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転生し自分の娘となった元英雄  作者: 夜桜 迷移
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あれから2年、特に何も無く8歳になりました。本当だよ、びっくりするほど平和だったんだよ、信じて……って誰に言ってるんだろう私は……


「ほら、メア、こっちだよ」


「はーい」


 今私は何をしてるかと言うと、数年に1度行われる領地のお祭りのお手伝いをしてるの、私が住んでる村を含めたいくつもの村で出来たこの領地は、私の知り合い、じゃなくて、母の知り合いの人が 領主をしてるんだ。


 名前はアミリー・テスカ、私が冒険者になりたての時、色々教えてくれた優しい人、そして何故かライバル視されているんだよね、なんでだろう、まあ気にしないでおこう。


 それよりも、今は手伝っているけど、正直に言うと会いたくない、というのもサリーだった頃は、なんともなかったんだけど、アミリーは重度のロリコンなんだよね、どこで踏み間違えてしまったのか……


 会うなり抱きついて、しばらくほっぺすりすりされる、そして軽いセクハラもしてくる、子供だからってわからないと思った? いや、アミリーは女だからまだ大丈夫だけどさ、ちょっとね。


「メア、そこの箱、持ってきてくれ、冷たいから気を付けて」


「はーい」


 アミリーには後で会いにいくらしいから、それまでは幸せな時間を過ごすとしよう、今手伝っているのは私達の家が出す屋台のお手伝い、そう、お祭りと言ったら屋台だよね、私達が出すのは牛肉の串焼きとミルクで作った冷たいアイス、どっちも美味しくて、毎回人気なのよ。


 今世では2回目だし、前世でも散々やったからお祭りの雰囲気は分かる、夕食の時間帯が踏ん張りどころ、1番人が来る時間帯だからね。


「はい、パパ、ここ置いておくよ」


「ありがとうメア、今日は暑くなりそうだからしっかりと水分補給しろよ」


「はーい」


 うん暑い、尋常じゃなく暑い、母に風の魔法を掛けてもらって涼しくはなってるけど、それでも暑い、この暑さも祭りの醍醐味なのよね。


 あ、そうだこの祭りは、えっとなんだっけ、とにかく2.3年に1度行われる祭りで、アミリーのその年の気分によりやるかやらないかが決まる。


 祭りのメインは大きな魔法花火の他に、ちょっとしたバトル大会などがある、ちなみに英雄4人は出ない。


 というのも、私、じゃなくて母は死んだことになってるので、出ると嘘だとバレるから出ないら父は腕の怪我で出ない、エラッタはそもそもこういうのに興味が無いから出ない、カーラは強すぎて大会に出るなと言われてしまったため、出れない。


「おーいメアちゃん」


「あ、マリスくん、手伝いはしなくていいの?」


「うん、やることないし、せっかくだから遊んで来なさいってお母さんが」


 あー、確かにマリスくんの所は手伝うことは少なそうだもんね、エラッタが1人で何とか出来るし、力仕事はカーラが居るからねぇ。


「メア、祭りの開始までまだ時間あるから、少し遊んで来なさい、せっかく街に来たのだから色んな店見てきなよ」


「そうだね、そうするよ」


「ふふふ、そうはさせないわ」


 どことなく聞こえた声に寒気がした、もう何となく分かる、アミリーの声だ、どこから来る、この場から逃げないと、しばらく自由がなくなってしまう。


「つーかーまーえーたー」


「ヒェッ!」


 後ろから突然現れ、胸を掴まれた上に、そのまま抱きつかれてしまった。


「スゥー、んー相変わらずいい匂い、小さな女の子の匂いだわ、どの子よりもメアちゃんが1番いい匂い、もういつまでも嗅いでいたいクンクン」


「うー、はーなーしてー、気持ち悪いよ!」


「うっ、でもいい……メアちゃんに罵倒されるのもまたいい……あぁ、もっともっと罵倒してぇ~」


「うっわ.......」


 やばい、この変態、さらに進化していた、しかも力が強くなってる、うぅー解けない、離してー。

 しばらく拘束され、匂いを嗅がれるのだった。


「アミリー様、そろそろ離してあげてください、泣きそうですよ」


「あら、もうバレたの、流石ね」


 メイドさんが近くに来て、やっとアミリーが解放してくれた、本当に泣く1歩手前まで来てた。


 普通に恐怖だよ、いきなり抱きついてずっと匂い嗅がれるんだから、怖いって、知り合いで、見た目可愛い女の子だからまだ大丈夫だけど、これが知らないオッサンとかだったからもう大泣きだよ、一生のトラウマもんだよ、もう。


