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伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦  作者: 未羊
第七章 3年目前半

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第376話 合流は期待できない

『はあ? なんでそんな事になっているのよ!』

 サンカリーと出くわした翌日の昼休憩の時だった。

 ここまで一切の連絡を取り合っていなかった事を思い出して、私ははるか後方でベジタリウス王国に向かうミズーナ王女たちに連絡を入れたのだ。すると、ミズーナ王女からいつもの王女らしい言葉遣いが吹き飛んだ言葉が返ってきた。

『魔族四天王二人を同時に相手にするなんて、勝ち目ないわよ。まったく、どうしてそんな事になっているのかしら……』

 スマホもどき越しに、ミズーナ王女の愚痴が聞こえてくる。そのスマホ越しに、実に頭が痛そうな反応をしているのが目に浮かぶようだわ。多分、同じ立場だったら私も同じような反応をしてたと思うもの。

『ひとまず、確認させてもらいたいからメチルに代わってくれないかしらね』

 大きなため息が聞こえたと思ったら、ミズーナ王女がそんな要求をしてくる。なので、私は持っているスマホもどきをメチルに渡す。

「ふええ、この世界にスマホがあるだなんて……」

 私から手渡されたスマホもどきを見て、メチルが驚いた表情をしている。

「そこのエスカが再現して作ったのよ」

「なんと……」

 私が呆れたように話すと、メチルはもう一回驚いていた。その姿を見ながら、エスカはにやにやと笑っている。まったくこんな時に気持ち悪い顔をしないでよ。

『そういう話は後。とにかく状況とかを詳しく聞かせて』

 あまり時間がないというような感じで、ミズーナ王女が怒りを交えながら話してくる。仕方がないので、メチルに対応を任せた。

 そして、長々とした通話を終えると、私たちは食事を平らげる。十分な休息を取ると、再び北を目指して進み始めた。

 勝算は少ないとはいえども、私たちがやるしかない。なんといっても、ミズーナ王女たちとは距離が離れすぎているから、合流が期待できないんだものね。

 私は気合いを入れ直して、覚悟を決めたのだった。


 ―――


 アンマリアとの通話を終えたミズーナたちの様子はどうだろうか。

「まったく、なんて事になってるのよ」

 すっかりお姫様な言葉遣いを失っているミズーナは、だいぶご立腹のようである。

「ずいぶんとお冠のようですね、ミズーナ王女」

 同じ馬車に乗り込んでいるフィレンが、ミズーナに対して声を掛けている。先程アンマリアと話ができていたのは、このフィレンのスマホもどきのおかげである。

「メチルから聞かされていた話とずいぶんと違っているんですもの。早めに仕掛ければテリアはあっさり撃退できていたはずなのに、サンカリーは出てくるわ、テリアは生き残っているわという状況でしょ? 最悪すぎて笑えないわよ」

 あまりにもやさぐれたミズーナの態度に、さすがのフィレンも苦笑いである。まったく、ここまで築いてきた王女としてのイメージをすっかり自らぶち壊したようだ。

 ちなみにミズーナたちは、今現在国境を越えてベジタリウス王国の王都イサヤまであと1日くらいの場所まで来ている。

 それと、リブロ王子は誕生日パーティーがあるので未参加である。本人は行きたがっていたようだが、さすがに主役が居ないと話にならないと認められなかったようだった。

 話を戻そう。

 ミズーナは先程のアンマリアたちとの会話をフィレンにも伝える。すると、さすがにフィレンの表情が曇ってしまった。

「なるほど……。相手方の魔族がその様な事を言ってきたのですか。ですが、さすがに私たちは間に合いそうにありませんね」

「ええ、だから困っています。ヒロインたるアンマリアと聖女のサキが居ますけれど、魔族二人を同時に相手にまともに戦えるか、甚だ疑問なのですよね。なんといっても、テリアに柑橘魔石が思ったより通じなかったようですからね」

 ミズーナは顔を押さえて首を左右に振っている。相当に参っているようだった。

 なんといっても、最悪な展開ともいえる方向で物事が進んでいるのだ。頭が痛くなるほどに悩ましい事態なのである。

「私たちはどうあがいても現場に間に合いそうにありませんからね。イサヤで待機して、アンマリアたちからの連絡を待つしかありませんかね……」

 ようやく冷静になってきたのか、ミズーナの言葉遣いが普段の王女らしいものに戻ってきていた。

「万一の事があれば、次に戦力になるのは私たちです。もどかしいですけれど、イサヤに着くまでの間にしっかり作戦を練る事としましょう」

「そうですね。先日のパーティーに現れたテトロとかいう魔族ですらあの強さですからね。それでも四天王の中では下の方なんですから、しっかりとした対策を立てませんとね」

 比較対象が少ないことに加えて、ミズーナから又聞きした状況からフィレンは同じように考えたのだ。

 万一という事になれば、自分たちが主戦力になるのだ。あまり考えたくはないけれども、そういう時の備えもしっかりしておかねばならないというのが、王族たる者の宿命なのだろう。

 なんとも重苦しい空気になる中、ミズーナとフィレンたちの乗る馬車は一路イサヤへと急ぐのだった。

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