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エピソード2:selfish self-assertion③

 コーラを飲み干した政宗は、残った氷をストローでかき混ぜつつ、カウンターの向こう側で開店準備を進める直生に問いかける。

「世渡さんは、名波利子さんと面識はありますか?」

 この問いかけに、直生はメガネを外してそれを胸ポケットに入れると、首を横に振った。

「ないんだよね。正直、いい話は聞かなかった店だし……やっぱ、名杙慶次が関わってるってなると、尻込みしちゃうのよ」

「慶次さんとの面識は?」

「オレが別の店にヘルプで入った時にないわけじゃないけど、あっちは覚えてないと思う。その程度。あの人はいろは横丁じゃなくて国分町の人って感じかな。ただ、相当に羽振りがよくて、プレイボーイっていうのは、ここまで話が具体的に伝わってくるくらい有名」

「具体的、とは……」

 切り込む政宗に、直生は口元にニヤリを笑みを浮かべた。そして、コーラをすすっているユカを見やり。

「これ以上は別料金、かな。お姉さんの簡単な素性を教えてくれたら、対価として教えてあげるけど」

 刹那。急に矢面に立たされたユカが、ストローから口を離して目を丸くした。

「あたしの素性、ですか?」

「そ。とりあえず、お姉さんの名前と、年齢と、シュガー君との関係くらいでいいよ。勿論、それ以上教えてくれるんだったら、オレもサービス出来るけど」

 直生はこう言うと、カウンターの内側に置いていた愛用のサングラスを手に取って装着する。これは、相手に自分の感情を悟らせないため。目の動きから伝わる情報を遮断するためなのだが……そんなこと、ユカが指摘することもなく。

「なんだ、そんなことでいいんですか?」

 もっと突っ込んだことを聞かれると思っていたユカは、思わず拍子抜けした。そして、隣でうろたえている政宗を「黙ってろ」と目線で制した後、直生へ向けて軽く頭を下げる。

「というか、先月は助けて頂いたのに、ご挨拶も出来ず失礼しました。山本結果といいます。年齢は……20歳です。今年の4月から、政宗がいる『仙台支局』に赴任……移動? とにかく今は仙台で働いてます」

「なるほど。要するに、シュガー君の同業者ってことだね。じゃあ、シュガー君との付き合いも4月からなの?」

「政宗とは、10年前の初期研修で初めて会って……それからの腐れ縁です」

「10年前……ああ!!」

 刹那、何かに合点がいった直生が、膝を叩いて目を丸くした。そして、すっかりしっかりそっぽを向いている政宗を見やり……口の両端に意地悪な笑みを浮かべる。

「やっぱりお姉さんだったんだね、シュガー君がずっと片思いしてる女性って」

「はい!?」


挿絵(By みてみん)


 次の瞬間、ユカがギョッとした表情で直生を見た。

 彼は今確かに、『片思い』と明言した。しかも『ずっと』という言葉まで付け加えて。

 ユカと2回しか会ったことがない彼がここまで断言するということは……ユカは政宗を問い詰めようと隣を睨むが、彼は完全に背を向けて黙秘している。

 狼狽したユカはしょうがないから直生を見やり、恐る恐る問いかけた。

「あ、あの、世渡さん? どうしてそんなことを……?」

「いいよいいよー、世渡君、楽しくなったからサービスで教えてあげるね。シュガー君とオレは、シュガー君が大学生の頃からの付き合い……かな? とにかく、シュガー君は大学のゼミの友だちとか、学祭の実行委員仲間とか、色々な人を連れてきてくれるんだけど、いっこうに彼女を作らないんだよ。本人、かなりモテモテだったんだけどね」

「はぁ……そうなんですか」

「んで、もしかして女性に興味がないのかって、俺のお得意さんも心配していたから、オレが聞いてみたことがあるんだよ。そしたら……シュガー君、ずっと好きな人がいて、その人に見合う自分になるために頑張ってるって言ってたからさ、ちょっと安心したし、どんな女性なのか気になってたんだよね。シュガー君、相手に関しては絶対に教えてくれなかったから……今日、やっと謎が解けたし、納得した。うん、シュガー君が好きになるのも無理ないね」