「あ、そうだ、マリスくん、今年のバトル大会出てみない? 子供の部でもいいし、チャレンジで大人と混ざってもいいし」


「え、良いんですか? 年齢的にまだ出れないはずなのに」


「いいのよ、せっかく英雄の子なんだがら、力試しぐらいいいわよ」


「よし、父と母に出ていいか聞いてみます、すいません失礼します」


 マリスくんは自分達の屋台の方へ戻ってしまった。それにしてもバトル大会か、本来なら8歳からなんだけど、特別にOKか、マリスくんなら多分勝てると思うけど。


「いいなー私も出たい」


「え、出たいの? でもメアちゃん、子供の部は魔法禁止だよ」


「え、そうなの?」


「そうよ、子供だと覚えたてとかで上手く使えない上に威力の調整や下手に当たったりして危ないのよ、だから剣術とか棒術とかだけなの、大人の部は魔法有りなんだけど、メアちゃんには少し早いかな」


 知らなかった、前世でも出たこと無かったからそんなルール初耳だよ、今思えば確かに、子供の部はチャンバラみたいな感じで、派手な戦いはなかったな、うぅ流石に大人の部は出させてもらえなさそうだし、諦めるか……


「戻りました、アミリーさん、大人の部でエントリーお願いします」


「お、マリスくん、大人の部で出るのか」


「はい、父が、子供の部は余裕すぎると思うから、大人の部にしなさいって」


 流石、カーラおじさん、容赦ない、でも合ってるんだよね、マリスくんぐらいの実力で子供の部にエントリーしたら、余裕で優勝しちゃうからね。


 いいなー、大人の部、私も出たいなー。


「パパ! 私も出たい! いい?」


「あー、俺はいいと思うけど、サリーがな、サリー、メアが大人の部に出たがってるんだけど」


 私たちとは別で、遠くの方で作業していた、母に出ていいか確認する。


「いいんじゃない、けど無理はしないでね、あと出るからには優勝狙いなさい」


 母よ、流石の私でもこの体で色々制限付き、全力出せないから、優勝は無理だと思うよ、でも許可が降りた、やったー


「アミリーさん、聞いてました、OK出ました、私も大人の部でエントリーお願いします」


「はいはい、慌てないよ、可愛いけど、分かったわ二人とも大人の部ね、なら試合はお祭り始まってからしばらく時間あるから、それまでゆっくり見てるといいわ、それじゃあ私は2人の手続きしてくるわね」


「「よろしくお願いします」」


 やったー楽しみだな、領地のお祭りだけあって毎年レベルが高いからどこまで行けるか楽しみだよ、大怪我しないようしないとね。


 と、アミリーがエントリーの手続きをしに行ってくれたってことは、しばらく来ないんだよね、なら今のうちにここから離れれば、しばらくは捕まることは無い、それならすぐに行動しないと。


