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ウンディーネの奇跡

  ウンディーネをさらわれた、これは由々しき事態だ。


  「でも、相手はあのグールだからね。あまり関わらない方がいいわよ」アイは冷静に言った。

「ばかやろ!俺たちの仲間だぞ!!」


  俺は叫んで後悔した。


  アイが涙目になっている。ませているがまだ小さな女の子だ。アーメンガードちゃんの胸に顔を埋めて泣いてしまった。


  アイだって仲間がさらわれて悔しい気持ちはかわらないはずなのに。

俺は自分にイライラして地面を殴った。


  「助けにいきましょう」アーメンガードちゃんがアイの頭をなでながら毅然とした態度で言った。


  「助けに行くってグールの居場所も分からないのに」


  「わかります」アーメンガードちゃんは俺の顔をじっとみた。


  「ウンディーネさんは水の精、いつも歩くたびに水を滴らせてました。それをたどっていけばグールのありかにたどり着けると思います」

  たしかに地面を見てみると点々と水が落ちているのが分かる。

  「よし、これをたどっていけばきっとウンディーネの所に行けるはずだ。」

  水を目印にどんどん進んで行った。

  岩でできた洞窟についた。

  大きな声が洞窟にこだました。

  「おい、さっさっと俺達の願いをかなえろ!」

  ウンディーネは両手を縄でしめつけられて身動きがとれなくなっていた。数人のグールが取り囲んでいる。

  ウンディーネは黙ったままボスと思わしき男のグールから顔をそむけている。

  「なんとか言ったらどうなんだ?」

  ボスはウンディーネの頬を平手で殴る。

  俺は思わず身を乗り出していた。

  「やめろ!  それは俺の仲間だ」

  ボスが俺の方を向いた。

  仮面を被っていて顔は見えない。

  「なに言ってやがる、お前、少しは有名になっているメイド服軍団だな?」

  「さぁ、ウンディーネを返してもらおうか?」

  仮面のグールはくくくと笑った。

  「嫌だと言ったら?」

  「斬る!」

  俺は電脳から剣を取り出して構えた。

  「貴様にこの俺が倒せると思っているのか?」

  グールのボスが大きなハンマーを電脳から取り出して軽々と上に持ち上げた。

  「ウンディーネをさらった理由はなに?」

  俺の後ろに隠れていた、アイが叫ぶ。

  「現実世界に二度と戻らないようにするためさ。あんな所よりこっちの方が自由にできるからね」

  グール達は俺の方に巨大なハンマーを振り上げて襲いかかってきた。

  あの巨大なハンマーで殴られたら一貫の終わりだ。

  しかし、その分スピードが劣る。

  俺は駿足の速さでグールどもをばったばったと斬り倒す。もちろんみねうちだ。

  あとはボスだけだ。

  ボスは後退りを始めた。

  案外臆病者らしい。

  「くっ来るな、さもないとこいつの命はないぞ」

  懐からナイフを取り出してウンディーネの首元に突きつける、グールのボス。

  「くっ!」

  俺は身動きがとれなくなった。

  「私の事はいいからこいつをやっつけて」

  ウンディーネが叫んだ。

  「だっ黙れ」

  ボスが首元にナイフを近づける。

  「どうすればいいんだ」

  仲間一人も助けられない。

  一緒にトランプで楽しんだあの時のウンディーネの笑顔。

  「さぁ、とっとっと引き上げるんだな」

  「ウンディーネ、綺麗な湖を見つけられなくてごめん」

  俺の目から涙がこぼれる。

  アイとアーメンガードちゃんの目からも涙。

  涙は地面の窪地にたまった。

  「綺麗な湖」

  ウンディーネがささやいた。

  そして、ウンディーネが青い光を放った。

  「それこそ私が求めていた、綺麗な泉です。さあ、願い事をおっしゃってください」

  そこにいたものはまるで奇跡を見ているようだった。

  「ウンディーネ」

  俺はあまりの美しさに彼女の名前を呼ぶ事しかできないでいる。

  「俺達の元に戻ってくれ」

  俺はそういうとウンディーネの体はさらに光輝き、グールのボスが気絶していた。

  ウンディーネは涙を流し俺達に微笑んだ。

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