「そ、そう、です、か?」

「オレはそう思うよ。だってお姉さん、肝の据わり方がカッコよすぎたから。オレもそれなりに人とは違う経験をしてきたつもりだけど、お姉さんほどじゃないなって思うくらいにね」

 そう言って両手を上げる直生へ、「ありがとう、ございます……」と引きつった笑みで返答したユカは……隣で氷をガリガリ噛んでいる政宗を、改めて睨みつけた。

 どうして彼は、自分の知らないところで……こんなに、自分の話をしているのか、と。

「……あのさ政宗、あたしのことを多方面に喋りすぎとるんじゃなかと? あたし、あと何回、こげな羞恥プレイに付き合わされないかんとね!?」

「しょ……しょうがないだろ!? 事実なんだから!!」

「開き直るなバカ政宗!! もうちょっと酒の飲み方ば考えんと、本当に嫌いになるけんね!!」

「……」

 ユカの言葉に政宗は顔面蒼白になり、「考えます……」と項垂れた。そんなユカを、直生が「まぁまぁ」と諌めて。

「お姉さん、うちの店で飲むのはオッケーにしてあげてよ。シュガー君が来てくれなくなったら、売上が可哀想なことになっちゃうんだからさ」

 次の瞬間、ユカが目を見開いて非難じみた声を上げる。

「政宗はここでそんなに飲んでるんですか!?」

「やっべ、援護射撃したつもりが背中から撃っちゃった……ごめんねシュガー君。追加情報あげるから勘弁して?」

「はい……」

 最早心がここにない政宗の空返事に、直生は苦笑いを浮かべつつ……政宗のグラスに二杯目のコーラを注いだ。そして。

「名杙慶次さんの具体例だけど、『あけみ』に勤めていた女性全員に、一度は手を出してたって言われてるね。確か、名波利子さんの前の店主とも、相当に深い関係だったとか。あと、お得意さんに女の子を斡旋してたみたいだけど……なんか、女の子も嫌がらずにお得意さんのところに行くんだって。マインドコントロールがうまいのか、報酬が桁違いなのか……とにかく、人と人を繋げるのがすこぶるうまい人物だって言われてるよ」

 直生の話を聞きながら、政宗はふと、分町ママのことを思い出していた。

 彼女は生前、国分町で働いてたという女性だ。もしも彼女に生前の記憶があれば、より詳しいことが分かったかもしれない。もしかしたら、慶次のことも何か知っていたかもしれない。

 けれど、それはないものねだりだ。分町ママに生前の記憶はないと言っても過言ではないし、今のメモリ機能は弱い。

 そして彼女は本来、名杙本家に仕える立場だ。東北ブロック長の慶次の指示でも、当然、動くことがあるの。だったら……余計な情報は入れないほうがいいだろう。

 政宗はコーラをすすりつつ、直生の言葉に耳を傾ける。書面で残らない情報は、しっかり記憶しなければならない。

 直生も、彼らの行動には思うところがあるのか、普段よりも少しだけ饒舌に、言葉を続けた。

「前の店主の女性が病気で亡くなってから、利子さんが引き継いだけど……彼女はそれこそ元奥さんだし、関係も切れてなかったって言われてる。息子の桂樹さんはそこまで派手じゃなかったみたいだけど、とにかく、慶次さんにいろんな意味で『世話になった』『世話になっている』人は多いんだ。シュガー君も、お姉さんも、関わる時は気をつけたほうがいいよ」

「分かりました。ありがとうございます」

「いえいえ。お姉さんは、他に何かある?」

 直生はこう言ってユカを見た。彼女はコーラをすすりながら思案して、「じゃあ」とそれから口を離す。

「そのうち、政宗の一芸動画を見せてもらってもいいですか? 対価、用意しておきますから」

「オッケー」

「なんでだよ!? っていうか何だよ対価って!!」

 ユカが政宗の悲痛な叫びを受け流していると、直生は「ゴメン、そろそろ時間なんだよね」と、終了の合図を出す。

「営業時間が夜だけでゴメンね。お姉さん一人だと未成年にしか見えないからさ、シュガー君とか、大人の人と一緒に来てね。ソフトドリンクやノンアルカクテルもあるし、軽食もあるよ。ちなみにオススメはカルパッチョ」