「マリスくん、早いけど、どんなお店あるか見に行こう」


「え、あ、うん、楽しみだねってメアちゃん、何急いでるの」


 マリスくんの手を掴み駆け足でこの場から離れた。


「手を繋いで行くなんて、メアもやるねぇ」


「まだ子供なんだから、そういうのは気にしてないでしょ、ほら私も急がないと間に合わないわよ」


「はいはい」


 マリスくんと屋台や街のお店を見て回る、お祭りはまだ始まってないけど、いくつかの屋台は、準備をしてる人はこの街に住んでる人のために、この時間帯からでもやっている


 私達は、予めもらっておいた、お小遣い片手に、綿菓子や、お肉屋、射的屋など色々と買ったり、遊んだりしていた。


「なんだい嬢ちゃん達、手なんか繋いで、デート気分かい?」


「なっ!」


 たまたま寄っていた、飴細工屋で飴を買っていると店主のおじさんがそんな事を言った。


 歳はまだ小さいが中身はどっちも大人、無意識とはいえ、手を繋いで歩いていた事が今更になって恥ずかしくなってきた。


「はい、デートみたいなものです、幼なじみと屋台周り中です」


「お、いいね、小さいのにしっかり答えられてる、よし、特別に飴はタダだよ、はいどうぞ」


「ありがとうございます、あれ、メアちゃん?」


「はは、なんか意識しちまったか?」


 マリスくんがおじさんの言葉にそのまま答えたから、更に恥ずかしくなってきた、というか顔がすっごく暑い、ま、マリスくんとデート、いいのか、中身の歳はすごく離れてるし、で、でも今は関係ない……。


「こりゃしばらく帰ってこなさそうだな、ほら坊主、お嬢ちゃんの分も持ってあげな」


「すいません、ほらメアちゃん行くよ」


「はわわわ、マリスくんとデート……」


 変に意識し始めてしまった私は、しばらく復帰出来なかった上に、マリスくんの顔を見れないでいた。

 飴細工屋を出たら、近くでシュワっとする飲み物を買い、噴水の近くで座っていた。


「ふふ、メアちゃんは乙女だね、面白いや」


「もう、からかわないで!」


 最近のマリスくん、何故か私のことをからかって遊んでいる、なんでからかうのか聞いたら。


 精神が幼くなったサリーさんが意外と可愛いのと、メアに似てていじりやすいんだと、ずるいよそっちは精神安定してて、こっちは今のメア年齢より少し高めになってるくらいだよ!


 うぅ、いつか仕返ししてやるんだから、その時は一生引きずるくらい、いじってやるんだから。


「ん、この飴美味しい」


「そうだね、美味しい」


 さっき買った飴は棒に赤い果実を刺して固めたもの、甘くて美味しい。


 飴を食べ終わった後は、何も買わないでお店を見るだけにして、時間を過ごした。


「もうすぐ開始の時間だから戻ろうか」


「そうだね、戻りましょう」


 日が落ちてきて空が赤くなる、そろそろ始まりの時間だ、私達はそのまま自分達の屋台に戻り開始を待った。



 そして大きな魔法花火を合図にお祭りが始まった。


 このお祭り目当てに外から来る人も多く、時間帯も時間帯で大賑わいである。


「お嬢ちゃん、牛串3本ちょうだい」


「はーい、銅貨6枚です」


「はいよ、にしても安いね、普通だったら10枚は取れるのに、大丈夫なのか」


「はい、うちは安くて美味いがもっとうですし、お客様の笑顔見れれば十分です」


「なるほどな、頑張れよ」


 お肉を渡すと男の人は食べながらどっかいってしまった、その後も次々とお肉が売れて行く、多くの人はお酒片手に買っていく、やっぱりお酒に合うのかな、うー、なんだから飲みたくなるけど、まだ子供だし無理か。


「メア、次の肉焼けたよ」


「はーい」


「今はバトル大会子供な部の時間帯だな、余裕出来てきたし、見に行ってくるかメア?」


「いいの? お店大変じゃないの? これからもっと来るんでしょ?」


 子供の部も決勝はいい戦いするから見に行きたいけど、今離れると大変なことになる気がする。


「心配しなくても大丈夫、行ってきなさい、それに大人の部の準備あるだろ、子供の部が終わったの気が付かなかったらまずいからな」


 何とかしてみせるって顔だ、なら任せてもいいだろう、それになんなら大人の部には売り切って見せるって顔だ。


「じゃあお言葉に甘えて、行ってきますパパ、ママ」


「行ってらっしゃい」


「気をつけるんだぞ」


「はーい」


 エプロンを取った私は、バトル大会が開かれてる中央広場に走って向かうのだった。


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