

 突然アルーが姿を現し、エスカの意見に賛同していた。

「ただねぇ……、お兄様があの状況でしょ……。タンやサクラみたいに脳筋に傾倒してるみたいだから、恋愛云々は厳しいっぽいのよね」

 肘を指でトントンと叩きながら、悩ましい思いを口にするエスカである。

「お母様に打診して、政略的に婚姻させるしかないかしらね」

「わ、私だって貴族ですから、王命であるなら従いますよ」

 ミズーナ王女がため息まじりに漏らすと、メチルは背筋を伸ばして喋っている。覚悟は決まっているようだ。

「まあ、それは最終手段ね。フィレン王子に協力頂いて、それとなしに話を聞いてみましょうか。気になる相手がいるのかどうかなどをね」

「そうね。政略結婚は最終手段だものね」

 そんなこんなで、この日のお茶会は解散となった。


 そして、あっという間にエンディングを迎える最後のイベント、卒業式の日がやって来た。

 今年はフィレン王子の卒業ということもあり、卒業式及びパーティーは、城のパーティーホールで行われることになった。

 大部分の学生は城の中に入ることすら滅多にないもの。そのために、会場にやって来た学生たちの間にはただならぬ緊張感が漂っている。

 私たちは慣れてしまっているので、普段通りの緩みっぱなしな状態である。

 ちなみに、私の隣にはモモが居て、一時期一緒の家で暮らしていた事のあるテールも私たちと一緒だった。

「うう、城の中で卒業式だなんて……、とても緊張します」

 テールは身震いをしていた。

「まぁそうよね。夜会でもなければ城に来ることはないものね」

 私は苦笑いをするしかなかった。王妃教育だけならまだしも、しょっちゅう城に呼び出されていたせいで既に緊張感なんてどこ吹く風だもの。

 モモやテールと話していると、残りのライバル令嬢たちが揃って私たちのところに姿を現した。みんな思い思いのドレスに身を包んでいるのだけど、さすがはライバル令嬢たち、とても似合っていた。

 ライバル令嬢たちと談笑をしている間、私は王族たちの姿を探していた。ミズーナ王女とエスカは学年が一つ下ではあるものの、お城で開かれるイベントゆえに彼女たちもこの卒業式及びパーティーには列席必須なのである。

 ところが、どこを見回してもみても、王族であるミズーナ王女やエスカたちの姿を見つける事はできなかった。

 そんな中、突如として会場内に音楽が鳴り響く。すると、先程まで雑談が行われていたはずの会場内が、まるで嘘のようにしんと静まり返ったのだ。

 さすがにその状況には最初は驚き戸惑ってしまうというものだけど、その理由はすぐさま判明する。

 先程まで姿がまったく見えなかった王族たちが、ぞろぞろと会場内へと入ってきたのである。それと同時に、学園長も姿を見せる。ここまでくれば誰もすぐにピンとくる。

(いよいよ始まるのね。この3年間の乙女ゲームの最後を締めくくる最後のイベントが)

 そう、学園生活におけるラストイベントである卒業式が、ついにその幕を上げようとしているのだった。

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