「おお……!!」

 そう聞くと、急にお腹がすいてきた。直生はそんなユカにヒラヒラと手を振って、退店を促す。

「と、いうわけで。また来てね」

「分かりました。政宗、また連れてきてね」

「だからこの2人を会わせたくなかったんだよ俺は……!!」

 カウンターに突っ伏して頭を抱えた政宗の横から、ユカが残りのコーラをかっさらっていった。


 その後、間もなく設備点検の業者が入るということで、2人は店を後にして。

 仙台駅まで向かうため、2人は、大通り沿いの歩道を歩いていた。

「……政宗、さっきの話聞いて、どげん思った?」

 車道を通る車の音に紛れて、ユカが彼に問いかける。政宗は前を向いて歩みを進めながら、直生の情報から導いた結論を告げた。

「ケッカがこの間切った、三浦さん。彼女はあの店の従業員だった。歩夢君の父親は、慶次さんに高額の報酬を支払って、その対価として、慶次さんは彼女と父親の『関係縁』を強化して引き渡した。だから、あんな……狂った環境でも従順で、逃げることもなかった。後は、この間の彼女の言葉通り、生まれた彼を正妻との息子として育てたら歪んだ……こんなとこだろうな」


 ――旦那様と奥様との間に子どもが出来なくて、子どもを産ませるために私が選ばれました。私はこの家の地下で妊娠して、日々を過ごして、歩夢君を産んで……そこから先は家政婦としてお世話になっています。


 先日、ユカが『関係縁』を切った、三浦美紀という女性が語っていたことを思い出す。

 普通の人間であれば、地下室に軟禁され、妊娠、出産、子育てを強いられたら……逃げ出そうと思うだろう。

 彼女に一切その様子がなかったので、ユカは、彼女がそういう性格の人なのだろ思っていた。それもきっと、間違いではない。

 ただ……きっと、それだけではなかった。今はそう思えて仕方がない。


「戸籍についても、出生届は出せないから、後から正妻を母親にして手続きをしたんだろうと思う。正直、無戸籍の『遺痕』は処理が厄介なことがほとんどだから……そこは助かったけど」

 複雑な表情でため息をつく政宗に、ユカは同意しつつ、1つ、気になっていることを口にする。

「でも、今は『あけみ』ってお店はないんやろ? だったらもう、そげなことはしとらんとやか……?」

「最近はそういうことに対する世間の目も厳しいからな。ただ、慶次さんの態度は変わらないんだ。他の方法で荒稼ぎしてる可能性は大いにあるだろうな」

 政宗はそう呟くと、遠くを見つめて息を吐いた。ユカも気持ちをこれ以上沈めたくなかったので、意識的に話題を切り替えることにする。

「政宗、夕ご飯どげんする?」

「そうだな……イオンで買って帰るか」

 道の途中にある大型スーパーの看板を指差した政宗に、ユカは「了解」と首肯した。

 どこか店で食べる、という選択肢もあるけれど、今の2人には、雑然とした世界で食事をする気力がない。それに……なんだかんだ、家で2人で食事をすることが当たり前になり始めていた。

