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そういえば、勇者との会話を聞かれていたのだった。
うっかりどころではなく忘れていた。
勇者には気付かれていなかったのだけど、彼は結構鈍感なところがあるっぽいから。
そして最後の質問の意図が解らないのだけど?妙に声低かったしね。
「動揺した事にはよく気がついたね、魔王。けれど勇者に興味があるかないかは関係ないよね。」
「そう?そうかもね。僕はもの凄く気になるけどね。」
何でだよ。
あえて問わないのはその方が無難だと思ったからだ。
「異世界からの訪問者っていうのは・・・まぁ、意味的に言えばそのままだね。」
「それとゲームと、どう関係があるのかな?」
率直な疑問を投げかければ、クスリと意味ありげな笑みになる。
勿体ぶるようなその態度に、若干イラッときた。
「ここでね?ヤミイロ。僕の質問に答えてくれない?」
ヒヤリ・・・と、魔王の視線が冷気を感じるほどの鋭さを帯びる。
嘘は言わせない、そんな声が聞こえてくるような・・・目は口ほどにものを言う、よく言ったものだな。
心底、そう思う。
「君は、何処から来たの?」
わざわざ二つに区切って聞いてくれちゃいましたね。
しまった、ふざけている場合じゃないね。コレ。
「東の端にある、セリアナっていう小さな国だよ。もうないけれど・・・ね?」
「・・・・」
ど、どうしよう何か怖い魔王。
いやでも本当にある国だったし、この世界の歴史書に書いてあったし。
ちゃんと調べているのだよ!この世界に関していつ聞かれてもいいように。
「そう。」
ニッコリと擬音でも付きそうな完璧な『作り笑い』を浮かべた。