 看板を目指して歩きながら……ユカはふと、彼を見上げる。先程、直生から聞いた言葉を、思い返してしまったから。

「……政宗って……モテモテなんやね」

 まさかユカからそんなことを言われるなんて思っておらず、両肩がビクリと反応する。

「な、何だよいきなり」

「さっきの話聞いて、改めて思っただけ。まぁ……レナも好きになるくらいやけん、顔と性格がよくないと、親友のセンスがダメってことになるけん困るっちゃけどね」

「何だよそれ……」

 政宗はユカの物言いに苦笑いを浮かべた後……少し遠くを見つめて、ため息を1つ。

「……本命の子に好かれなきゃ、意味がないんだけどな」

「ん?」

 路線バスのエンジン音にかき消された言葉を尋ねると、政宗は頭を振って苦笑いを返す。

「いや、ケッカとは絶対にあの店に行かないぞ、と、決意を新たにしていたところだ」

「別によかよ? 統治とか櫻子さんと一緒に行くけん」

 刹那、たっぷり5秒考えた政宗が、細かく震えながら首を横に振った。

「……ダメです!! それはダメですケッカさん!! マジでダメです勘弁してください後生だから!!」

「あのさぁ……一体何をしたら、そげん焦ると? 益々気になるっちゃんね……」

 ユカのジト目を平伏することで見ないようにした政宗は、本気で飲み方を考え直そう、と、仙台の夜空に誓ったのであった。

 ……多分。


 その後、食料調達を終えた2人が帰宅したのは、20時になる直前だった。

 政宗はリビングの電気をつけると、夕食の弁当や明日の朝食が入ったマイバッグをダイニングテーブルに置く。そして、手を洗うために洗面所へ向かおうとした瞬間、上着のポケットに入れているスマートフォンが数回振動した。

「統治……?」

 メッセージの送り主は統治。なれた手付きでそれを開いた政宗は、内容を確認して……口元を引き締める。

 そこに記載されていたのは、簡素な一言だった。


 ――櫻子さんが()()を用意してくれた。明日、『仙台支局』に届く予定だ。



 翌日の午後、時刻は間もなく16時。『仙台支局』に届いた郵便物を仕分けしていた事務の支倉瑞希(はせくらたまき)は、政宗宛てに届いた郵便物をまとめて、彼のデスクにある『要確認』ボックスへと入れる。その仕草に気付いた政宗は顔を上げて軽く頭を下げた後、早速、届いた郵便物を手に取った。

 そして……櫻子から自分に宛てた封筒を見つけると、開封して、中身を確認する。中から出てきたのは、更に一回り小さな封筒だった。『透名総合病院』と印刷されており、裏面には未開封を証明するための封緘印(ふうかんいん)が押してある。まるで、病院の紹介状か、診断書のように見えた。

 政宗は席を立つと、アプリの調整をしている統治の後ろに立った。そして、彼の真横にスッとその封筒を差し出して、端的に告げる。

「これ、頼むな。都合がつく時に渡してくれ」

「分かった」

 振り向かずに封筒を受け取った統治は、それを自身のカバンの中へ片付けた。そして、再び自分の仕事に戻る。

 政宗も自席に戻り、残りの郵便物を確認していると……斜め前に座っていた瑞希が「あ、あの」と、目を泳がせながら彼に話しかけた。

「支倉さん、どうしたの?」

「あの……佐藤支局長、この部屋の空調、ききすぎていません……よね?」

「へ? 空調?」

 瑞希の言葉に、政宗は手元のリモコンで空調の設定温度を確認した。今は11月ということもあり、ほのかな暖気運転中。室内温度が24度になるよう設定されている。

「いつも通り、24度設定だけど……支倉さん、寒い? 大丈夫?」

「だ、大丈夫です。1階のポストから、戻ってきたら……急に、寒くなっちゃって……」

 そう言って乾いた笑いを浮かべる瑞希。彼女の今日の格好は、白い長袖のワイシャツの上から黒いカーディガンを羽織り、グレーのガウチョパンツと黒のストッキング、ローヒールのパンプスを着用していた。厚着ではないが、かといって薄着でもない。

 段々と顔色を失っていくように見える瑞希に近づいた政宗は、彼女の額に手を添えて、熱がないことを確認する。

「もしかして、具合悪いとか?」

「そ、そんなことない、と、思うんですけど……と、というか、この階の廊下から、急に、とても寒くて……」

「廊下から?」

 政宗は訝しげな表情で、衝立の方を見た。刹那、2人のやり取りに気付いたユカが席を立ち、「ちょっと見てくる」と言って衝立の向こうへ消える。

 政宗はとりあえず、椅子にかけていたスーツのジャケットを瑞希の肩にかけた。青白い顔の彼女が「すいません……」とぎこちない笑みを浮かべた、次の瞬間。


「――政宗、統治、どっちでもよか!! ちょっと!!」


 廊下に出ていたユカの鋭い声が室内に響いた。緊張感が走る中、立ち上がった統治が政宗を目線で制し、先に廊下を進んでいたユカに合流する。

「山本、どうしたんだ?」

 声を潜める統治に、ユカは鋭い眼差しのまま、廊下の突き当り――エレベーターホールの方を指さして。

「あそこ……誰か、おる」

「……?」

 統治は瞬きをして、視える世界を切り替えた。そして、ユカが示した方を見やり……口元を引き締める。


 ユカが指を指したエレベーターホールは、左右に2基あるエレベーターへの乗口と、非常階段への入り口がある空間だった。その突き当りには大きな窓があり、仙台市内を一望することが出来る。

 そんな窓の近くで、一人、足を組んで座っている女性が一人。

 額を出すように分け目で半分に分かれた髪の毛は金髪で、毛先にパーマがかかっている。Vネックのニットワンピースを着用しており、足元は素足。年齢は分からないが、櫻子や瑞希と同じくらいに見える。

 そして、彼女の右手人差し指と中指には、赤い『関係縁』がそれぞれ一本ずつ残っていた。

「支倉さん、あの子に反応したっちゃなかと? 『痕』やけんが見えんけど、気配は感じるんやろうね」

「だろうな。ただ、どうしてこんなところに……?」

 2人には当然、面識のない女性だ。しかも、特に悪さをする様子も、この世への恨みつらみも感じないので……この場で手を下す理由もない。

 さて、どうするか……ユカがとりあえず政宗に現状を報告して相談するため、ポケットからスマートフォンを取り出した。そして、彼女の姿を特殊なフィルム越しの画像として残しておこうと、ピントを合わせる。


 刹那、画面越しに目が、合った。

 つけまつげが印象的な大きな瞳と――視線が交錯した、次の瞬間。


「い……いたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

「っ!?」


 窓際にいた彼女が、大声と猛スピードでユカへ近づいてきた。急に攻撃的になったと認識したユカは、スマートフォンをポケットに戻し、反対のポケットに入れていたハサミを取り出す。統治も同じく銀のペーパーナイフを構え、臨戦態勢になった。

 いざとなれば、各々で一本ずつ『縁』を切るしかない。これは緊急事態だから、しょうがな――


「あーーーーーーーーーーーーーーーーっ!! やった!! それでアタシを消してくれるんだよね!!」

 次の瞬間、彼女は目を盛大に輝かせて動きを止めると、ユカが持っているハサミを嬉しそうに指差した。

「……へ?」

「やっぱり!! こないだ荒浜にいたちっちゃい子だ!! お兄さん……は、あれ、違う人だ。何? もしかして3人兄妹ってこと?」

「は?」

「探したんだって!! あのおばちゃんに聞いても、なーーーーーんにも教えてくれないから、こっそり後つけたの。そしたらこーんなおっきい建物に入っていったから、アタシ、ちょっとビビってたんだけどさ。だって、ユニクロより上に行ったことなかったし」

「はぁ……」

「で、で? ちっちゃい子がやってくれるの? っていうかお兄さんもそれっぽいの持ってんじゃん!! やば、カッコいい。どうせならハサミよりそっちがいい!!」

 マシンガンのように喋り続ける彼女に、ユカと統治は目を丸くして顔を見合わせ……本気で途方に暮れるのだった。

 Q:ユカは政宗がモテモテなことが気にならないんですか?

 A:はい。


 そして本文中の挿絵は、狛原ひのさんが描いてくださったものです。

 この、全てを確信した直生の顔がとても良い。そして視線をそらして我関せずを貫こうとしている政宗の愚かさもバッチリです。そりゃあユカもこんな顔になりますよ。

 ゴメンよケッカちゃん、君、あと数回はこういうことあると思う……。

 何はともあれ、イラストありがとうございます!!

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